連載

アケコンをトランクに詰め込んで、いざ! 世界最大級の格ゲー大会「EVO」出場者によるガイドブック司書メイドの同人誌レビューノート

読んだら大会へ出るんだな。

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 ピンクに彩られた空、近未来っぽい姿の女の子……SFマンガのようにも見えますが、この本は一体? 手に取って読んでみると、謎が解けてきました。描かれているのはラスベガス。この同人誌は、ラスベガスで年に一度開催される格闘ゲームの大会「EVO」に参加した作者さんが、その前準備から帰国するまでを描いた同人誌でした。

今回紹介する同人誌

「The Way of the EVOLUTION」 B5 28ページ 表紙二色刷り・本文二色刷り

著者:九段そごう


一目見て「うわ、おしゃれ!」と表紙に目を引き付けられました

格闘ゲーム初心者でも読み物として楽しめる

 EVOとは、「アメリカ、ラスベガスで毎年夏に行われている格闘ゲームの世界大会」で「3日間の日程で予選~決勝が行われます」とのこと。2015年は「ウルトラストリートファイター4」「大乱闘スマッシュブラザーズ」など9つのタイトルで競われたそうです。

 格闘ゲームですか……。「ストリートファイター」ならやったことありますが、自分でプレイするよりも、変わった爪をつけて闘うバルログや、ダルシムの飛ぶさまを楽しむという、いわゆる見る専でした。でもでも、最近「プロゲーマー」という職業の方がいて、世界を股にかけて活躍している、というのは耳にしていました。その生きざまが、本になったりマンガになったりしているとも。そんなぼんやりとした知識が、リポートを拝見していくうちに「あっ、このことだったんだ!」と鮮明なものになってきました。

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大会のチケット、飛行機、宿泊についても言及。アーケードコントローラー(アケコン)は友人に借りていったそう

EVOのガイドブックとしてもおすすめ

 本では、作者さんが大会への参加を決めた理由や、飛行機での移動のこと、会場の様子、ラスベガスの楽しいところ、旅先での食事のことまで、気になるところがかわいいイラストと楽しいコメントで描かれています。


アケコンをトランクに! 壊さないように、梱包の仕方も独特なものに……

 それと、宇宙人のような風貌で描かれた「そごうさん」のあたふたっぷりもかわいいんです! 「チケット購入はまだ先でいいかなー」とのんびりしていたら、予想以上の売れ行きを目の当たりにして、ガタっと立ちあがるそごうさん。道中で有名ゲームプレイヤーに会い、ドキドキするそごうさん。一方、食事や人物(主にきれいなお姉さん)は、プロの漫画家としても活躍中というそごうさんの画力を感じさせる、すっきりとした線で描写されています(COMICポラリスで「俺とヒーローと魔法少女」を連載中)。


カジノにはきれいなお姉さんが。うさ耳は付いてなかったようです

 大会では参加者に早口の英語で話しかけられて「英語の聞き取りがもっとできたら、もっと大会楽しめた!!」と反省する場面も。そうですよね。ラスベガスですもの、当然英語ですよね……。でも、「ゲームに参加する時は、あらかじめ決められたトーナメント番号の場所で待機していると、係の人が点呼をとって、席を指定してくれる」と書いてあって、ほっとひと安心。名前を呼ばれるだけなら私にも聞き取れそう。こういう、ちょっとした情報が実際に行った時に役に立ちそうですね。……あれ? 私、いつの間にかEVOに参加する目線で読んでました!


コスプレイヤーさんもいらっしゃるんですね、楽しそう!

凝った装丁にわくわく度UP

 本は横開きで、マンガのようなコマ割りはなく、誌面のあっちこっちに情報が書きこまれています。ぱっと開いた時は、それらがこまごまとページに散らばっているように見えますが、実はちゃんとエピソードがつながって、目で追いやすい構成になっています。むしろ、どんなことがあったのかなーと少し探しながら読むくらいのが楽しい!

 そして本の装丁もとてもかっこいいんです。ピンクと黒の二色刷りで、特殊インクで少し盛り上がった表紙。端をとじる糸は鮮やかな蛍光グリーン。本文も、紙とインクの組合せが一ページごとに異なっています。そんなイレギュラーな装丁が、旅の思い出をちりばめた内容と相まって、華やかでわくわくするEVOへの気持ちをかきたててくれます。EVOへ参加してみたい方はガイドブックとして、そうでない方は純粋な読み物として、この本でラスベガスに胸躍らせてみてはいかがでしょうか。

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サークル情報

サークル名:テンサテライツ

Twitter:@sogou0111

参加予定イベント:コミティア116

今週のシャッツキステ


自身もゲームを楽しむトーヤちゃんに「格闘ゲームっぽい感じで」とお願いしたら、スッ……と身をかがめ「待ちガイルっていうんですよ。ふふ」となぜか不敵な笑み。間合いに入るのがためらわれるようなきれいな待ち姿勢でした

著者紹介


司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る

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