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海外でも広がるボカロ ドイツのボカロ事情を探る(2/2 ページ)

ポップカルチャーとして受け入られるAHS、ハイカルチャー分野で注目される初音ミク。ドイツのボカロ事情を紹介します。

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初音ミクはドイツでどう見られている?

 AHSのボカロ・コンサートは大いに盛り上がりましたが、ボカロといえば代表的なのは初音ミクです。ここからはドイツにおける初音ミクに関する話題をまとめてみたいと思います。

 初音ミクといえば先日も北米ツアーが開催され盛り上がったようですが、ドイツでは公式コンサートはまだ一度も開催されていません。ただし、今年2月にはベルリンのメディア芸術祭トランスメディアーレで、初音ミクによる透過スクリーンを使用したパフォーマンス「Still Be Here」が実施されました。

 初音ミクの存在を問うアート性の高い公演だったようで、その模様は独仏共同チャンネルArteといった一般のメディアが取り上げました。また、今年の8月にはハンブルクで初音ミクのオペラ作品「The End」(作・渋谷慶一郎)のドイツ初公演が決定しています。

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初音ミクのパフォーマンス 「Still Be Here」の公式サイトより
「Still Be Here」を取り上げる独仏共同チャンネルArte
ドイツの文化機関ゲーテ・インスティテュートも「Still Be Here」を紹介
初音ミクのオペラ「The End」ハンブルク公演

 初音ミクは、ドイツの新聞でも取り上げられています。今年前半に公開された記事に見られた特徴として「1:ドイツおよびドイツ語圏を代表するようなクオリティペーパー(高級紙)の文化面に登場したこと」「2:イベントの紹介に関連しない、つまり時事性を伴わない記事だったこと」が挙げられます。内容は各紙ほぼ同じで、初音ミクというヴァーチャルアイドルが不死の存在である点に注目しています。きわめて真面目な内容で、音楽ライブの新たな可能性として存在し得るのかといったことを考えるコラム的なものでした。

1月3日付「フランクフルター・アルゲマイネ」紙 タイトル「歌手の初音ミク:まったく存在しません」
スクリーンショット:3月18日付「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング」 タイトル「日本の空想キャラクター初音ミク:不死のポップスター」
4月2日付け「南ドイツ新聞」 タイトル「音楽と技術:3D投影として再び生まれる」

ポップからハイカルチャーまで進出するボカロ

 以上、ドイツにおけるボーカロイドの動向をまとめてみました。AHSがコンサートを実施し一般のファンの需要に応え、ポップカルチャーとして受け入られる一方で、初音ミクはオペラやアーティスティックなパフォーマンスが実施されるなど、ハイカルチャーの分野で注目されているようです。その傾向は、いわゆるクオリティペーパーと呼ばれる新聞でボーカロイド技術や初音ミクを紹介するコラム記事にも引き継がれています。ポップからハイカルチャーまで、ボカロをめぐる現象はドイツではより幅広い分野へ進出しており、着実に拡大している、そんな印象を受けました。今後の展開が気になるところです。

筆者紹介

Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じたドイツと日本の交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加(Twitter:@sakaikataho

写真協力:Lena Kluth

取材協力:アニメ文化協会(ベルリン)

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