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画像無断使用への請求代行サービス「COPYTRACK」が話題 「日本では特にキュレーションサイトの案件が多い」

手軽さがすごい。

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 画像の無断使用を自動で発見し、権利侵害先への請求まで代行してくれるドイツ生まれのサービス「COPYTRACK」が話題になっています。もともと写真家向けのサービスでしたが、日本ではイラストレーターや漫画家による利用例も増えているようです。

 筆者もさっそく登録してみましたが、画像のアップロードからWeb上で画像が使われているサイトを特定するまでの時間はわずか数十秒。試しに以前ねとらぼの記事用に撮影した写真をアップロードしてみたところ、Twitter上で3件、ねとらぼ上で2件、ねとらぼからの配信先サイトで2件使われているのが確認できました。

画像を登録するとすぐに検索結果が表示される。上記画像は以前ねとらぼの記事用に撮影した写真を検索してみた画面。ねとらぼ内で画像が複数枚使われており、仮に無断使用だった場合、合計300ユーロの請求見込みであると表示されている

 ヒットした検索結果から無断使用ではないものを除外し、請求したい相手のみをCOPYTRACK側に伝えるという仕組み。筆者の場合、見積もりとして1件につき150ユーロ(約2万円)の請求額が表示されました。この金額はアルゴリズムによって自動算出されるもので、ページの種類や掲載期間によって上下します。

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 同サービスは2015年にドイツでサービススタートし、2016年に日本進出。140カ国での侵害に対応しています。登録料や手数料は無料で、ユーザーが負担する費用は請求が通った際に発生する成功報酬(30%~50%)のみというのが特徴。同社広報に日本での利用状況について話を聞きました。

キュレーションサイトへの請求が多い 日本独自の利用傾向

――画像を登録すると瞬時に権利侵害者の名前、住所、電話番号まで出てくると話題になっています。これはどういった仕組みなのでしょうか。

COPYTRACK:独自のアルゴリズムで世界中の一致する画像を見つけ出し、投稿先のサイトに紐づけられた情報を取りまとめる仕組みとなっています。社内に精査するチームがおり、通達前に情報の正確性もチェックします。また、検索でヒットするものの中には正規利用されている画像もあるので、そうしたものは除外し、無断使用と判断できたものに対して請求していくことになります。追及するのは不正使用されているページが商用と判断できる場合のみですので、プライベートユーザーによる使用の場合(ブログやFacebookのプロフィール写真など)は弊社のポリシー上取り扱いしておりません。

――商用で不正使用している相手が素直に応じなければ、最悪裁判までもつれるわけですよね。

COPYTRACK:実は裁判までいくケースはそれほど多くありません。昨今では著作権への意識が高まってきていますので、特に相手が企業の場合は納得して支払っていただける場合が多いです。請求の流れとしては、まず前向きな「事後ライセンス」の提案をすることになります。利用料を支払えば、継続して画像を使用していただける、というものです。こちらに対応いただけなかった場合に、別途パートナーの弁護士から連絡を行い、最悪の場合法的手続きを取ることになります。

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侵害相手への対応は基本的に「事後ライセンスの提案」→「法的権利行使」の順(画像は公式サイトより

――相手に事後ライセンスを与えたくない、どうしても削除してほしい、という場合はどうなるのでしょうか。

COPYTRACK:基本的には事後ライセンスを拒否された場合にのみ、損害賠償請求を行う流れになります。ただし誹謗中傷に画像が利用されている場合など、どう考えても消したほうがいいという場合には、事後ライセンスをスキップして法的措置を取ることもあります。また、これまで日本では削除要請をいただくことが多かったので、来年以降に向けて、削除要請機能の搭載も検討しています。

――日本でのサービス展開において海外と異なるように感じる部分はありますか?

