どうしてこうなった ニコニコ超会議にゲームエンジン会社Unityが出店しカレーコロッケを売る
Unity創業者「なんでいつも日本は変な方向に行っちゃうの?」
ゲームエンジンを開発するUnityがニコニコ超会議に出店することが、4月13・14日開催の開発者セミナー「UNITE 2015 TOKYO」で発表された。「ニコニコ自作ゲームフェス」にも協賛しているUnity、一体どんな出店をするのか……と思いきや、なんとカレーコロッケの屋台を出すという。
なぜカレーコロッケなのか。それは、日本で生まれたUnityのマスコットキャラ「ユニティちゃん」(本名・大鳥こはく)の大好物がカレーコロッケだから。幼いころから港で育ったユニティちゃん思い出のカレーコロッケを、ユニティちゃんのパパが経営する「大鳥フーズ」が再現する――という設定で、「大鳥コロ屋」として出店する。
しかも「大鳥コロ屋のカレーコロッケ」(300円)を購入すると、ユニティちゃんのグラフィグ(キャラクターペーパートイ)とマンガ「ユニティちゃんを創った男たち」がもらえるのだ! マンガはユニティちゃんの企画から誕生、そして現在に至るまでのストーリーや舞台裏のエピソードを収録し、「ゲームクリエイター列伝」の平沢たかゆき先生が描いている。
この発表を聞いたUnity創業者のデイビッド・ヘルガソン氏は、「なんでいつも日本は変な方向に行っちゃうの?」と爆笑。Unity日本法人の大前広樹ディレクターによれば、超会議への出店のため、日本全国からカレーコロッケを取り寄せ、30以上のコロッケの中から最もおいしいコロッケを探し出したとのこと。いや、筆者にも意味分からないです、その変な情熱……。
実はこのユニティちゃん、アジア圏をはじめ広い範囲で人気となり、Unity自体の認知度をあげた功績が評価されているという。コンテンツ制作に関わる人の多くが若い世代で、日本のアニメを見て育った人も多いことがこうした反響の大きさにつながったと考えられる。はじめは「意味が分からない」と語っていたヘルガソン氏も、Unityが使っていた人格のない配管工のキャラよりも、ユニティちゃんという人格を持ったキャラクターのほうが広報効果の高いと認め、ついにはUnity5の公式キャラクターを登場させることになった。
このキャラクター「Dr.Charles Francis」は22世紀の英国生まれでオックスフォード大学出身の科学者、そしてなんと爵位も持った“サー・チャールズ・フランシス博士”という設定。なぜおっさんキャラになったのかは不明だが、Unity5の機能を紹介する人物として、このような設定が用意されたようだ。3月にUnity5発表とともにUnity公式サイトに突然登場し、一部で話題になったことを覚えている人もいるだろう。
公式サイトのソファーに横たわる姿は、勤務先の22世紀のUnityの音響工学研究室で音響実験を行っている様子で、本人曰く「21世紀のトム・セレック(アメリカの映画俳優)に似てるのかな?」。外見はトム・セレックを意識して作られたようだ。Twitterアカウント@drcharlesunityも開設している。
UnityのアセットストアからUnity5の機能紹介パッケージを無料ダウンロードすると、その中でチャールズ・フランシス博士が機能紹介を行ってくれる。また「チャールズ・フランシス博士の3Dモデル自体も自由に使って良い」(大前氏談)とのこと。ユニティちゃんに課せられているセクシーな用途への制約も、チャールズ・フランシス博士にはないそうだ。
超会議ではユニティちゃんはもちろんのこと、ひょっとするとコロッケ屋台に並ぶチャールズ・フランシス博士の姿を見ることができるかもしれない。
こぼれ話
今回もOculus Rift創業者のパルマー・ラッキー氏が基調講演に登壇した。パルマー氏は、欧米では既存のゲームをOculusなどに対応させているが、OculusなどのVRゴーグルでは視覚情報と三半規管からの情報に時差などの乖離があるといわゆるVR酔いと呼ばれる不快感を覚えるため、最初からVRを前提としたコンテンツ制作を行わないと失敗すると主張。日本のコンテンツ制作は最初からVRをどのように活用するかという方針で制作されているとして、この点を非常に高く評価していた。
また、日本ではVRゴーグル以外にもさまざまハードウェアを駆使してコンテンツ制作を行っているケースが多いことにも触れた。例えば「キスする」ハードウェアや、UNITE会場に設置されていたVR乗馬がいい例で、パルマー氏も乗馬を堪能していた。
(松岡洋)
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