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番組を知らなくてもレトロゲームが大好きな人ならよかですよ「ゲームセンターCX 有野の挑戦状」レビュー(3/3 ページ)

1984年にアーケードから移植された「コズミックゲート」や、1985年の「からくり忍者ハグルマン」など、ゲーム史を彩った人気作品。これらのゲームが生まれた歴史的背景をひもといていく(注:これらは「ゲームセンターCX 有野の挑戦状」のゲーム内ゲームです)。

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1980年代のゲーム界を再現

画像 ありの少年との雑談でも、会話の内容が時代によって変わる。当時のゲーム界の状況が思い出されて懐かしい

 それぞれの年におけるゲーム界の流行が盛り込まれていて、当時を知る人なら、たとえ「ゲームセンターCX」をよく知らなくても十分楽しめる。

 例えば「コズミックゲート」の時代には、アーケードのゲームが家庭でプレイできることに価値があった。「スタープリンス」の時代には名人が出現する。さらに時代が進むと、雑誌に開発者や広報さんのコメントが載るようになったり、ゲームの発売が延期になったりする。

 取扱説明書も用意されていて、古いゲームでは3色カラーだが、途中からフルカラーに変わり、さらにページ数がだんだん多くなっていく。

 おもしろいことに、当時のゲームの不便だったところまで、不満にならない程度に再現されている。

 例えば、裏技全盛時代のゲームは、コンティニューが隠しコマンドだった。終盤2本のゲーム以外は、ゲーム途中でのセーブができない。逆に終盤のゲームは、各ステージが長くて、ちょっと難しい。

 とはいえ、隠しコマンドはゲームファンマガジンに書いてある。ゲーム途中でのセーブはできなくても、ニンテンドーDSの蓋を閉じればゲームを中断できる。各ステージの長さも、当時のゲームに比べれば大したものではない。

 さてゲーム終盤、ゲーム魔王アリーノーの挑戦は、現在の「ゲームセンターCX」に近いものになる。

 ただしほとんどのゲームに、裏技による抜け道が用意されている。ゲームファンマガジンのバックナンバーをあされば、何か使える裏技はあるから、有野課長のような苦労はしなくて済む。

 とはいえ最後のゲームは、抜け道を使うとパワーアップができないので、かなり苦労した。まあそれでも、アクションゲームの苦手なわたしがクリアできたんだから、そんなに難しくはないと思う、多分。

1980年代末にはボリュームのあるゲームも

 RPG「ガディアクエスト」は、ゲーム暦1987年9月11日に発売される。同じ日に発売されたRPGには、ナムコの「デジタルデビル物語 女神転生」があるが、「ガディアクエスト」は「女神転生」のような3D視点ではなく、一般的な見下ろし型視点のRPGだ。

 この年の1月26日に「ドラゴンクエストII」(エニックス)が発売されて以降、空前のRPGブームが巻き起こり、各社からいくつものRPGが生まれた。「桃太郎伝説」や「ファイナルファンタジー」もこの年だ。

 「ガディアクエスト」には、2つの大きな特徴がある。1つは“アタッキングマークシステム”。それぞれの武器に8個のマークが設定されていて、その組み合わせにより、武器の攻撃力が変わる。威力は大きいが当たりにくい武器もあり、使うかどうかはプレーヤーの判断にゆだねられる。

 もう1つは、ガディアと呼ばれる一部のモンスターを仲間にできることだ。仲間になったモンスターは、数ターンに1回敵を攻撃するが、これがすごい威力。かなり役に立つ。

 迷宮は長くて複雑だが、回復魔法を早い段階で覚え、またレベルがさくさく上がるので、気持ち良く迷宮を探検できる。どこでもセーブできるのもいい。

画像 街の人々の話は、ゲームが進むと変わることがある。特殊な敵が隠れている場所を教えてくれる人も
画像 アイテムには「課長の名刺」「ひえピッタン」なんてものもある。ひえピッタンを使うと目が覚める

 そして最後のアクションゲーム。発売がゲーム暦1989年という設定なので、大きなキャラクターが動き、ステージマップが広い。ステージ間のビジュアルシーンも凝っている。

 かなり難易度が高いので、何回もやられて敵の出現パターンを覚え、少しずつ進むことになるだろう。

 まさに、“有野の挑戦”でよく見た場面を、ゲームで体験できるのだ。ボスキャラ戦でも、有野課長さながらの一進一退の攻防が味わえる。

番組のファン向けに多数の小ネタも

 「ゲームセンターCX 有野の挑戦状」は、基本的に1980年代の雰囲気を味わうコンセプトなので、もとのテレビ番組「ゲームセンターCX」との関連性は薄い。

 ただ、番組のファンだけにわかる小ネタも満載。ゲーム中にありの少年が音声で入れるツッコミの中に、「パターン入った!」「ガメオベラ」「有野オーン!」(まだ課長じゃないから「課長オーン!」ではない)など、番組での有野さんの言葉がいくつか出てくる。

 ゲームファンマガジンには、番組スタッフがゲーム開発者や名人として登場。あんなキャラの濃い名人が、もし当時実在していたら、大人気になっていただろう。

 番組で有野課長をサポートするADの皆さんは、歴代編集長になっている。初代の東島さんは、編集長を辞めてアメリカへ行った後、いったん出戻ってくる。芸が細かい。

 番組で有野課長やスタッフが使うホワイトボードも、メモ帳という形で再現。タッチペンを使って、各ゲームのマップやヒント、裏技情報などがメモできる。

 各ゲーム内にも、「ラリーキング」のドライバーが“ヒゲのおっさん”(しかも名前がマーサー・アリオ)だったり、2周して初めてクリアとなるゲームが多かったり、アクションゲームで鳥(社員になりたくてしょうがない敵)が猛攻を仕掛けたりと、番組の1シーンを思い出させる要素が入っている。

 ちなみに、エンディングのスタッフロールが終わった後、何もしないでしばらく待つと、ちょっとした(本当にちょっとした)お楽しみがある。

 直前のゲーム魔王アリーノーのセリフもあったし、このゲームを作ったスタッフが、「たけしの挑戦状」をすごくリスペクトしていることがうかがえた。

画像 編集長のコラムでは写真が入るが、番組で募集した歴代ADさんの似顔絵になることもある
画像 ありの少年との雑談でもなぜか、番組ネタがいくつか出てくる

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