COPYTRACK:キュレーションサイトに対する申請が目立って多いですね。海外にもまとめサイトのようなものはあるのですが、日本ほど人気はありません。他にも噂系のサイトといったアフィリエイト目的のサイトに対する申請が多いです。海外にもゴシップ系のサイトはありますが、やはり日本ほど人気はなく、こうした被害が多いのは日本独自のようです。

――相手がキュレーションサイトの場合、やり取りはスムーズにいくものなのでしょうか。

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COPYTRACK:記事の作成者とサイトの運営者が違うので、普通の個人運営のサイトに比べて、時間がかかる場合が多いです。

――二次創作の同人やファンアートの場合はサービスを利用できないと公式Twitterで告知されていましたね。

COPYTRACK:二次創作やファンアートの場合は、オリジナルキャラクターの著作権者の同意がない限り、サービスをご利用いただけません。二次創作ではなく、オリジナルの同人やイラストであれば問題ないのですが。

二次創作物の依頼は基本的に受け付けていない

――原作となる作品のガイドラインで二次創作を許可している場合でもサービスは受けられないのでしょうか。

COPYTRACK:その場合でも元のキャラクターの著作者が存在しますので、二次創作イラストを描かれた方は共同著作権者ということになります。やはりオリジナルの著作権者に同意を得ている場合でなければ、弊社で対応することはできません。

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――ちなみに、ポルノの場合は利用不可のようですが、こちらはなぜでしょうか。

COPYTRACK:イラストレーターや漫画家のお客様にネット上でご紹介いただき、同人作家からのお問い合わせも多くいただくようになりました。その際の相談内容の殆どがアダルト系だったのですが、絵のキャラクターは幼く見えることもあり、それが16歳なのか20歳なのかという判断は非常に難しいです。児童に見えるキャラクターのイラストがドイツで法的に問題となる可能性があるため、リスクとしてもコンプライアンスとしても難しいという理由から、9月ごろから取り扱いをやめています。以前はアダルト系の案件を請け負うこともありましたが、現在は世界中で受け付け不可としています。

【25日21時07分追記:当初、権利者向けの利用規約にポルノが取り扱い不可である旨が記載されていると紹介していましたが、コンプライアンス上、取り扱いをやめているという内容に一部修正しました。また、画像で紹介していた利用規約は被許諾者向けのものだったため削除しました。おわびして訂正いたします。】

――サービスを運営する上で他に日本独自の傾向はありますか。

COPYTRACK:イラストだけでなくマンガを無断使用されたというご相談も多くいただいております。マンガの場合は複数ページに渡って侵害されている場合が殆どですが、COPYTRACKはもともと写真家向けに開始したサービスです。1ページを写真1枚と同じ額に設定するととんでもなく高額になってしまうため、マンガの場合はケースバイケースで、申請をする際に随時ご相談いただく形を取っています。


 これまで画像の無断使用は個人で対処するにはハードルが高く、弁護士に相談する場合も費用がネックとなってきました。その点COPYTRACKは画像を登録するだけで、調査料や相談料は一切なし。支払いも請求から成功報酬分が引かれるだけなので、従来の方法よりはるかに手軽です。二次創作や成人向け作品は対応不可とのことでしたが、それ以外の場合は心強い味方になってくれそうです。

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【24日16時58分追記】

 「COPYTRACKが“非弁行為”にあたるのではないか?」という質問を読者から数件いただき、確かに気になったのでCOPYTRACK広報に追加で聞いてみました。

※弁護士でない人は弁護士活動で報酬を得てはならないと弁護士法第72条で定められている

COPYTRACK:弊社で提供している「事後ライセンス」は法的な回収ではなく、あくまでライセンスの販売という形になりますので、非弁にはあたりません。そのライセンスを購入するかしないかは相手の判断次第ですので、それを無視したり「買いたくない」となってはじめて、パートナーの弁護士に案件を引き継ぎ、法的な段階に入ります。

――パートナー弁護士の情報は公開していないのでしょうか?

COPYTRACK:弁護士は複数おり、個別の公開はしていません。侵害先に合わせて、各国の法律に従い、各国の弁護士に引き継ぐ形になります。

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