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ヤマハ発動機のスポーツクルーザーに乗って来た!(3/3 ページ)

いつもは小型ガジェットを紹介することが多いわけですが、たまには大きい製品も紹介してみましょうということで、行って来ました真冬の東京湾。ヤマハ発動機のスポーツクルーザーに乗って来ました。

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ヤマハ発動機 ボート事業部 舟艇製品開発部 デザイン統括 薄雅弘(うすき まさひろ)氏に聞く、「SR310」の開発コンセプト

 「SR310」のように居住性が高い、エクスプレスクルーザータイプの船はアメリカに多いのですが、アメリカは市場が大きいだけに既製パーツも数多く流通しています。そのため、中には、それらを買ってただ組み付けただけのような、似たり寄ったり、寄せ集めの特長がないデザインの船も見受けられます。

 ヤマハとしてもフィッシングボートではなく、スポーツボートというカテゴリーのボートは久しぶりだったということがありました。さらに、これで世界に打って出るのだという非常に重要なプロジェクトだったということもありました。それらもあって、ダブルウィンドシールドをはじめとしたデザイン面にこだわり、最新のFRPの技術を駆使……具体的には、型をセンターで割ることで、ハル(船体)を製作、船体側面の複雑な形状を実現しています。

画像 大型のサイドウィンドウがダブルになっているなど、随所にフィッシングボートとはまた違った流麗なデザインが採用されている

 外観だけでなく、内装にもこだわっています。このサイズのボートで、室内に本革を使用しているというのは、世界的に見ても、あまりないのではないかというこだわりです(グレードによっては本革でないタイプもあり)。それだけデザイン、細部の仕上げには気をつかいました。

 船体デザインのスクエアバウに関しては、キャビンで横になったとき広々と感じるという利点もありますし、デッキ面積も広く取ることができます。また、航行時にしぶきがかからないようにエラが張り出したデザインとすること。それによって、スタイリングと機能を両立させるとともに、従来のビレット型デザイン(船首が砲弾のようにとがったデザイン)を採用したものとの差異化をはかっています。

画像 デッキデザインを四角く張り出したものにすることで、存在感のあるデザインを実現。デッキでの作業のしやすさ、ゆりとりのあるキャビンスペースの確保などにも貢献している

 ヤマハ発動機は50年間以上、FRPボートの開発をしていますが、マーケットをリサーチして多く聞かれた意見は「機能的だが、スタイリングに特長がない」というものでした。

 それではスタイリングの評価が高いのはどこかというと、イタリアなどのヨーロッパボートだということも分かりました。

 そういったリサーチ結果から、ヤマハ発動機が船外機で世界的に高い評価を得ているように、ボートのデザインでも高評価を得るためにはどうしたら良いのか……ほどほどの変更などでは、立ち向かうことはできないと考えたのです。

 しかし、そのままイタリアのデザインを踏襲するような方法では、ただのヨーロッパ風デザインになってしまいます。そこで、よりエモーショナルなデザイン。それをユーザーの皆さんのライフスタイルに合わせ、妥協せずに追求する。加えて、日本ならではのオリジナリティ、きめ細やかなディーティールへのこだわりを大切にしてデザインしたのが「SR310」なのです。

実際にボートで楽しむためには何が必要か?

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Q 購入するには予算はどれぐらい必要でしょうか? 本体以外で必要になるものもあれば、それについても教えてください。

A 2011年の春に発売された人気モデル「SR-X」なら、50馬力の船外機がセットで218万円から購入できます。今回、紹介している「SR310 F350」は、メーカー希望小売価格1896万1425円となっています。

 以上が基本的なところで、各モデルにはオプションが用意されていますので、自分の船の使い方(遊び方)に合わせて選んでいただくことになります。また、車のカーナビに相当する「GPSプロッター」や魚釣りでは必需品の「魚群探知機」など、航海計器も必要に応じて取り付けていただくことになります。詳細は、最寄のヤマハボート販売店にご相談ください。

Q 船舶免許は何が必要になりますか? またどうすれば取得できますか。

A 2級以上の「小型船舶操縦免許証」(以下、ボート免許)が必要になります。エンジン付きのボートやヨットを操船するためにはボート免許が必要で、1級から特殊小型まで4種類あるのです。

 1級を持っていれば、ボートやヨットなどの小型船舶を外洋100海里まで操船することができます。しかし、陸岸が見える範囲内でフィッシング、クルージングなどを楽しむのであれば、2級免許で十分です。

 また、マリンジェットなどのパーソナルウォータークラフトを楽しみたいのなら、特殊小型免許も必要になります。最もポピュラーな2級免許の場合は満16歳から取得することができ、総トン数20トン未満(プレジャーボートは24メートル未満)のボートやヨットを平水区域と呼ばれる川や海などの決められた水域および海岸より5海里(約9キロメートル)以内の海域で操縦することができます。

 ヤマハでは、東名阪中心に「ヤマハボート免許教室」を開催しています。2級の場合なら、最短2日間で免許の取得が可能です。料金はコースによって異なりますが、2級の2日間(クイックチャレンジ)コースなら8万5400円から、通常コースで9万5900円となります。詳しくはヤマハ発動機のホームページ、ボート免許の取得・更新をご覧ください。

Q 保険、係留の費用なども含めて、維持費は年間どれぐらいになりますか?

A 都心からも近い日本最大のマリーナ「横浜ベイサイドマリーナ」に、今回の「SR310」を保管した場合の料金(C区画)を例に説明します。

 年間保管料が94万5000円で、施設使用料が4万7250円、保証金が135万円です。保証金に関しては、初年度のみで解約時に返金されますのでそれを差し引くと、だいたい年間100万円ぐらいです。

 いきなり自分の船を所有しなくてもレンタルすることができますから、まずは2級免許の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

Q そのほかに初心者が注意すべきことがあれば教えてください。

A まずは信頼できる販売店に相談し、自分に適したモデルを選ぶことが重要です。販売店は進水後のメンテナンスや「遊び」の相談なども含めて、永い付き合いになりますので自分に合ったお店を選び、営業マンとコミュニケーションを取ることも大事で、それが長く楽しんでいただくいちばんの秘訣ですね。

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