ファンタジーなのにヘルメット魔界塔士Sa・Ga:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)
記念すべき第20回の「レトロゲームが大好きだ」ですが、取り上げるゲームはダジャレで決めました。とはいえ、この魔界塔士Sa・Ga(1989年・スクウェア)は、単に“ゲームボーイ初のRPG”というだけにとどまらない、個性的なゲームでした。
Sa・Ga県
前々回と前回、ハウステンボスで撮った写真を載せたが、ハウステンボスから東京に帰る途中、佐賀駅で途中下車して、写真を撮ってみた。
佐賀で写真を撮ったというただそれだけの理由で、今回取り上げるゲームを「魔界塔士Sa・Ga」に決めたのだが。
こういう理由で取り上げるのが心苦しくなるくらい、このゲームはいいゲームだし、業界にもたらした影響も大きい。
魔界塔士Sa・Gaは、ゲームボーイ初のRPGである。
このゲームが出るまで、ゲームボーイといえば、「テトリス」に代表されるような、シンプルなゲームの専用機といった印象が強く、RPGには向かない機種だと思われていた。
しかし、これだけクオリティーの高いRPGが生まれたことで、ゲームボーイというゲーム機の価値が高まった。以降、ゲームボーイ用RPGは数多く発売されたし、RPG以外でも、ファミコンソフトに負けない本格的なゲームが多数作られた。
ただ魔界塔士Sa・Gaは、“ゲームボーイ初のRPG”というだけの作品にとどまっていない。
“ゲームボーイのRPG第1弾”なのだから、とりあえず普通のRPGにしても、十分な売り上げは見込めるだろう(ましてや、「ファイナルファンタジー」シリーズのスクウェアだし)。だが魔界塔士Sa・Gaは、決してそんなゲームではなく、数々の意欲的な試みを行なっている。そしてそれらの試みが、強烈な印象を残したのだ。
Eat the meat
まず、システム面から見ていこう。
前回の「百の世界の物語」でも感じたが、RPGの大きな魅力は、キャラクターの成長にある。ストーリーやグラフィックばかりに目が行くと、ついつい忘れそうになるが、優れたRPGは、成長システムも個性的だ。
魔界塔士Sa・Gaは、成長システムを大きな売りとした。成長のしかたが異なる、3種類のキャラクターを用意したのだ。いずれも、「経験値を貯めてレベルアップする」という、普通の成長システムを採用していない。
まずは“人間”。「ちからのもと」などのアイテムを使って成長する。アイテムは店で売っているので、成長させるためにはお金が必要になる。
続いて“エスパー”。ファンタジーRPGにおける魔法使いと考えていい。戦闘後にランダムで能力が上がる。基本的に成長は早いが、力が弱く、直接攻撃でのダメージが少ない。そのかわり魔力は高く、店で売っている魔法の本を買えば、強力な魔法を使える。
特殊能力を身につけることもあるが、戦闘後に別の特殊能力に変わっていたり、失われていたりすることも多々ある。
そして、最も個性的なのが“モンスター”。なんと、倒した敵の肉を食べて成長するのだ!
敵の肉を食べることで、別のモンスターに変化する。前より弱くなることもあるので、肉を食べさせるかどうか、判断は難しい。
4人のパーティーを、どのキャラクターで構成するかは自由。人間が多いと成長は堅実で、持てるアイテムの数も多いが、成長させるためにお金がかかる。おすすめはエスパーを多めに入れること。成長が早いうえに、サイコダガーやサイコソードがあれば、直接攻撃にも威力が出てくる。
モンスターが多いと、成長もしづらいし持てるアイテムも少ないし、不利。ただ、モンスターがまったくいないパーティというのも寂しい気がする。モンスターを使えるというのは、このゲームの大きな特徴でもあるし、1匹は入れておきたいところだ。
成長システム以外では、ほとんどの武器に、使える回数の制限があるのも大きな特徴だ。例えばロングソードなら、50回使った時点で壊れてしまう。魔法の本も同様に、使える回数が限られる。
後半はあらかじめ予備の武器を持っておかないと、攻撃手段がなくなってキツくなる。
それから、携帯機用のRPGということで、屋外でのプレイを考慮して、戦闘中とイベント中以外、どこでもデータがセーブできるようになっている。
今でこそ、携帯機のゲームがいつでも中断できるのは当たり前だが、当時は画期的だった。
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