■インプレッション
前述の通りグラフィックの美しさは向上している。
どこか東欧を思わせる寒々とした空気すら感じさせる風景のスケール感は依然健在だ。特に草木の表現は一新され,鬱蒼とした森林の雰囲気はグッとリアルになった。地形は起伏の多い表情豊かなフィールドとなっており,うまく地形を利用すれば,作戦に幅広いバリエーションを持たせられるだろう。
地形で特に目新しいのは,ミッション自作派の熱い要望に応えて(かどうかは定かではないが),橋梁が新たに登場したことだ。史実を紐解いても橋の確保はしばしば攻守双方にとって戦略の要だった。橋を巡る攻防戦を描いた戦争映画の名作も多く,ここはミッション自作派のウデの見せ所だ。
登場するユニットのモデルもより精緻になっており,人物の表情は輪を掛けてリアルになっている。女性キャラクターのバリエーションが増えた点も朗報(?)だろう。ただし,どのキャラも相変わらず微妙にガニ股なのはご愛嬌といったところ。
残念なのは戦車などの重量級車輛のモデルが依然として「軽い」こと。実際は50トン近い戦車がラリーカーのように軽々と高速旋回し,バウンドし,ドリフトする。
現代の新鋭戦車の中には「公道上で違反切符を切られた」という逸話を残すほどの機動性を誇るものも存在するが,それでもOFPの戦車の様に山岳地帯の斜面を易々と登ることは不可能だろう。実際の戦車のキャタピラは不整地走破能力が高い反面,ちょっとした不用意な機動でたちまち破損したり,最悪の場合は擱座してしまうデリケートな走行装置なのだ。
筆者は某国の現役主力戦車の搭乗経験がある。外見から受ける印象に反した加減速性能に当初驚いたが,それでも自重50トンの独特の重量感は,旋回時などの挙動の端々で感じられた。戦車SLGではない本作にそこまで要求するのは酷かもしれないが,なまじほかの要素の平均点が高いだけに,戦車のオモチャっぽさが目に付いてしまう。
小銃弾や手榴弾程度の被弾でバウンドする現象など,車輛の重量感は前作から指摘されていた点だったので残念だ。
車輛の機動性についての筆者の個人的な要望としては,武装は貧弱だが機動性の高い車輛と,重武装だが走行できる地形が限定される車輛といったように,それぞれのメリットとデメリットのコントラストを際立たせて欲しかった。そうすれば地図を読み解く重要性も増し,作戦で勝つという本作のテイストを一層強調できたのではないかと思う。
サウンドも前作と同様,音による遠近感の表現力は秀逸だ。姿は見えないが確実に迫りつつあるディーゼルの咆哮やヘリのローター音には感嘆を禁じ得ない。
森のざわめきや風の音などの環境音のバリエーションに関しては後発のGhost Reconに1歩譲るが,それでも合格ラインは軽くクリアしている。
耳元をかすめる銃弾の音に,思わず首をすくめるプレイヤーも少なくないはずだ(筆者はやりました)。
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