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ブランドとして世界一を目指す――レベルファイブ会社説明会

レベルファイブは、2009年度の新卒学生を対象とした会社説明会を、2月8日天王洲の銀河劇場で開催。芸能人が多数参加するお芝居での説明という、一風変わったものとなった。その真意とは?

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エンターテインメントの基点としてのレベルファイブに

レベルファイブ代表取締役社長・日野晃博氏は、学生にどう呼びかけるのか? その答えがお芝居にあり?

 レベルファイブは2009年度の新卒学生を対象とした「レベルファイブ会社説明会」を開催した。レベルファイブは昨年、お笑いコンビのアメリカザリガニの2人がゲーム業界で働くことに対する漠然としたイメージや疑問をコント形式で表現するなど、一風変わった説明会を行ったことで話題となった。

 今年は2月8日に東京、2月19日に大阪、2月22日に福岡と3つの会場で、ゲーム業界で働くことの「楽しさ」や「苦しさ」を“芝居仕立て”で学生たちに披露する「ゲーム・クリエイター物語」と題して芸能人を起用して開催される。出演者は、昨年に引き続きアメリカザリガニの2人に加え、相沢真紀さんら。東京会場のみスペシャルゲストとして、はなわさんが参加した。

 2月8日、東京での説明会は天王洲にある銀河劇場が会場となった。通常の会社説明会では劇場を会場とするところは少ない。3都市で最初ということもあり、学生たちは何が行われるのか分からないといった様子。粛々と受付を済ませ、席についた。

実績の説明

 冒頭、会社説明ガイダンスビデオでレベルファイブの業務やオフィスの様子が上映される。その後、代表取締役社長の日野晃博氏が登壇し、設立からの10年を軽く紹介、今後のパブリッシャーとしてのビジョンを提示する。「冒険の年」と位置づけた昨年の売上実績は36億円に達し、レベルファイブは次なるフェーズとしてブランド力の向上を目指すという。会社説明会では、自分がやりたいことが果たしてレベルファイブにあるかどうかを見極めてほしいと語った。

「ゲーム・クリエイター物語」

 会社説明を目的としたお芝居は、実際にレベルファイブに送られた“ある手紙”を元に作られている。あくまでもフィクションとのことだが、事実も多分に含まれているとのこと。これを見て、ゲームの素晴らしさを分かってほしいという趣旨だ。

 舞台は架空の新進ゲーム制作会社「ラベル5」。「トラベルハンター」というRPGを大ヒットさせたが、最近はあまり振るっていないらしい。このトラベルハンターを企画開発した柳原は、最近スランプらしく周囲に当たり散らすほどピリピリしている。それに巻き込まれる周囲も辟易しているというのだ。そんなとき、天才クリエイターの呼び声高い男がヘッドハンティングされ、ラベル5に来たというのだが……。

上手にサスが入ると化粧室だろうか、女性2人(相沢真紀さん、広瀬美紀さん)が会社の現状についてグチっている。柳原のセクハラまがいの発言に頭が来ているという。そこへ沼田由紀子さんが登場。柳原が怒っていると伝える
オフィスに戻ると柳原(アメリカザリガニ/柳原哲也さん)が相変わらずピリピリしている。そこに営業の平井(アメリカザリガニ/平井善之さん)が登場。柳原に話があると連れていく。どうやら天才クリエイター・ヤジマショウがヘッドハンティングされてくるという噂が
噂は本当だった。ヤジマショウ(はなわさん)がベースを持って派手に登場。挨拶がわりにと、モノマネやネタをやり倒す。「サガ2008」や「ガッツ伝説」など持ちネタを披露。天才ぶり(?)をいかんなく見せつける

ヤジマは現在企画を練っているパズルゲームの方向性を的確に指し示す。その独断ぶりは好評で、柳原に少なくとも反感を持っていた人々は、ヤジマを持ち上げる。柳原は面白くない
時と場面は変わって屋台。柳原が屋台の店主(高木稟さん)を相手に飲んだくれていると、平井がやってくる。会社を休職している柳原を元気づけようというつもりらしいそこへ真紀がやって来て、ヤジマがまたほかの会社に転職したことを告げる。柳原に戻ってきてほしいと懇願する
踏ん切りが付かない柳原に、ファンからの手紙を読んで聞かす真紀。その手紙を送ってきたファンは、病気で伏せっており、「トラベルハンター」の続編を楽しみにしているという。「ヒーローになれる」……そんなファンの気持ちに、柳原は改めてゲーム制作に意欲を燃やす。そこに真紀のケータイが鳴る……

