観光庁がMMD杯の選考委員になった理由 心を動かした1本の初音ミク動画とは
JR仙石線に乗って旅する初音ミク――1本のMMD動画が観光庁の心を動かしました。
フリーソフト「MikuMikuDance」(MMD)を使用した動画コンテスト「第10回MMD杯」の結果がこのほど発表されました。今大会は、観光庁やファミリーマートといった選考委員の顔ぶれがカオスな点も話題になりました。現在、公式サイトでは総評が公開されており、観光庁の“中の人”が自ら参加した理由を説明しています。
観光庁が選考委員を務めることになったきっかけは、1本の動画でした。それが前回(第9回)の「Mitchie M賞」を受賞した「トウナ ステイション ~或る日常の風景~」。東日本大震災の影響で現在も一部区間の運転を見合わせている、JR仙石線(宮城県)の在りし日をCGで描いています。沿線の風景などがリアルに再現され、視聴者からは「一瞬MMDだってことを忘れる」といったコメントも。電車に揺られる初音ミクがかわいいです。
この動画を見て、観光庁の“中の人”は「2年前の3月11日に失ってしまったもの、これからこの国が取り戻していかないといけないもの」に思いを馳せ、「作品に表現するということの力の偉大さ、創造力」に圧倒されたそうです。その思いは、第10回に投稿された作品を見ても変わっておらず、「作品の1つ1つが大きな説得力を持っていました。観光庁の言葉の弱さを痛感しました」とつづっています。
震災後「義援金でなくても、ボランティアでなくても、旅行や仕事で被災地に行くことが復興につながっていくんだ」というメッセージを国民に発してきた観光庁。総評の最後では「MMD杯を愛する全ての方へ、お願い」として「被災地に行こう。旅行でも、仕事でも。被災地に行こう。そんなメッセージを皆さんの作品の力で伝えてください。観光庁の言葉だけでは、まだまだ足りないんです。どうか皆さんの力を貸してください」と呼びかけています。
なお、第10回の観光庁賞には「世界の果てを探した男」が選ばれました。「このちょっと不思議な作品に落ち着きました。みんなが世界の始まりを歩き続ける、そんな国でありたいですね」(観光庁の寸評より)。
※追記:公式サイトにあわせ、表現を「審査員」から「選考委員」に修正しました
関連記事
「第10回MMD杯」本選開幕、審査員がカオス 観光庁、ファミマ、いまいち萌えない娘!
官公庁の参加はこれが初めてのようだ。東日本大震災から2年 Yahoo!トップページが特別仕様に
Yahoo! JAPANのトップページが、「東日本大震災から2年。3年目の復興へ。」と題した特別仕様に変わった。Googleが福島県浪江町でストリートビュー撮影 警戒区域も
数週間程度かけて撮影し、数カ月後の公開を目指す。大河ドラマ「八重の桜」舞台の鶴ヶ城でプロジェクションマッピング
東北初のプロジェクションマッピングとして、鶴ヶ城に映像を投映する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.