現在日本で活躍する日本のヘビー級格闘家の名前を挙げるとき,必ずと言っていいほど声がかかる選手がいる。
選手の名は,高阪剛。中学から柔道を始め,'93年にリングス前田道場に入門。市原海樹,北尾光司,桜庭和志に次ぐ日本人4人目の選手としてUFCに参戦した人物だ。
初参戦となったUFC16で対戦したのは,UFC界で最強と呼ばれた柔術家,ホイス・グレイシーに苦戦を強いた怪人・キモ。当初はだれもが高阪選手の勝利を予測しなかったが,高阪選手はグラウンドのみならずスタンドでもキモを圧倒。判定で勝利を収め,衝撃のUFCデビューを飾った。たった一試合でほぼすべての観客の観客を虜にし,喝采を浴びた姿を記憶している人も多いだろう。
その後,日本人初のUFC定期参戦を果たし,“TK”の名を世界に轟かせた高阪選手。現在は新日本プロレスやDEEPなどに選手として出場する傍ら,総合格闘技を教える格闘塾「G-スクエア」を開設して後進の指導にも当たっている。
SBGでは,この高阪選手に貴重なお時間を頂くことに成功! UFCでの厳しい定期参戦を経験してきた高阪選手だから語れる「UFC」の魅力,格闘技の魅力について聴いてきたのでお届けしよう。
Q:まず,UFCの世界に入ったきっかけを教えていただけますか?
高阪:当時,UFC側がちょうどヘビー級の選手を探していて,UFCのマッチメーカー,ジョン・ペレッティが「日本人だけど面白い奴がいますよ」って言ってくれた。それがUFC入りするきっかけでしたね。
Q:最初オクタゴンに入ったときはいかがでしたか?
正直な話,「広いなぁ〜っ」てそれしか思えなかったですね。それまでやっていた畳やリングといった四角形の場所に比べて,オクタゴンは八角形でほぼ丸に近い。多分,テレビ画面で見るよりも中に入った方が大きく感じるんじゃないかなぁ。
ケージで囲まれていて,周りがよく見えないですし,マットが明るい赤なので,入った瞬間「これは試合やりやすそうだなー」って思いました。
Q:最初の日本人,ということで初試合の時のファンの反応はいかがでしたか?
高阪:自分の試合が始まる前に,お客さんの反応をチラっと見に行ったら「闘牛」みたいな感じだったんですね。周りが「行けー殺せー!」って(笑)。
自分は言われれば言われるほど燃えるタチだったんで,「いや,これはええ感じやなぁ」(笑)と。
で,実際自分が試合の番になってオクタゴンに向かうと,その途中で思いっきりブーイングされました。そりゃそうですよ。自分は得体の知れない日本人,かたや相手はUFCの英雄ですからね。
「ファッキンジャパニーズ!」とかボロクソに言われて,逆に向こうは大声援。
「お前らみとけよ〜っ」(※関西弁風発音)って逆に燃えましたね〜
それで後半,だんだん自分が主導権を握りはじめたときに,それまでブーイングだった歓声が声援になっているのを感じました。
そしてラスト3分のオーバータイムの次のラウンドの時には完全に自分よりの声援になっていた。それで普段出せない力が出せたかも知れませんね。
全く知らないところの人が自分を応援してくれる,というのを肌で感じることができたし,アメリカの懐の深さを感じることができたから。それがUFCにはまった原因かも(笑)。
Q:UFCの最大の特徴はオクタゴンの金網だと思いますが,金網があるということによってほかの格闘と戦い方がどう変わりますか?
高阪:金網は結局「壁」なんです。ロープと違って,あそこを壁として利用してテイクダウンを取ったり,相手の動きを封じたりといったことができる。使い方を知らないと,ものすごい不利な状況になる反面,逆に使い方を知っていれば知っているほど試合は闘いやすくなる。
以前練習していたモーリスのジムでは,壁全面に金網を張って練習してましたよ。そこで押し込む練習とか,金網に足を引っかけて回る練習とか……しつこくやってましたね。 次のページへ
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