女装メイクのコツは「足し算ではなく引き算」――「男のメイク講座」でわたしも女の娘になれました!(2/2 ページ)
メイク未経験の男性記者が、女装メイクに初挑戦。
女の子に変身することの奥深さを教えてくれた女装メイク講座。開講した「NEWTYPE」は、女性の姿をファッションとして着飾る男性“男の娘”が接客するカフェ&バーだ。初の“男の娘”のお店がオープンして4周年……人々が足を運びたくなる魅力とは何なのか、記者も訪ねてきた。
初めての男の娘のお店
お店は秋葉原駅から歩くこと約10分。男の娘のイラストが描かれた看板を横目に、ドアを開けるとチャイナドレス姿のスタッフがこちらに気づいて声をかけてくれた。
「いらっしゃいませ!」
おお、声が低い! そりゃまあ男の娘のお店なんだから、うっすら男性だと勘付いてはいた。ただ目の前の女の子姿と耳にする声のギャップは、構えていてもショックを受ける。現実の男の娘は写真よりもずっと女の子らしい容姿なのだ。女装メイクを体験した後だと、彼らの変身レベルの高さに恐れ入る。
NEWTYPEは1ドリンク込みのチャージ料(1300円)を払って、メイド服姿の男の娘たちと気軽に話せる飲食店。この日は5人の男の娘がいて、4周年記念ということでチャイナドレスで接客していた。座席は9割方埋まっており、お客さんは男女半々、年代も大学生っぽい人から会社員風までさまざまだ。普段の客層もこのようなものだという。
ストレスフリーな接客による居心地の良さ
店内の雰囲気はゆるい。男の娘たちの対応はくだけていて、お客さんというよりは友達のように接している人もいる。声や話し方で明らかに男性だと分かる男の娘もいれば、口に手をそえて柔らかく笑うなど、しぐさまで女性らしい男の娘もいる。
こうした男の娘たちのフランクさや多様性は、「女装はあくまでファッション、接客は素の自分で」というNEWTYPEの方針によるものだ。店員には女装しているからといって女性らしさは強制しない。あるがままに自分らしく接客してもらうことで、「男性が女の子の格好をしても何もいけないことはない」という、自由な生き方を提案している。
秋葉原の新しいマスコットキャラ
オープンのきっかけについて、副代表のちあきさんにお話をうかがった。
「秋葉原はコスプレイヤーも多くて、もともと女装に寛大な街です。街にメイド喫茶が流行して、メイド服を着てみたいという男の娘も増えてきたので、メイド喫茶を男の娘だけでやるのは新しくておもしろいかも、と思ったのがきっかけです」
ちあきさんは、秋葉原という土地の重要性についても触れる。
「秋葉原という街にある“萌えの土壌”が、男の娘をマスコットキャラのように愛でる空気を作り出しています。はじめて来たお客さんも、男の娘の『いらっしゃいませ』の声と見た目の差を目の当たりにして、『すごい! かわいい!』と感動してくれる。メイド喫茶のメイドのように、眺めたりトークしたりしながらキャラクターを楽しんでもらっています」
お店に1年半前から通う40歳の男性客は、「客商売なのに、いい意味で一線を引いていない」と話す。男の娘たちの前では、普段は表に出せない自分もさらけだすことができ、自分の居場所となっているそうだ。ほかにも、お店で飲んでいた女の子が、友達の前で「わたし実は女の子が好きなんだよね」とポロっとこぼしたりと、プチカミングアウトをする例も少なくないという。
好きなファッションで、自分らしく振る舞う。そんな男の娘たちの接客に、お客さんたちも居心地の良さを感じているようだ。
女性に扮する男性、というハイブリッドな存在の男の娘。NEWTYPEで彼らは、秋葉原の新しいキャラクターとしてファンを増やしている。
NEWTYPEの営業時間は午後6時から11時まで、金・土曜は朝5時まで。定期的にイベントも開催中で、女装メイク講座「NTメイクレクチャークラブ」の詳細も合わせて、公式サイトで確認できる。
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