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「評価」と「期待」を一身に背負うGBA
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3月7日に開催された「ゲームボーイアドバンスプロダクト発表会」には,27本の対応ソフト(うち,本体同時発売25本)がプレイ可能な状態で一堂に会した。会場には,各ソフトメーカーの担当者も多く姿を見せていたが,GBAの「ハードウェアとしての面白さ」「プラットフォームとしての市場の広さ」を評価する向きが多かったようだ。
セガのクロスプラットフォーム展開に伴い,本体と同時発売されることになった「チューチューロケット!」の開発元であるソニックチームの中裕司社長は,GBAソフトに携わることで「学ぶことが多かった」と話す。
「本当に小さい子供から,年輩の方にまで,幅広く遊んでもらえるプラットフォームですから,そこへ向けてゲームを作る点で,勉強したことが多かったと思う。(チューチューロケット!も)GBA向けに表現を分かりやすくしたりなど,いろいろと手を加えている。ハードとしては,任天堂の遊びに対する考え方がよく表れていて面白いと思う。移植ものやシリーズもの以外にも,オリジナルの面白い企画があればぜひやってみたい。通信機能や今日発表されたカードリーダーを使った面白い遊びが考えられそうだ」(中氏)
また,人気アクションゲーム「ミスタードリラー2」を発売するナムコの広報担当者は,開発の容易さがゲームメーカーとして魅力的だという。
「短期間でゲームを作れるということは,コストなどの面で商品を企画しやすいということ。携帯機ではあるが,スーパーファミコンプラスアルファのことは実現できるハードであり,業務用ゲームの移植などは増えるのではないか。GBAオリジナルの企画も,今すぐには難しいかもしれないが(本体の出荷台数などを見て)今後出てくると思う」(ナムコ担当者)
データ容量や処理能力が向上した家庭用ゲーム機に向けてのゲーム開発は,開発費用の増大,消費者のゲーム離れといった要因から,非常にリスクの高いビジネスとなりつつある。これまでも,そうした傾向に異を唱え,独自の「市場」を守ってきたことを自負する任天堂。GBAの発売1年で2400万台といったアグレッシブな出荷目標も,その自信に裏打ちされたものなのだろう。
GBAによってもたらさられる「古くて新しい」市場は,現状に危機感をおぼえるソフトウェアメーカーやクリエイターにとっては魅力的なものに映るはずだ。果たして,消費者はこのハードをどう捉えるだろうか。過去のGB用ソフトが使える上に,今後も新しくて面白いゲームが登場するハードとして,自分のお金と時間を費やしてくれるだろうか。
[柴田克己, SOFTBANK GAMES]
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