■ 高橋哲哉監督 P.2
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--では,作品の概要が分かったところで,高橋監督の「ゼノサーガ」での仕事の担当を教えてください。
高橋 全体のディレクション(監督)と,それから脚本を担当しました。後はスタッフ間のケンカの仲裁。 実はこれが一番大きい仕事なのかな。
--どんなトラブルがよくありましたか?
高橋 それぞれの担当者が持つ,こだわりのぶつかり合いですね。両者の言い分を,線を引いてまとめる。それは,キャラクターの絵柄やシーンの表現もそうだし,もっと大きな部分でも。以前の会社なら,仕事の進め方が合わなければほかの部署と人員を交換できたんですけど,現在はできないですからね。だから,問題が生じたときは納得がいくまで話し合って,どちらの意見も捨てがたければ,両方を活かす方法を考えます。
--この「ゼノサーガ」でPS2に初挑戦ということになりますが,とくに苦労した点はありますか?
高橋 一番の苦労は人集めと組織作りですね。PS2は非常にハイスペックなマシンなので,プログラムやCGのノウハウが思い切りゲームの質に影響してしまう。とくにプログラムは,膨大なデータをいかに速くCPUに処理させるかという部分で,本当に高いスキルが必要になる。満足の行く人数がそろったのは,実は今年入ってからというくらい大変でした。
--制作チームとしては非常に大所帯ですが,指示が伝わらなくて困ったことはないですか?
高橋 基本的にはないですね。まず脚本を元に,各部署の責任者と打ち合わせをして,そこから実作業に入りますので。あとは得意な分野だけに専念できるような環境を整えて,進めてもらいました。
--分業がうまく機能した感じですね。
高橋 そうですね。従来ならプランナーがスクリプトを使って表現していたイベントの動きを,アニメーターに割り振ったりとか……。たとえば,キャラクターがくるっと回って歩く動作をスクリプトで表現すると,どうしてもカクカクした動きになるんですが,その調整は全部アニメーターに任せて,プランナーには主にアニメーションの指示やタイミングとり,メッセージの表示,カメラの指定などを考えてもらうといった具合ですね。
--ゲーム制作もですが,あらゆる意味で最初は手探りだったみたいですね。
高橋 ある程度,割り切れればいいんですけど,基本的にそれができないので(笑) そういう意味で,ナムコさんのサポートは会社作りのうえでも,ゲーム制作のうえでも,非常に助かりました。今回は,実写に近い演出法を取っているのですが,モーションなどのキャプチャリングの際にナムコさんのスタジオを使わせてもらえました。
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