シャンプーボトルのギザギザ、実は花王の発明って知ってた? あえて実用新案登録を取り下げ、業界全体に普及
目を瞑っていてもどれがシャンプーボトルか分かる親切設計。
お風呂で髪を洗うとき、シャンプーボトルの側面がギザギザしていることに気づいたことはありませんか。実はあれ、化学メーカー・花王の発明なんです。
シャンプーの容器に付けられたギザギザのきざみは、触っただけでシャンプーとリンス(コンディショナー)の区別ができるようにと付けられたもの。目をつぶって髪を洗うときにも重宝しますが、目が不自由な方にとっても役立っているといいます。
このデザインを開発した花王は、「シャンプーとリンスの容器が同じで紛らわしい。形を変えて欲しい!」「洗髪時、目をつぶっていても区別がつくといい」「目が不自由なので容器に工夫をしてほしい」という消費者からの声をうけて、1989年に商品をより良くするための容器研究を開始。
1990年に「洗髪時、シャンプーとリンスを間違えたことがありますか?」と実態調査を行ったところ、なんと約59%の人が「間違えたことがある」と回答するなど、同じようなサイズ・デザインの容器に困っている人は少なくないことが分かりました。
その後も盲学校での調査をヒントに識別方法の探索を続け、1991年に「誰もが触っても分かりやすい」きざみ入り容器のデザインが完成。容器の制作には通常容器の2倍の金型が必要といったコストの問題もありましたが、同年10月、きざみ入りシャンプーが市場に登場しました。
花王は当初このデザインを「実用新案登録(※)」しようとしていましたが、デザインを業界で統一しなくては消費者が混乱するのではと危惧。あえて申請を取り下げたうえ、業界統一のデザインとなるよう、日本化粧品工業連合会を通じて働きかけました。このかいあって現在では多くのシャンプーにギザギザのきざみが入っています。
(※)「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」を保護する制度。特許制度とは保護の対象範囲が異なるが、その目的は同様。
(Kikka)
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