ニュース

限られたスペースで「どこまでも歩けるVR」を実現 錯覚を利用したVRシステム「無限回廊」がまるで魔法

現実でトラックを周回すると、仮想空間では直進と認識される仕組み。

advertisement

 Oculus Riftなど、初期(?)のVRデバイスが基本的に「その場から動かずに体験する」ものだったのに対し、最近ではHTC Viveのように、バーチャル空間内を「自由に歩き回れる」ことをウリにしたVRデバイスも登場しています。

 しかし、いくらバーチャル空間とは言っても、プレイヤーが歩けるのはせいぜい、センサーが届く「部屋の中」くらいのスペース。ところがこの制約を解消し、VR空間内をどこまでも歩けるシステム「無限回廊」が開発されました。完成すれば、手狭なスペースでも無限の仮想空間を構築することができます。

YouTubeで公開された実験のもよう

 システムは7メートル×5メートルのスペースに設営。パイプとフェンスで構築されており、俯瞰(ふかん)で見ると、2つの半円からなるショートトラックのように配置されています。

advertisement
動画には実験の様子と、ユーザーの視界、仮想空間の俯瞰図が同時に表示。右下のウィンドウの、青い点はユーザー、2つの半円はトラック。現実と仮想空間の対応を示している

 ユーザーは壁に触れながら移動。すると、現実には壁に沿って曲がっていっているにもかかわらず、ディスプレイにはまっすぐな通路をずっと進んでいる映像が映しだされます。するとユーザーはトラックを周回しながらも、あたかもまっすぐ進んでいるかのように認識し、仮想空間を無限に進めるというわけです。

進んだ曲線を補正し、直線としてユーザーに認識させる

 またトラックには、中央を横断する通路も設けられており、途中で右折や左折したりすることも可能。応用すれば、広大な迷路も構築できそうです。

丁字路にさしかかったとき、システム側でドアが開くようフラグを立てれば、ユーザーは分岐路と認識し、曲がることができる。

 また複数人が同時に体験する場合は、分岐点にバーチャルな「ドア」を設け、開閉するタイミングをコントロールすることで、ユーザー同士の接触を回避できる仕組みになっています。

ドアの開閉フラグをユーザーごとに管理すれば、互いにぶつからないよう、ユーザーの動きをコントロールできる

 このシステムは東京大学廣瀬・谷川・鳴海研究室とユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの共同研究。動画を公開したKeigo Matsumotoさんは、同システムを利用したVRコンテンツを開発中で、この無限の仮想空間は、近いうちに一般へ公開できると予告しています。

(沓澤真二)

advertisement

関連キーワード

HTC Vive | Oculus Rift | YouTube

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  3. 「笑ったw」 郵便局に1円切手を買いに行ったら…… “まさかの提案”に思わず恍惚の1000万表示
  4. 狭い場所に植えた“ゴッツいトネリコ”を抜根したら…… 地面から現れた目を疑う光景にプロも絶句「植えてはいけない木」
  5. “根魚”と呼ばれる魚を捕獲→水槽に入れてみたら…… 普段は絶対見られない姿に衝撃走る「すごいことやってる」「家で飼いたくなる」
  6. 「そっちかよ!」 “リバイバル版ガンプラ”で「ある意味パーフェクトガンダム」爆誕→「笑った」「身ぐるみはがされた」
  7. 「NBA行ける」 真美子さんとバスケ共演の大谷翔平、“想像以上の実力”に驚き 「何やっても成功してた」
  8. 生後3カ月赤ちゃん、小児科医からの“まさかのひと言”が「吹きましたw」「座布団あげたい」と話題 → 10カ月後どう成長? ママに聞いた
  9. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  10. 釣りに飽きた柴犬→ピチピチと動く魚を初めて見たら…… 一転して“とんでもない反応”に「咳き込むくらい笑えた」