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岡本吉起氏が手がけるGENJIは義経・弁慶が主役
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2004年9月10日 |
ソニー・コンピュータエンタテインメントは本日(9月10日),プレイステーション2用タイトル「GENJI」の制作発表会を開催した。
この「GENJI」は,雅な時代と呼ばれる平安時代を舞台にしたアクションアドベンチャー。“日本で最初のヒーロー”と名高い源義経と弁慶の物語が描かれる。
「GENJI」を制作するのは,カプコンを離れ,新たなゲーム作りに挑戦する岡本吉起氏が率いる制作会社「ゲームリパブリック」。岡本氏はこれまでに培った人脈を遺憾なく発揮し,「GENJI」制作にそうそうたるクリエイターを集めた。そのクリエイター陣の一部は以下の通りだ。
美術監修・キャラクターデザイン 雨宮慶太氏 映画監督やイラストレータなど多方面で活躍するマルチクリエイター。「ゼイラム」シリーズや「魔法少女隊アルス」など多数。
殺陣・モーション監修 清家三彦氏 東映剣会所属の日本を代表する殺陣師。主な作品は「水戸黄門」(TV),「大岡越前」(TV),「魔界転生」(映画)など。
作曲 高梨康治氏 和楽器と洋楽器のサウンドを融合させたバンド「六三四(Musashi)」の一員として活躍する一方,作曲家としても精力的な活動を行う。「PRIDE」メインテーマ,「東京湾景」(TV)などが有名。
本日の発表会で壇上に上がったのは,岡本吉起氏,雨宮慶太氏,清家三彦氏,高梨康治氏のほかに「GENJI」ディレクターの醤野貴至氏,SCEJエグゼクティブクリエイター,ビル・リッチ氏。それぞれの視点から現在開発中の「GENJI」の魅力について語ってくれた。
■「GENJI」最大の特徴は“雅”――色鮮やかな画面を実現
会場で流されたムービーの中で一番目をひいたのが,平安時代がそのまま映し出されたような色鮮やかな画面だ。美しい紅葉の森や,橋の欄干に映える朱塗り,満月をバックにした夜桜など,日本画がそのまま3Dになったかのような錯覚を覚える。
この“雅”という感覚はスタッフの中でもかなりの討論が交わされたそうで,醤野氏によると「一番最初にスタッフで話し合った」という。
このことに一番頭を悩ませたのは,美術監修・キャラクターデザインを担当した雨宮氏。「今まで“和風”はあったけど“雅”を表現する,というものはなかった。写真集とか画集とかを見ながら“雅”を具現化するのは動きなのか?色なのか?というのをずいぶんと話し合いました……」と苦笑しながら話す。
その苦労は風景のほか,クリーチャーの色にも反映された。「自分としてもあまり使わない色を使っています。雑魚のデザインも歌舞伎を意識したりしました」というクリーチャーはどれも色鮮やかで,今までのゲームでは見られなかったようなものばかりだ。これらのデザインがゲーム上でどう表現されるかも期待しておきたい。
■プレイヤーの呼吸さえも感じさせるような動きを――こだわり抜く殺陣の流れ
そしてもう一つ,「GENJI」でこだわって制作されているのが“アクション”部分である殺陣。モーションキャプチャーは数々の歴史ドラマなどで活躍する清家氏がモーションの監修をし,ジャパンアクションエンタープライズ所属の役者を使って撮影された。それによって一切淀みのない,「静と動,プレイヤーの呼吸さえも感じさせるような動き」(醤野氏)を盛り込んでいるという。
撮影のために清家氏が託された「モーションキャプチャーリスト」は,「見たときにめまいがした(笑)」ほどの量。1対1の対決から多人数な包囲網の突破,義経のように身軽に飛び回る動き,弁慶の重量感を感じさせる動きなどなど,その種類も豊富だったという。演じる役者陣も「やっているうちに体がついてこなくて,ボーっとしちゃいました」という言葉が出るほどだ。
苦労した撮影の甲斐もあり,清家氏はそのデキについて「満足のいくものが撮れた。データ化されたものも良いものに仕上がると思う」と満面の笑みで語る。時代劇に精通した殺陣師が生み出す剣術アクションだけに,操作できる日を楽しみにしたい。
■全員がエンディングを見られるゲームに――「GENJI」のゲーム性
……と,アクション性について豊富な話題がステージで語られたが,ここまで聴くとアクションが苦手な人にとっては「難しそう」と考えてしまうところ。だが,岡本氏によればその不安を一蹴するかのようなシステムを「GENJI」では搭載しているという。
岡本氏によれば,「GENJI」で目指すのは「全員がエンディングを見られるゲーム。アクションが好きな人はそのままアクションの腕だけで,逆にアクションが苦手な人でも経験値を貯めることですこしずつ強くなり,クリアすることができる」。
また義経と弁慶のアクションの違いもゲーム性に組み込まれており,「義経は身軽な動きができるので,高いところにも行けるけど,弁慶はそれができない。逆に弁慶はモノを壊せるという特技がある」(醤野氏)という。もちろん,弁慶でしか行けない,義経でしか行けないようなステージも用意されているという。
岡本氏は最後に,「僕が20年務めた会社を辞めて,一緒にやれるメンツを集めて,処女作を大きな発表会の場でお披露目することができました。僕のわがままから始まった独立だったんですが,そのプレッシャーに耐えてくれているスタッフのお陰で,いいものができかけています。その想いをそのままユーザーに提供したいと思いますので期待していて下さい」とファンにメッセージを贈って発表会を締めた。TGSではプレイアブルなものも出展される予定なので,ぜひ期待していよう。
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