カードをかざせばモンスターが現れる――次世代トレーディングカードゲーム始動:「THE EYE OF JUDGMENT BIOLITH REBELLION 〜機神の叛乱〜 SET.1」レビュー(2/2 ページ)
カードのモンスターが画面の中で浮かび上がり、生き生きと動き出す――そんなゲームファンの夢をかなえた次世代トレーディングカードゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」がついに始動。誰もが驚いたインタフェースもさることながら、単純ながら奥の深いゲーム性にトレーディングカードゲームの未来が垣間見える。
習うより慣れろ? ――EOJリプレイ
アレコレ解説してきたが、ゲームは遊んでみないとわからないものだ。そこでここでは、筆者がまだルールもうろ覚えだった頃におこなった対COM(コンピュータ)戦を紹介しよう。
使うデッキはどちらも「スターターデッキ」。COMの強さは5段階(ビギナー、アマチュア、ノーマル、ハード、エキスパート)の中間にあたる「ノーマル」。場所は「連合広場」、フィールド構成は「公式」、記録をとりながらのため制限時間は「∞(無制限)」。なお、本文中のカード説明は、クリーチャーなら属性を、スペルならスペルであることのみ補足する程度にとどめておいた。カードの詳細はすべて公式サイトで公開されているため、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。
砦の護りは固かった
筆者の手札は「ヴェルザールの歩兵(土)」、「ヴェルザールの歩兵(土)」、「女エルフの狂戦士(木)」、「ゴーリの地割れ(スペル)」、「迷いの羅針霧(スペル)」というもの。今にしてみると序盤としては理想的な手札だが、この時に筆者はお気に入りの「機巧重戦車(機巧)」が無いのかぁ、などと的はずれなことを考えていた。
先行設定は「ランダム」だったため、今回はCOMが先行になる。
第1ターン。COMは左下の火フィールドに「先制」(※1)を持つ「灼熱の顎(火)」を召喚。
第2ターン。筆者はカードをドロー。2枚目の「迷いの羅針霧(スペル)」が出てきたため、さてどうしよう、と考え込む。と、「ヴェルザールの歩兵(土)」の特殊効果「戦友」(※2)に興味をひかれ、これだ、とばかりに右下の土フィールドに歩兵を召喚。
第3ターン。COM、右中の水フィールドに「女エルフの狂戦士(木)」を召喚。
第4ターン。筆者のドローしたカードは「セ・ホーリンの不敗砦(土)」。また戦車がこないことに落胆しつつ、もうひとつの土フィールドである左中は、「灼熱の顎(火)」と「女エルフの狂戦士(木)」に狙われているので、もう1体の召喚可能なクリーチャー、「女エルフの狂戦士(木)」を右上の木フィールドに配置してみる。が、実はあまり深いことを考えていないことは見え見えだったりする。
第5ターン。COM、左中の土フィールドに「セ・ホーリンの不敗砦(土)」を召喚。なにー!? そ、そこにくるか!? ……とあわてた筆者。このあたりから、判断力を失ってしまう。
第6ターン。筆者のドローカードは「パルマス教の聖宴(スペル)」。とにかくCOMのクリーチャーを倒そうと考え、右下の「ヴェルザールの歩兵(土)」で右中のCOM側「女エルフの狂戦士(木)」を攻撃。「女エルフの狂戦士(木)」の防御範囲は正面1マスのみのため、歩兵は無傷のままダメージを与える。さらに手持ちの歩兵を召喚するべきか悩んだものの、今のままでは出しても倒されるだけだと思い、そのままターンエンドを選択。
第7ターン。COM、左上の水フィールドに「迷い弓の女エルフ(木)」を召喚。これで4マスを支配したため、チェック状態になる。しかも「迷い弓の女エルフ(木)」は、そのまま右上にいる筆者の「女エルフの狂戦士(木)」を攻撃。最初は、なぜこんなことを、といぶかしんだが、「迷い弓の女エルフ(木)」には「回転」(※3)なる特殊能力があり、「女エルフの狂戦士(木)」がクルリと外側を向いてしまう。うわぁ、やべぇ、背中がすすけてるぜぇ! ……と、チェックされたこともあり、完全にあわててしまう筆者。
第8ターン。筆者、「大斧のドワーフ(土)」をドロー。とにかく右上の「女エルフの狂戦士(木)」を守ろうと考えたらしく、虎の子の歩兵2枚目を中上の火フィールドに召喚。左上のCOM側「迷い弓の女エルフ(木)」を排除しようとする。歩兵はこれで2枚目になるため、「ヴェルザールの歩兵(土)」の特殊効果「戦友」によって攻撃力は2に上昇。対する「迷い弓の女エルフ(木)」の体力は2。これで倒せる。良かった、と思いながら画面を見ていると……。
