「る」で終わるは序の口? 「しりとりが絶対に強くなる10の方法」でワンランク上の戦いを:司書メイドの同人誌レビューノート
今週はサークル「弐人国家」さんの同人誌「しりとりが絶対に強くなる10の方法」をご紹介。
あけましておめでとうございます! 冬のコミックマーケットも終わり、そろそろ入手した本を読み終えるころでしょうか。まだ読んでいない同人誌が傍らにあるって幸せですよね。全部読み切ってからも、お気に入りをもう一度読み返したり!
さて、コミケのような大きな同人誌即売会で発生しがちなのが、長い待ち時間。「大好きなサークルさんの新刊が待ってる!」とわくわくしながらも、スペースが見えないほど長い列に、無事に購入できるかどきどきしたり……。そんな待ち時間の暇つぶしにぴったりな遊びが、皆さんもご存じの「しりとり」です。道具もいらないし、電池の減りだって気にしなくていい、まさにキング・オブ・暇つぶしゲーム。でも、せっかくなら勝ちたいですよね? そんな人にオススメしたいのが、今回紹介する同人誌「しりとりが絶対に強くなる10の方法」です!
今回紹介する同人誌
「しりとりが絶対に強くなる10の方法」 B5 32ページ 表紙カラー 本文モノクロ
著者:ナイタロー
聞いた事のある方法から、「そんな方法が!」と驚くワードも!
しりとり……それは数多ある単語の語尾と語頭をつないでいく頭脳ゲーム……。シンプルなルールでありながら、自分の脳内の単語を探ってはぶつけあい、熱い戦いになることもしばしば。この同人誌でも、表紙イラストのかわいいメガネの先生が冒頭から熱く語ります。「あまりにも世の中の人は、『しりとり』について軽く考えているのではないか」。軽くもなにも、そもそもしりとりについて考えたことのある人が少ないかもしれませんよ、先生!
とはいえ、ちまたでは「こうするとしりとりに勝てる」という攻略法を耳にすることもしばしば。有名なものとしては、単語の最後を「る」にすると良いなんていうものがありますけれど、その方法もこの本では「作戦その1」、つまりはじめの一歩にすぎないみたいです。「絶対にしりとりが強くなる10の方法」とタイトルにある通り、この後もしりとりで使える必殺技が次々と繰り出されるというわけですね? ふふふ、この本を読めば、私のしりとりランクアップ間違い無しです! なになに、「『ぷ』で始まり『ぷ』で終わる言葉」を使うという戦法もあるそう。読んでいたら、しりとりをやりたくなってきました!
実践あるのみ! メイド同士でしりとり対決してみた!
というわけで、この同人誌を使って対戦してみようと思います。対戦相手は、「最近、ちょっと背が伸びてきたようなんですよ!」と元気いっぱい成長期のメイド、ヒナタ。「しりとりなんて久しぶりです」と言いながらも、第一戦目はなかなかの戦いっぷり。しかも、先に本に目を通していたミソノが使用した戦法に、「あ!『ぷ』を使うといいんですね!」と気付く鋭さも。しかし、それが悲劇を生んでしまうとは……。
ヒナタ「『ぷ』を使うといい……『ぷ』を……」
ヒナタ「ありました! 『ぷ』を使う言葉! プチトリアノン宮殿! あっ! ああああああ!!」
ぷち……とりあのん……きゅうでん。考えた末にうっかり「ん」を使ってしまうという、しりとりの負けの王道のようなパターンに、ヒナタちゃんは膝から崩れ落ちたのでした。
その後、ヒナタちゃんに同書を熟読してもらって再戦! すると、続く続く! おなじみの「る」の付く語を使ったり、先ほどの「ぷ」の付く語も使いこなして、ずーっとずーっと続くんです! 途中「ルーブル美術か……おっと、今のは無しです」と危うさを見せながらも、しりとりはヒナタちゃんがお給仕を終える時まで決着がつかなかったのでした。つまり引き分け! こんなに目に見えて強くなるなんて!
それは禁忌では……! 「ん」まで使う、最強のワードが集結!
本の内容を元にしりとりをして思ったのは「お互いが強くなって対戦すると、しりとりはもっと楽しい!」ということです。もちろん、相手をこてんぱんにやっつける時にもこの本は役立つでしょう。「ん」ではじまって「ん」で終わる言葉、なんていう最強のワードだって載ってるのですから!(ただ、掟破りな作戦だけに、使用には要注意と本文でも呼びかけられています!)。互いの技は知っている、けれどもそこからどの言葉をチョイスするのか? どのタイミングで「ぷ」をしかけてくるのか? と、心理戦も含めての戦いは、「しりとりのステージがレベルアップした!」とまで思ってしまう楽しさでした。
そして最後に気になる一語が……。こんなにしりとりのことを考えている同書ですらほかにない、と記載されているのが「ず」からはじまって「ず」で終わる言葉で、「ズームレンズ」しかないのでは? とのこと。それだけに、ここぞ! というタイミングで使うと、攻守逆転の良いきっかけになるとか。これは……ほかに「ず」からはじまって「ず」で終わる言葉を思い付けば、無敵になれるかも? 待ち時間の暇つぶしどころか、前のめりにしりとりが楽しくなってくる一冊です!
今週のシャッツキステ
得意なことは「さかさことば」と言うノアちゃん。「メイド服って逆から読んだら、どういう風になるの?」と聞いたら、「くふどいめ!」とすぐに答えてくれるんです。この言葉能力はしりとりも強いに違いありません。ヒナタちゃんの次はノアちゃんと対戦してみたいです!
著者紹介
司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- こんなの待ってた! アメコミの効果音を集めた辞書がマニアックすぎて心くすぐる
今週はサークル「FANDOMAIN」さんの同人誌「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」をご紹介。 - フィンランドで「スイッチ」を買ってきた ニッチすぎる旅行記に同人誌の可能性を感じる
今週はサークル「レトロピリカ」さんの同人誌「Finland TravelII」をご紹介。 - 「助けを求めて走る月」「夏は戦争シーズン」ってどゆこと!? 古代ギリシャの暦を現代風にアレンジしたカレンダーに妄想が止まらない
今回は藤村シシンさんの「2016年古代ギリシャ暦カレンダー」をご紹介。 - 腹が減っては戦はできぬ! 全国の同人イベントを渡り歩いた作者が贈る珠玉のグルメ同人誌
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。あなたの知らない同人誌の世界がここにあります。 - ファンタジー好きにはたまらない! 一つ一つのポップアップアートに物語を紡ぐ「アトリエココ」の世界
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。あなたの知らない同人誌の世界がここにあります。 - 日常のあらゆる場面に「プロレス」は潜んでいる『おおむねプロレスの味方です』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - かわいい4コマと、詳細なコラム 読むだけで行った気になる? 『教会巡りin五島列島』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - まるで異世界! 『知床蜃気楼読本』の著者が語る蜃気楼の魅力
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 詳しい解説は、自分たちで観測しているからこそ『知床蜃気楼読本』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 漂流物との出会いを趣味に ビーチコーミングの魅力が詰まった『東京湾のひとひら』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 試されている気がする! マニアックなラインアップにチャレンジ魂が燃える『爆裂折紙作品集』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - “自分アニメイト”をオープン? 驚愕のエピソード満載の『高河ゆん漫画家30周年記念本』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。