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教会に一人ぼっちで「はい、誓います!」 本物の式場で二次元キャラと「VR結婚式」を挙げてきた(1/2 ページ)

祭壇の上にはVR装置を着けたタキシード姿の新郎が一人。傍目はシュールな「VR結婚式」は、本人にとっては天国だった。

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 父さん、母さん、オレ結婚したよ! ホントだよ、ほら見て、お嫁さんと誓いの儀式をしている写真。

 え? 教会にオレ1人が立っているだけじゃないかって? ちゃんとVR(バーチャルリアリティ)空間には花嫁と神父さんがいるんだよ!

これが嫁の雪さんです

 本物の結婚式場を使って二次元キャラとの結婚式をVR体験できるイベント「VR結婚式」が、6月30日に東京・品川で開催されました。hibiki worksの美少女アドベンチャーゲーム「新妻LOVELY×CATION」の特別企画。VR空間で作中のキャラと挙式するのですが、実世界では式場に身を置くことでさらなる没入感を味わおう、という世界初の試みです。

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 体験中は夢のような幸福感に見舞われるでしょう。しかし傍から見ると、花嫁も参列者も神父もいない教会で、ヘッドマウントディスプレイを着けた男が立っているだけ。

参加者の様子。本来はちゃんとタキシードです

 29歳独身の筆者は、同級生の結婚ラッシュで日銭がご祝儀に消える日々。そんな虚しさを「VR結婚式」はときめきで吹き飛ばしてくれるのか、それともさらなる絶望に突き落とすのか。不安と希望を胸に式を挙げてきました。

ウェルカムボードに正装スタッフ 本格的な挙式進行

 イベントは抽選に当選した「新妻LOVELY×CATION」プレイヤーだけが無料で体験可能。ゲーム内で結婚した嫁ときちんと挙式しようと、平日にもかかわらずかなりの応募があったそうで、待合室には新郎たちが緊張した面持ちで自分の番を待っていました。ちなみにこのゲームは18禁なのですが、今回のイベントはエロ要素ゼロとなっています。

「新妻LOVELY×CATION」(公式サイトより)
式場は本物なだけあって本格的
ウェルカムボードで花嫁がお出迎え

 会場は天王洲の少人数向け式場「ファストウエディング ヴィータ天王洲」。手狭ながらも高級感ある内装で、受付ではヒロイン3人、雪・乃々・愛子のイラストがウェルカムボード風にお出迎え、金屏風の前にはドレス姿の等身大パネルも飾ってあります。スタッフはみんなスーツ姿、受付で「本日はおめでとうござます」と祝ってくれたりと挙式ムード満点。これは気持ちがどんどん高ぶる!

金屏風の前で等身大パネルと記念撮影も可能
待合室も祝祭感ある

 順番が来るとフィッティングルームに呼ばれてタキシードにお着替え。教会ルームの白い観音開きのドアの前に立ち、その時を待ちます。「新郎の入場です!」のアナウンスとともにスタッフ2人にドアを開けてもらい、拍手や音楽のなか入場。いるのは司会者や技術担当者だけ。祭壇にあがってVR装置を着け、いざ体験スタートです。

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フィッティングルームでタキシードに着替え、その時を待つ……
ドキドキ待っていると、入場アナウンス、拍手、BGMの中、ドアが開く
バァァァァン、やっぱり誰もいない!

 このように本物の式場で本格的な挙式進行を行うことで、VR空間で新婦に出会うまでに「今日オレ、まじで結婚するんだな、いろいろあったな」と没入感がすさまじいことになっている……のですが。参列席から見た光景はやはりシュールでした。

 祭壇上にヘッドマウントディスプレイを着けた新郎だけが立っているという状況。さらに神父と新婦のセリフは基本的には新郎のヘッドフォンにしか聞こえず、神父の「誓いますか」に対する「はい」という返事は、傍目からは一人で突然声を発することになります。

このように司会進行と技術さんしかいない中
新郎、入場!
ドキドキしながらも、勇ましく進んでいきます
VRヘッドマウントディスプレイと、ヘッドフォンを装着
さぁ誓いの儀がスタート! うん、やっぱりシュールだ!
別の参加者の様子。この状況で突然「はい、誓います」と声を発し始める