そして時は流れて……。「トラベルハンター2」は100万本の出荷を達成し、オフィスでのお祝い風景。しかし、真紀の表情がどこか優れない。乾杯をしていると、守衛がファンからの手紙をまとめて持ってくる。守衛は屋台のオヤジだったりする
そのたくさんファンの手紙の中に、例の病気の彼のものを見つける柳原。真紀に読むように言いつける。はたしてそこには何が書かれているのか?
芝居はこうしてクライマックスへ。最後はたくさんの感謝が舞台にあふれる

そこへ、真紀のケータイが再び鳴る。相手はいったい誰なのか?
こうして「ゲーム・クリエイター物語」は大団円を迎える。ゲーム制作はそれほど簡単ではない。しかし、こうした事件やエピソードが日々起きる、刺激的で創造力あふれる現場であるのだろう
ちなみに進行上、ゲーム専門用語が飛び出すとラウンドガールが登場し、ていねいに用語解説を行うという仕掛けも。舞台は笑いあり泣きありの充実の内容だったようで、涙ぐむ学生の姿も見られた

「クリエイターズ・セッション」

左から司会の橋本さん、広報の丸屋氏、第1制作の赤坂し、第2制作の真島氏、第3制作の楠田氏、そして代表取締役社長の日野氏

 お芝居のあとは、レベルファイブの各部門を代表して、広報・マーケティンググループ広報セクションチーフの丸屋教子氏、執行役員兼第1制作グループマネージャーの赤坂泰洋氏、執行役員兼第2制作グループマネージャーの真島猛氏、執行役員兼第3制作グループマネージャーの楠田芳晃氏、代表取締役社長の日野晃博氏、そして司会として橋本志穂さんが、業務内容や仕事についての疑問に答える「クリエイターズ・セッション」に移る。

 当然、学生にとってはゲーム制作がどのようなものなのかよく分からない。そこを簡潔に答えていこうという内容だ。例えば「企画書はどのようなものなのか?」という質問に、簡潔なのが一番でそこからチームで話しあいをしていくなど、日常生活の中からのアイディアを大事にしていることが紹介されたり、お芝居の中でも話題になっていた「マスターアップ」について、ドラマよりも厳しく忙しいと言及。その代わり、完成すれば達成感もあるし、長期のリフレッシュ休暇などがあると説明していた。

 レベルファイブが求める人材としては、ゲーム制作がチームで取り組むこともあり、人とのコミュニケーション力が大切と説く。お芝居に登場した「ヤジマ」のように才能あるクリエイターも必要だが、まずはコミュニケーションというわけだ。実際、ヘッドハンティングのようなことは福岡では少ないとのこと。日野氏は一度だけ誘われたが。断ったというエピソードも飛び出した。実際に就職するとなると福岡となるだけに、福岡の住環境やオフィスの周囲情報、福利厚生にも触れられた。


受付に並ぶリクルーターたち

 続編主義やタイトル依存のゲーム市場で、レベルファイブはメーカーとしてのカラーを打ち出し、レベルファイブというブランドでタイトルを安心して購入してもらえるよう成長していきたいという目標を持っている。まずは国内でのブランド力を上げながら、海外でのローカライズなど現地の法人らと話し合いながら拡大していきたいとのこと。

 一風変わった説明会だったが、ゲームを作る楽しさを表現するには十分だったようだ。注目度も高く、東京会場は2回に分けて開催。どちらの回も劇場をリクルートスーツの紺色が埋め尽くす人気だったようだ。


2回に分けて開催された東京会場の様子。学生には熱意ある活動を促した

 そうなると来年の会社説明会も、また何か変わったものを求められるのではないか? と余計な心配をしてしまうが、「今回劇団レベルファイブとして最高の芝居ができた」という出演者たちは、「来年、ここにいる新卒者たちが入社し、彼らと舞台を作れることを願っています」と、ミュージカルへの挑戦をほのめかす。冗談のつもりでも、意外と実現してしまうかもしれない。日野氏はその際、出演者としてステージを踏むとも言及。そのへんも期待したい。

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