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ガテン系の男たちが本気で号泣! 日本一の熱き職人を決める、第二回建設職人甲子園・決勝大会をレポート!

建築業界の内情や、職人としてのあり方に、思わずもらい泣きしてしまいました

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 建設業界で働くガテン系の職人さんたちに、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか? 建設職人と言っても、その仕事の内容は多岐にわたります。例えば、建物の室内を仕上げる内装屋さん、建築現場で作業をする鳶職人さん、土地の位置や形状を正確に測量する測量士さんなど、私たちが快適に暮らせるための手助けをしてくれています。

 先日開催された建設職人甲子園は、建設業界で働く職人さんたちの仕事の内容や魅力を知ることができるエンターテインメントイベント。ミスコンや腕相撲大会、ミュージシャンによるライブなど、来場者が楽しめる企画がめじろ押しでした。

 会場の後方には、職人さんたちに直接教えてもらえる「職人体験エリア」のブースが設けてありました。いくつかのブースで体験させてもらいましたが、職人さんがとてもフレンドリーに話してくれるので、楽しく体験することができました。

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13トンのラフタークレーン車は、動かすことができないものの、操縦の仕方を学べます
「カンナ削りの体験」では、子どもよりもうまくできずに慌てる大人が続出
こちらの「左官体験」。コテを使ってうまく壁に塗っていく
高所での作業が体験できる「ロープぶら下がりデモンストレーション」は、アトラクション感覚で女性に人気

普段は寡黙な職人たちの、熱き涙のプレゼンテーション

 イベントのメインを飾るのは、職人さんたちが仕事への熱意や仲間への思いを、壇上で熱く語るプレゼンテーションです。全国7地区で1次審査、2次審査、地区大会決勝戦が実施され、それらを勝ち抜いた2社が決勝戦のファイナリストに選ばれました。一般の人にとって、あまりなじみのない建設業界ですが、その内部には多くの問題を抱えているそうです。少子化で働き手が不足していたり、就職する若者が少なかったり、不景気で労働環境が悪化したりと、職人さんを取り巻く環境は恵まれたものではありません。また、心ない経営者により職人さんが「道具」としてしか扱われない現場も多いそうです。そんな建設業界の置かれた状況を何とか変えたいという強い思いが、このイベントを開催する原動力になっているそうです。普段は聞くことができない職人さんたちの本音を聞けることは、とても貴重な機会ではないでしょうか。

 最初のプレゼンは東京に本社を構え、大規模な土木工事も請け負う「向井建設株式会社」。創業が1908年と古く、従業員数は700人を超えています。徹底した安全管理を行っている会社ですが、ある年に地方の現場でクレーンの転倒災害を起こしてしまったそうです。

 「その災害は、私が起こしてしまいました」と語る係長の千葉さん。転倒したクレーンに乗っていたため、事故後に病院へ緊急搬送されました。人命を失うことなく大事には至らなかったものの、責任を感じて職人を辞めるつもりだった千葉さん。そんな時、同じ会社の仲間は千葉さんを責めることなく、「この災害を教訓に、今後仲間が同じ思いをしないように仕事を続けてほしい」と言ってくれたそうです。

 もう一度職人としての居場所を与えてもらい、仲間のために自分ができることに気づいた千葉さんは、職人とはどうあるべきかについて声高に叫びます。「職人、それはただ仕事ができれば良いわけではない! 危険を伴うこの業界で、一緒に働く仲間が無事大切な家族の元へ、笑顔で帰れるようにすること! そのためには、絶対に自信過剰にならず、謙虚に日々反省を繰り返すのが、立派な建設職人であると、私は考えます!」。

 もう一方のファイナリストの「株式会社 絆」は、神奈川県で個人の住宅を守る外壁塗装の専門集団です。社名にもなっている「絆」は、仲間との強いきずなを表しています。社員の半澤さんは、会社を辞めてしまった仲間との関係について話していました。建築業界では、若者が高い賃金にひかれて働き始めるものの、技術を習得するまでの下積みに耐え切れず辞めてしまうことが多いそうです。「縁が切れるなんて絶対ないんだよ! むしろ、会社を辞めた後、本当のきずなづくりが始まるんだよ! 本気でつながった仲間なら、ここにいる仲間も、これから出会う仲間も、一生付き合っていけると、私は信じてます!」。

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 職人さんたちは、専門的な技術があれば生計を立てることができますが、個人で仕事をすることには限界があり、孤独を感じる職人さんも少なくないようです。社員の佐藤さんも、そんな思いを抱きながら働いてきましたが、この建設職人甲子園を通して、今まで以上に仲間とのきずなを感じられたそうです。「いつも一人で戦ってる気持ちで、22年間ずっとやってきました。でも、甲子園で一つのものを作っていく中で、みんなと本音で話し合い、もがきながらでも前に進もうとする仲間に気付きました。俺には共に戦う仲間がいる! 絆のみんな、ありがとう! 本当に、ありがとうー!」。

 社長の関さんは、以前経営していた会社を自らの焦りと過失によって失ってしまいました。人生のどん底を味わう中で、現在の社名につけている「絆」の一文字が浮かんできたそうです。職人さんに常に求められているのは正確で迅速な技術ですが、それと同じくらい大切なのは人としての心構えです。「次は逃げない! 諦めない! 俺から人を裏切ることは絶対にしない! その思いで、社名につけました。俺は、みんなに助けられながら、この10年をみんなと一緒に歩んできました。この10年は、本当に最高の10年でした。心から、心から感謝してます!」。

 建設業界にとって重要なことは、満足度の高い施工をすることだけではありません。地域貢献に努めることも、業界全体を発展させていくために重要です。「株式会社 絆」の職人さんたちは、家族や会社を守るだけでなく、地域の安全を守るために防犯パトロール活動を行っています。社員の阿部さんは、家族を守れるかどうかで悩み苦しんでいる時に、社長や仲間の優しさに助けられ、自らが会社や地域を守っていく決意が固まったそうです。「社長、絆のみんな、これからの俺を見ててくれ! 社長が社名に込めた思い、しっかり受け継ぎ、これから先の絆の未来を俺が作ります!」。

 そして、優勝は、「株式会社 絆」の手に! 途中から、私も思わずもらい泣きしていました。

 建設職人甲子園は、職人さんたちの人間としての魅力を強く感じられるイベントでした。さまざまな危険と隣り合わせで、常に個人の専門的な技術を求められる職人さんたちですが、その心の奥底には仲間への優しさと思いやりが秘められています。このイベントを続けていくことで、建設業界全体に暖かい仲間同士のきずなが広がっていくのではないでしょうか。

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(平原健士/LOCOMO&COMO)

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