なぜか与えたダメージは「0点」。しばらくポカーンとした筆者だったが、ふと目に入ったのが左中にあるCOM側「セ・ホーリンの不敗砦(土)」。まさかと思い、手札の同じカードを確かめたところで真相が発覚。なんということはない。「セ・ホーリンの不敗砦(土)」の特殊能力「防衛」(※4)によって、隣接する「迷い弓の女エルフ(木)」への物理攻撃がすべて−2点されただけなのだ。
こうして第9ターン、COMは中央に「女エルフの狂戦士(木)」を召喚。これで5マスを支配したことになり、筆者の敗北が決定する……。
敗因は言うまでもなく「カードの把握ミス」。さらに言うと、「ヴェルザールの歩兵(土)」を大切にするあまり、使いどころをあやまってしまった点も大きかった。そもそも「ヴェルザールの歩兵(土)」は1マナで召喚できる手頃なクリーチャーだ。1マナのクリーチャーはトラッシュによるマナ供給の原材料と割り切って使ったほうが戦術の幅も広がったのに……と、何度も遊んでみた今なら理解できる。
まぁ、こういう感じで何度も負けておくのがゲーム上達の近道であるのは言うまでもない。1回のデュエルにかかる時間は、長くても30分、早ければ10分未満という短さだ。しかも難易度を最低の「ビキナー」にしておけば、カードを把握しきっていない状態でもけっこう勝ててしまうのだから、よくできたゲームと感心するしかない(逆にエキスパートは恐ろしいほどに難しい)。
※2 ヴェルザールの歩兵/「戦友」:味方「ヴェルザールの歩兵」がフィールドに置かれている間、このクリーチャーは攻撃力を+1する。
※3 迷い弓の女エルフ/「回転」:このクリーチャーの攻撃がヒットしたとき、対象クリーチャーを180度回転される(クリーチャーは反撃を行えない)。
※4 セ・ホーリンの不敗砦/「防衛」:隣接する味方クリーチャーに2点の守りを与える(対象クリーチャーに与えられる物理ダメージを指定点数分軽減する)。
EOJはまだ始まったばかり
筆者はスターターデッキだけで、もう何十回と対COM戦を楽しんでいる。それでもまったく飽きがこないのは、それだけ「THE EYE OF JUDGMENT」のゲーム性が優れている証拠だろう。さらにスターターデッキのバランスも実に秀逸であり、フィールド構成を変えて遊ぶだけでも、まったく別の戦術眼を要求されるなど、かなり練り込まれていることが実感できる。
しかも「THE EYE OF JUDGMENT」は、まだまだ広がっていく。すでに発売されているブースターパックと5つのテーマデッキで、デッキを作り替えていくことが可能なのだ。しかも、2007年11月現在は第1弾「BIOLITH REBELLION 〜機神の叛乱〜」の中でも3セットあるうちの1つしか発売されていない。セット2は来年2月、セット3は来年6月の発売が決まっている。
また、COMのデッキも、スターターデッキだけではなく、プレーヤーが組み上げたデッキや、関係するカードを1枚でも認識させ、かつ「COMノーマル以上」で指定されたデッキに勝利すれば、そのカードを含むテーマデッキが使えるようになるところがうれしい。実際、筆者が同梱のブースターパックのカードを認識させた結果、新たに「啓示の勇者」がCOMデッキとして使えるようになった。今はこれにスターターデッキだけで勝つ戦術を組み立てるのが面白くて面白くて……あぁ、このままEOJにずぶずぶと……。まぁ、いいか。
いずれにせよ。
「THE EYE OF JUDGMENT」は、その特徴的なインタフェースだけが注目されがちだが、わかりやすい上に奥の深いゲーム性にこそ、その真価がある。カードゲーム単体でもかなり遊べるので、もし購入予定がずっと先であっても、トレーディングカードゲーム好きなら、ぜひともブースターパックやテーマデッキを手にいれ、遊んで欲しいタイトルなのだ。
最後に余談ながら、筆者のブースターパックには「灼熱の顎(火)」、「火に仕えた魔道師(火)」、「フリードニアの放浪霊(火)」、「機巧爆雷機(機巧)」、「クレア・ウィルの旗印(スペル)」、「バートモールの火槍兵(火)」、「ヴェルザールを裂く拳(エレメント)」、「遍在者ジュノー 天籟(大魔道)」が入っていた。君は、どうだった?
「THE EYE OF JUDGMENT BIOLITH REBELLION 〜機神の叛乱〜 SET.1」 | |
対応機種 | プレイステーション 3 |
ジャンル | トレーディングカードゲーム |
発売日 | 2007年10月25日 |
価格(税込) | 9980円 |
同梱 | PS3専用ソフトウェア(「SET.1」のデータを収録)、PLAYSTATION Eye、カメラスタンド、プレイマット、スターターデッキ(トレーディングカード30枚入り)、操作カード4枚 |
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