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China Joyに行ってきた、ついでにパイラシーって何だべ?くねくねハニィの「最近どうよ?」(その43)(3/3 ページ)

くねくねハニィが7月末に上海で行われた中国最大のゲームショー「China Joy」に行ってきたらしい。ぎっくり腰を乗り越えてショーのリポートをしてみたそうな。「パイラシー」ってなんでしょう?

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中国のパイラシーの現場を見た!

 PCの自由度から見ると、コンソールの制約は非常にうっとうしいものなのか、アジアではコンソールの出回りがイマイチ。もちろんハードだけでなく、正規版ソフトはまったくと言っていいほど買ってもらえない。いや、本当の理由は正規版を持って行ってもハードは改造されるわ、ソフトはコピーされるわってことで、どこも本気で持っていけないのだ。

 過去にWiiにそっくりな「Vii」というハードを発売した中国ですけど、結局はChina Joyで見られる通り、やっぱりPCがメインのゲーム市場。コンソールはコピー商品ばかりなのかと思い、滞在中に上海の秋葉原のような街と言われる「徐家氾」というところに行ってみたのですが、なにげに正規品もちゃんと売っていました。

 ただ、店の前でWiiの外付けハードディスクが堂々と展示(ソフト100本入り!)なんてことも当然あったりも。中身を確認したところ、あらゆるWiiの代表的なソフトが盛り込まれていました。このHDの価格は言い値で600元(約8500円くらい)。正規が1本5000円としても100本だから50万円分のソフトが入ってるってことになります。ユーザーにとっては相当お得。でもさ、ソフト作った人たちの気持ちはどうなるんでしょう?

 一番驚いたのは、PS3までパイラシーってこと。PS3の外付けHDがこちらも言い値で700元(約1万円)。100本分のソフト入りはWiiと同じなんだけど、クロスメディアバー(XMB)くりそつなメニューが現れて、何と日本語にも対応していたということ! 何てことでしょう。英語版&日本語版の新作ソフトがいろいろと入っておりました……。

 度肝を抜くのは、お店の中でスーパーの袋に大量に入ったDVD-ROM。中を見るとたくさんのXbxo 360向けソフトのコピーが入っており、1枚10元(140円くらい)で販売されていました。手に取ると、それは「Final Fantasy XIII」でした(涙)。



アジアだけではない……パイラシー問題

 大昔、ゲームボーイのソフトが50本入ってるカセットとか香港で見たときに、あーあと思っていたんだけど、まさか現在までこんな状況とはなぁと改めて驚愕した次第です。ネットの安全性もそうだけど、ソフトのコピー対策はいたちごっこ。どんな方策を用いても破って来るヤツがいるのは世の常なんですけどね。

 前述した通り、PSPは欧米でそれなりの台数をさばいているのにソフトが売れないのは違法サイトによるフリーダウンロードが正規購入を阻んでいるからと言われています。韓国でPSPが発売された後、まったく正規品が動かなかったのも同じ理由。もちろんソニーも闘っているけど、消しても消してもまた新しい違法サイトが生まれると言う、まさに悪のスパイラル。

 R4に至っては、スペインでは合法とのこと。メーカー側がスペイン語に訳したらそのままフリーソフトとして扱われるので、翻訳代も回収できないってことになる。そんなこと誰もやりたくなくなっちゃうよね。そんなこんなで、ソフト自体を発売することもままならない状況を招くパイラシー問題なのでした。

 コンソールやハンドヘルドの場合は、やっぱりハードメーカーの責任だとハニィは思うんです。そのハードの制約を守って、そのハードのために頑張って作ったサードパーティは、「コピーされちゃった」じゃ済まないと思う。

 新ハードであるニンテンドー3DS、PS Vitaともにココのところ、よろしくお願いしたいところですね。サードパーティがきちんと開発費を回収できる前提でしかソフトビジネスって成り立たないんですから。

オンラインが救う?

 中古のお話をしたときにも言ったけど、こんなパイラシー問題を解決する手段として、オンライン対戦や追加DLCがあげられるとは思います。パッケージのIDと照合することによって、ネット接続を制約することができるからです。ゲームのスタンドアローン部分はやむを得ないとしても、本来楽しむべきネット部分は正規でないと遊べないって制約をソフト側に仕込むことができるからね。

 例として挙げられるのは、Blizzardの「Diablo3」。シングルプレイであるにもかかわらず、常時ネット接続を要求しているのだ。Blizzard側の説明ではプレイヤー同士がアイテム販売を行うにあたりゲームの改造まで行われない様に監視するため、とのこと。ただし、Blizzardはこのユーザー間の取引に関してネット上で手数料をチャージしている。PtoPであれば見過ごしていたはずの課金を実現しているところも、本来のコンテンツプロバイダーとしては正しいかなとハニィは考えます。

 また、ちょっと前に紹介したEAの「Project Ten Dollars」では、新品を買った人だけがアクティベートされるコードが入っていて、中古購入者がオンラインで遊ぶためには別途オンラインパスを10ドルで購入しなくてはいけないって説明したけど、これは違法コピーした人も同じ。実際には中古もパイラシーも認めてることになるではないか! とも言えるけど、オンラインの際にきちんと課金するって意味では「タダで遊ぶ! は許さない」方策なんですね。

 欧米ではPC市場が昔から大きかったことがあって、中古やパイラシー問題にずっと悩まされてきたわけで、対策の意味でネット戦略が日本より先行してるのもうなづけます。

 ただし、こちらもセキュリティを破られてしまえば元も子もないんだけど、何も手立てをしないよりはリスクが下がるということは間違いないでしょう。

ハニィのあとがき

 China Joyのために7月末から中国に行ってたハニィですが、出発前日にぎっくり腰、出張中は顔面アレルギー(どうやら黄砂アレルギーの模様)に見舞われ、散々な出張になってしまいました。ただ、いろいろと考えることは多かったですね。

 北米市場が縮小して、中国市場が拡大って話になれば、必然的に中国への進出を考えなくちゃいけません。でも、パイラシー問題やインストールベースを考えると、既存のコンソールプラットフォームビジネスは難しいなと思ってしまう。

 そう考えると、PCやスマホなどのプラットフォームへの展開は急務かもしれない……って言うか、そのプラットフォーム議論すらムダかもしれないなと思ったりもします。5月、6月の北米市場ソフトランキングを見てもお分かりの通り、ワンソースマルチユースの観点から考えれば、プラットフォームに依存するソフトの限界を感じます。コンテンツをできるだけ多くのユーザーに! と考えれば、どのハードであろうと遊べるってのがユーザーにとって一番嬉しいことのはずなんですからね。

 そんなこんなで、この夏はドイツのケルン行われるGamesCom(8月17日から開催)に行ってきます! 実はライプチヒのGame Convention以来初めてのヨーロッパ取材なのだ(汗)。こちらも帰国後報告したいと思っています。と、言ってるうちに日本でもCEDEC、東京ゲームショウとイベントが続きますな〜。マーケットも忙しくなってくれることを祈って。ではでは行ってきまーす♪

くねくねハニィのプロフィール

1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。

小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。

1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。


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