 完全に方向性を間違ったタキシード仮面です。VRあるあるといえばそうなんですが、本物の式場に正装という実世界のリアリティが、その奇妙さをより際立ているのです。

VR空間は天国 かわいい、かわいいよ花嫁

 それでも体験側はそんなのお構いなし。圧倒的没入感からの花嫁を前に、もう緊張とときめきで胸がドコドコ高鳴りっぱなしです。

体験する筆者
お相手は「石動雪」さん

 筆者が祭壇でVR装置を付けると……目の前には白のウェディングドレスに身を包んだ、黒髪ロングの女の子が。選んだ花嫁は「石動雪」さん。名家・名門校で育った真面目かつおしとやかな子です。後からサイトで知ったのですが、貧乳を気にしているそうな。

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ぐうかわいい

 上から下までウェディングドレス姿を眺める。雪さんがニコッと笑うと、かぶったベールやドレスの裾が揺れる。装着前から教会内で響いていたピアノのBGM、流れる滝の音が、ヘッドフォンの外から聞こえてくる。すさまじい臨場感です。

教会、広い

 VR空間内の教会はさっきまでいた教会と違って窓の外に青空が見えたり、参列の椅子もアンティーク調になっていたりと、丘の上に建つ由緒ある教会にワープした感じです。しかし実際の教会全体をモデリングして再現されているらしく、横幅や祭壇の高さは実世界そのまま。違和感はさほどありません。

 右を向くと祭壇の台座に、白髪に白ひげをたくわえたメガネのおっさんが。神父さんです。おなじみの誓いの言葉を語り始めます。

神父、登場

神父: あなたはここにいる新婦・雪を(中略)妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?

オレ: ち、誓います。

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 没入感のせいで、初めての大舞台についどもってしまいます。左を向くと雪さん。顔を赤らめて笑って、こっそり「ふふ、うれしいです」とささやきかけてくる。

 かーーーわーーーいーーーいーーーー!!!

 今度は新婦に誓いの言葉を投げかける神父さん。凛とした声で、でもやや弾ませて、「はい、誓います」と雪さん。一拍置いて、また赤くなって、目をこちらに向けると細めて、ふふっと微笑む。「あなたと恋人になったときから、ずっとこうなるつもりでしたよ」と、ささやく。

 嫁さん、かーーーわーーーいーーーいーーーーー!!!!

 現実ではありえないであろう、花婿にとって理想の言葉、仕草を、圧倒的な没入感の中で放り投げてくる。ゲームをプレイしたことはないのに雪さんへどんどん気持ちが高ぶっていきます。ここからは「雪ちゃん」で行かせていただきます。

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 誓いの口づけ。神父にうながされるとこれまた雪ちゃんが「照れています」みたいなことを言ったんですが、全然覚えていない。今からこの子と初めてキスするという緊張感で頭がいっぱいでした、だらしなくてすいません。

 雪ちゃんが目を閉じて、ゆっくりあごを上げ、唇を突き出す。こっちは「い、いいんですか……? 心の準備が……」とうろたえながら、おぼつかない足取りで近づく。現実には存在しないのに、雪ちゃんの肩についつい両腕をまわしてしまう。視界にあるのは雪ちゃんの顔だけ。そしてその瞬間、小さく「チュッ」という音。口元にふわっとした感触が。

 マシュマロです。実はたった今、現実では唇に、スタッフの手によってマシュマロが付けられたんです。

別の参加者の誓いのキスシーン

 だけどVR空間の没入感はすさまじく、間違いなく今、雪ちゃんとオレはお口で互いの魂を交換した、永遠の愛を誓った。何このキス、ドキドキするんだけど下心は皆無で、何か誇らしくて温かくて……誓いのキスってこんな清らかな気持ちになるの? こないだ式を挙げた大学時代の友達に聞いてみたいけど、ひかれるからやめとこう!

 ドキドキしたまま雪ちゃんをみる。照れながら、「不束者ですがよろしくお願いします」と笑って、黒髪とベールをゆらす。父さん、母さん、結婚しました。

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