メジャーを狙うジャニーズJr.みたいだった――終了したサービスの経験を語る「失敗カンファレンス」が大盛況:「Vox」「nowa」を覚えてる?(2/3 ページ)
シックス・アパートの「Vox」やライブドア(当時)の「nowa」など終了したサービスの担当者が経験を語る「失敗カンファレンス」が大盛況。nowaの担当者は「自分のセンスのなさを直接批判される感じがして」辛かったと当時を振り返り、最後を看取る重要性を説く。
「わけ分からん組織に」――「Vox」の場合
nowaと同じく、ブログサービスである「Vox」の例も紹介しよう。Voxはシックス・アパートの4つ目のサービス。ブログや写真の公開範囲を「友人のみ」「家族のみ」と細かく指定できるプライバシーフィルターが特徴で、当時はTech Crunchも「これは皆さん、気に入るでしょう」とベタ褒めだった。
「200人程度の会社で4つ目のサービス。わけ分からん組織になって非常に大変になることが今だと予想できるんですが……」と関さん。Voxに人的リソースを集中させた結果、Voxのエンジニアは30人近くいるのに、TypePad担当は数人程度――というアンバランスな状況になった。結局2年経て世界で60万ユーザーしか獲得できず、2010年10月に終了。「ベンチャーは1つのサービスにフォーカスすべきということがよく分かった」。
Voxは、米Six Apart創業者のミナ・トロット氏が深く関わっているサービスでもあった。「本人があまりソーシャルじゃないんですね。ちょっとした仲良い人たちと上質な会話を楽しみたいみたいな感じがサービスに出ていた」。ソーシャルなサービスを出すなら、“中の人”もソーシャルに強くなくてはヒットにつながりにくいのかもしれない。
赤松さんは社外からの視点で「Voxはきれいにまとまって良いサービスだと思ってたけど、Movable TypeやTypePadがあるなかで位置づけが難しかったのかな」とコメント。いちるさんは「同じ時期に(オープンなサービスである)Twitterが出てきた。Voxは閉じているんですよね。時代の変わり目だったんですね」と、感想を述べる。
流行っても心が折れては続かない
人気があっても失敗したケースがある。尾下さんはKDDIを辞めた後、携帯向けデジタルカメラ「PashaPa(パシャパ)」を使ったホームページ作成サービスを手掛けていた。月額200円で3日で3万人のユーザーを獲得し「すごいもうかるじゃん!」と盛り上がったが、アップロードされるコンテンツはエロ、グロ、犯罪予告がほとんど。24時間体制で削除に追われることになった。
「心が折れて疲れてしまってやめました。(Webサービスは)気合いというか覚悟とか青写真ないと続かないと思いましたね。いくらのサービスにしたくて、次何やりたいかっていうのがなかったんで」。関さんも「嫌々やるのは良くない。完全に腑に落ちていないものをやってみるとうまくいかない。継続しないと思うんです」と付け加える。
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