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ARTS,政府の知的財産戦略推進計画を批判
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2003年8月5日 |
中古ゲームソフト販売の業界団体・テレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)は,政府の知的財産戦略推進計画を「不当な著作権強化につながる」と批判する声明を消費者団体などに送付した,と発表した。中古ゲーム訴訟で敗れたソフト会社の“敗者復活戦”に警戒しつつ,音楽CDと書籍の保護方針についても消費者の利益が考慮されていないと指摘している。
ARTSが発表した声明は「知的財産の保護に名を借りた不当な著作権強化を懸念する消費者への問題提起について」。
7月に知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)が決定し,ゲームやアニメといった知的財産権の保護を打ち出した指針「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」(知的財産戦略推進計画)に対し,「世界に類を見ない情報規制につながる著作権の強化が企図されている」として反論した。
声明では,「書籍に関する貸与権」「レコード輸入権」「ゲームソフト等の中古品流通の在り方」の3件について触れられた。
特に「ゲームソフト等の中古品流通の在り方」については,政府計画の第4章,2,(1),2,カ(※1)の項目であげられた「権利の付与等により保護を強化する」を例に挙げ,「穏やかな表現ながら,中古売買に対しメーカーに報酬請求権を付与しようとする動き」とした。
その上でARTSは,(1)国際的な標準はファーストセールドクトリン(※2),(2)最高裁の判決では,法解釈としてファーストセールドクリンによる中古販売は合法とされた。裁判に負けたから法改正で,というのはごう慢であり,司法の愚弄──としている。
※1 政府計画「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」では,第4章,,2,(1),2.カの項目にて ゲームソフトなどが中古業者により広範に取り扱われ,発売後間もない新盤市場に影響を与えていると指摘されていることに鑑み,より良い創作につながる権利者への利益の還元の在り方について関係者間で協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,消費者利益等の観点を含めて検討を行い,2004年度以降必要に応じ所要の措置を講ずる。(原文ママ) と明記している。
※2 ファーストセールドクリン(first sale doctrine)とは,「著作権者はその著作物の複製物を売却その他譲渡する排他的な権利を持つが,ひとたびそれを売却するとその権利を失い,買主は制約なくそれを処分できる」という法則。米国では「著作権法典 109条」に含まれる。
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