「個人の感想です」ならどんな広告でも許されるのか? 消費者庁が見解を発表(5/5 ページ)
消費者庁が考え方を発表。
景品表示法では、打ち消し表示をどう考えるのか
景品表示法が禁じているのは、ざっくり言うと「ウソを書いた広告」と「誇大広告」である。「誇大広告」は、実際よりも著しく良い物であるかのように宣伝することにあたる。
そのため、大きく「月額2340円!」と書いてあるのに、誰もが見えないような文字で「※オプションへの加入が必要です」と書いてあれば、誇大広告として景品表示法上問題となる可能性が出てくる。
報告書でもそういった消費者庁の考え方が示されている。事業者に対して、一般消費者は打ち消し表示を意識して読まない実態を十分に理解し、正しく理解できる広告にする工夫を求めている。
そのために、打ち消し表示がなくても理解できる広告の作り方を考える、さらに、契約の料金体系が複雑な場合は料金体系の見直し自体を検討すべきだということまで言及している。
「打ち消し表示は、○○ポイント以上の字で書けば景品表示法違反ではありません」などという、単純で具体的な目安を出したわけではないが、一般消費者が理解できない打ち消し表示は景品表示法上問題となるという姿勢は一貫している。
理解できる表示とするために、事業者に対し広告チェックの際に、一般消費者が広告内容を勘違いすることがないか、社内外のモニター等により消費者目線で検証することが望ましいと求めている。この事前確認がない場合は、「景品表示法第26条違反となる場合や、課徴金納付命令の例外について規定している景品表示法第8条ただし書に該当しない場合もあり得る」と、つまり、景品表示法違反で行政処分し、しかも課徴金を払わせることもありますよと書かれている。この報告書に法的拘束力はないとはいえ、かなり強い表現が用いられているように感じる。
課徴金は2016年4月から導入された制度で、三菱自動車の燃費問題の際には、問題の大きさ以上に売り上げが大きいこともあるが、4億8507万円の課徴金が課せられている。
細かい文字の複雑な打ち消し表示に頭を悩ませているのは、筆者だけではないだろう。どこかに落とし穴があるのではないかと、パンフレットの片隅から片隅までチェックすることなく買い物ができるようになるなら、これほどありがたいことはない。
報告書でも「消費者庁は景品表示法に違反する事案に接した場合には、厳正に対処することとする」という言葉で締めくくられているので、今後の取り組みに期待したい。
(高橋ホイコ)
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