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【妄想用】婚姻届、乙女すぎる♥ドライバーセット――ゼクシィ編集長がヒット付録に込めた願いとは?信念は「Love & Fun」(2/2 ページ)

最近ネットで話題の「ゼクシィ」の付録。そこには一体どんな思いが込められているのだろうか? 編集長に聞いてみた。

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 ゼクシィの付録は編集長の勘とセンスだけで企画されているわけではない。2人体制で付録専任担当者がおり、編集長・副編集長・デスクも同席する会議で最終的に決まる。それだけではない。付録の担当者は直接、読者の声を聞きにいくのだ。

 直接とはどういうことか? ゼクシィには「花嫁1000人委員会」と名付けられたサポート委員会が存在する。メンバーは、結婚式を2年以内に挙げた読者の中から選抜された人たちだ。

 「結婚式は、一生に一度しか経験しない人が多い。だからこそ、後悔や成功体験を伝承する役割が必要」という思いから、編集長が組織した読者コミュニティー。そのメンバーにアンケートや座談会形式で、編集部が考えた付録企画案をぶつけてみる。

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 「花嫁1000人委員会」から生まれたヒット作は少なくない。7月号の「可愛すぎる♥洗濯ネット」もヒット。「洗濯ネットは消耗品ですぐボロボロになるから」という読者の声から生まれた。


7月号の「可愛すぎる♥洗濯ネット」

 さらにもう1つ。ネットユーザーの間でも非常に話題になった、9月号の「乙女すぎる♥ドライバーセット」。花嫁のイメージとは対局にある、あのドライバー(=工具)を乙女チックにしてゼクシィに付けたのだ。


9月号の「乙女すぎる♥ドライバーセット」

 これには、逆に編集部内から心配の声が上がった。「ドライバーに萌えはいるのか?」。しかし「花嫁1000人委員会の言うことなら」と企画を断行。雑誌の表紙ではあまり堂々とアピールしなかったものの、これが大ヒット。「ちょっとした雑貨を組み立てるとか、最後にねじをちょっと調整するとか、必要なシーンはある」という委員会の声は、結婚準備中の読者の声を代弁した格好になった。

 これだけ話題になる企画アイデアを、付録という実在の形に落とし込む仕事には苦労がつきもの。例えば妄想用婚姻届も、付録として扱うためには専門の機関に問い合わせなければならない。また、雑誌の中でもただでさえ分厚いことで知られるゼクシィが、付録も含めて規定の厚さに収まるため、編集部内で付録単体の厚みは15ミリと決められている。

 そういった制約を毎月クリアしながら、付録というプロダクトを作りつづける編集長の信念は「Love & Fun」だ。

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 「プロポーズした瞬間から、結婚する2人の生活は一気に非日常になる。ゼクシィは当日までその非日常をサポートしていく雑誌。結婚式の仕切り方や常識、マナーなど、学んだ方が役立つ知識はたくさんあるし、会場や指輪などを選ぶというシーンもある。だからゼクシィを読んで良かったと思ってもらえるような魅力的な情報を届けていくことが私たちの仕事。でも、Webとは違い、書店から4キロもある雑誌を持って帰っていただくものなので、なおさら情報だけじゃない何か、例えば愛やメッセージもそこにあってほしい。結婚おめでとう、お幸せに、という気持ちを伝えられる雑誌でありたい。ハートが感じられるものでありたいんです。だから付録も、ただ付録を作るのではなく、片手間で作るのではなく、ハートを、魂を込めろと編集部員に伝えています」

 最後に付録とは関係ないが、ねとらぼ読者の中にもいるであろう結婚準備中の方に参考になる、最近の結婚式の傾向を聞いた。

 「結婚式のトレンドはおよそ10年ごとに変わっています。80年代は派手婚(きらめく金屏風、スポットライトなど)。90年代は地味婚(バブル・派手婚からの揺り戻し。婚姻届だけ、レストランで食事だけ)。2000年代はミレニアム婚から始まり、ゲストハウスや自然に囲まれ、自然体な演出を行うアットホーム婚。2010年代は、出席者と結婚する2人のつながりを感じられる演出のつながり婚(アットハート婚)がトレンドです」

 ゼクシィの付録がヒットしている理由は、決してウケ狙いでも、編集部の勘とセンスによる独断でもなく、読者の声に耳を傾けた努力のたまものだった。読者の皆さんも“そのとき”が来たら、書店でゼクシィを探してみては?


伊藤綾編集長と編集部の皆さん
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