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恋愛・婚活サービスにおける“盛られた”写真と現実のギャップを埋める研究が発表 写真を少しずつ現実に近づけて慣れさせる

人間は大きな変化でも、ゆるやかに起きた場合は認識しにくいことを利用し、少しずつ現実の姿を相手に認識させるそうです。

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 婚活サービスで紹介された相手と会ってみたら、プロフィール写真が“盛られて”いて、現実の顔と違った――そんなケースを解消しうる研究が進んでいます。ざっくり説明すると、実際に会うまでに盛られた(加工された)プロフィール写真を少しずつ現実に近づけ、相手に慣れさせる仕組みです。

従来のシステム(上)と、Diverse技術研究所が研究・開発したシステム(下)のイメージ。出会った相手がプロフィール写真と全然違った場合は悪印象になりうるが、少しずつ時間をかけて現実の姿を認識してから会えば、ギャップが緩和されて円滑な交流ができると見込まれる

 恋愛を学術的に研究するDiverse技術研究所と津田塾大学、北陸先端科学技術大学院大学により、WISS 2016(24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016)で発表されたもの。研究チームは、大きな変化でも少しずつであれば、人間はさほど変化を認知できない「Changing Blindness」現象に着目。そこから、加工画像がもとでコミュニケーションが始まったとしても、画像を徐々に加工前の状態へ戻していけば、実際の対面時に相手へのギャップを緩和させられるとの仮説を立てました。

 そして実証のため、女性被験者から提供された自撮り写真をもとに、加工後から加工前の状態へ、30秒で変化する動画5秒で変化する動画を作成。それぞれを男女5人ずつ・計10人の被験者に、事前に顔のどこかが変化することを伝えたうえで見せ、変化した点を適切に回答できるか調査しました。

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いわゆる「アハ!体験」のように、顔の変化した部分を探す実験用動画。こちらは30秒で変化するバージョン
5秒で変化するバージョン
変化した部分を可視化した画像。黒い部分は変化なし、赤は若干の変化、黄色は大きく変化した部位を示している

 実験の結果、1人あたりの平均正答数は7箇所の変化に対してわずか1.2箇所。男女別の集計でも性差はみられなかったそうです。これにより、加工の度合いにもよるとはいえ、人間の顔画像を加工後から加工前へ変化させたとしても、閲覧者は気づきにくいことが判明。また、目鼻などのパーツを加工した場合は、輪郭を加工し小顔にするよりも変化に気づかれやすい可能性があるそうです。

30秒バージョンの正答率
5秒バージョンの正答率。30秒バージョンよりも高いが、その差はわずか

 Diverse技術研究所は、最終的に研究をデーティングサービス(※)に利用するとコメント。実践では実験動画よりも長く、数日かけて画像を変化させるそうです。今後は徐々の変化が相手に与える印象への影響や、デーティングサービスを想定したコミュニケーションツールの開発など、実サービスを想定した研究を進めていくとしています。

※海外における恋愛・婚活支援サービスのこと。主にオンラインのサービスを指す

 「そんなまわりくどいことをするくらいなら、最初から盛らなければいいのに」と思われるかもしれませんが、第一印象が良いほうが、出会いの機会は生まれやすいのも事実。きっかけはどうあれ、少し時間をかけて互いに相手の姿を認識してから会えば、先入観にとらわれず円滑な交流ができるでしょう。それが良縁となるかは中身次第ということで。

(沓澤真二)

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