15年前の未完漫画『刻の大地』が連載再開 作者の夜麻みゆき「止まった時間が動き始めました」
あの時のガンガン読者の願いがついにかなう。
約15年前、漫画家の夜麻みゆきさんの体調不良により未完で終了した漫画『刻の大地』が10月26日、漫画アプリ「メディバン マンガ」で連載を再開しました。連載再開に向けて、クラウドファンディングを実施していた同作(関連記事)。記事化に際して、再開への思いを夜麻さん本人に伺いました。
『刻の大地』は、夜麻さんの別作品『幻想大陸』『レヴァリアース』と世界設定を共にする異世界「オッツ・キイム」シリーズの第3部となる作品。邪神竜ディアボロスを説得し、友達になることを目指す少年「十六夜」、邪神竜に滅ぼされた一族の復讐を誓う剣士「ジェンド」、かつて親友だった勇者が残した言葉の真意を求める青年「カイ」の3人を中心に、個性豊かなキャラクターが旅をするファンタジー物語です。
同作は、1994年にエニックス(現スクウェア・エニックス)『月刊少年ガンガン』で連載を開始し、1999年にはOVAも制作される人気作となりました。その後、2000年に『Gファンタジー』へと移籍。しかし、夜麻さんの過労による入院と体調不良から、物語は「塔の戦い」編の途中で休止してしまいます。2005年には、雑誌上で未完のまま連載終了することが発表され、2002年に発売された第10巻が最終巻となっていました。
しかし、夜麻さんは2007年ごろから徐々に活動を再開し、2008年に『トリフィルファンタジア』の連載で復帰。近年は、過去作の復刊やJコミでの配信とともに精力的に活動しており、2017年8月にはクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で『刻の大地』連載再開費用を募るプロジェクトを実施して達成しました。
今回、『刻の大地』の連載再開について夜麻さんにメールでお話を伺いました。まず、15年越しで描く物語について思いを聞いたところ、「塔の戦いの行く末ですね。途中で止まった時間が動き始めました。登場人物たちは一度死んだとも言えます。それが息を吹き返し蘇った。。。死を乗り越えて、おおげさかもしれませんが、生きかえった意味や価値があるような作品になればという思いです」との回答。作者と読者の思いが詰まった登場人物たちだけあり、そのペンには並々ならぬ思いが込められているようです。
再開後の物語では、「様々な思いが交錯するなか、譲れない気持ちもあり、腑に落ちるところはあるのか。魔法使いと僧侶の戦いの末、十六夜の『みんな仲良く』という気持ちの行きどころ」に注目してほしいとのこと。多種多様に入り乱れた戦いの中で交差する思い、主人公「十六夜」の無謀で健気(けなげ)な思いが、15年ぶりに動き出した物語でどのように描かれるのか気になるポイントです。
クラウドファンディングのひとまずの目標は「塔の戦い」完結となっていました。今後どういう展開の構想があるのかについても質問したところ、「勝利(ネツァク)の神殿に眠る聖石について。神話時代に触れてゆければ。ストーリーも進めたいですが、寄り道した物語も描きたいですね。そのためには、構想の時間がほしいです。。。!」とさらなる執筆への意欲について熱い言葉をいただきました。
メールの最後には、夜麻さんから支援をした読者へ「クラウドファンディングの成功で、つづきを描くことが出来た刻の大地。ご期待にお応えできるか不安もありますが、精一杯描かせていただきます!誠にありがとうございます」との胸が熱くなる感謝の言葉も。「一度諦めた作品を描けるのも、覚えてくれていたファンの皆様のおかげです。至らない点もございますが、一歩一歩、物語を紡いでまいります。読んでいただければ幸いです」(夜麻さん)。
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