コラム

ソーシャルゲームはなぜ「基本無料」でプレイできるのか? 課金の仕組みと国ごとの違いを解説

「基本無料」の基本のキ。

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 ソーシャルゲームのほとんどは「基本無料」をうたい文句に運営を続けています。ですが、本当に誰もお金を払わなければゲームを運営していくことはできません。では、ソーシャルゲームはなぜそんな状態で商売が成り立っている……どころか、場合によっては大もうけしているように見えるのでしょうか。

 こうした仕組みは、知っている人にとっては当たり前のことですが、そうでない人たちにとっては疑問に感じることが多い点かもしれません。今回は、「ソーシャルゲームはなぜ基本無料でプレイできるのか?」をテーマに、ゲーム課金の仕組みや国ごとの傾向の違いを解説していきます。

「タダでリンゴを配る」という発想

 ソーシャルゲームは、基本的には「たまにお金を払ってくれる人がいる」という状態を作り出すことで商売を成り立たせています。この「たまに」の回数が増えたり、払ってくれる金額が増えることで、売り上げが伸びていきます。そこで、そうさせるにはどうすればいいか、日々頭をひねっているのがソーシャルゲームを作っている人たちです。

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 1つ例を上げてみましょう。10個あるリンゴを1個100円で売るとします。10人のお客さんが1つずつ買ってくれると、売り上げは1000円です。ごく基本的な商売の仕方ですね。

 ですが「リンゴはタダで配ります。ただし1000円払ってくれたらこの場でリンゴ1つを使ってアップルパイにします」という商売をすれば、アップルパイを1つ買ってくれる人がいれば他のリンゴ9個をただで配っても、同じ1000円の売り上げが発生することになります。

 さらに、残りの9個の中からさらにもう1つアップルパイが売れたら、売り上げはなんと倍の2000円になるわけです。

 これが基本的なソーシャルゲームのビジネスモデルです。もちろん、アップルパイを作る手間賃やリンゴ以外の材料費も必要になりますが、そこが作り手の工夫のしどころですし、そこ次第でアップルパイを欲しがるお客さんはどんどん増えるわけです。

 ソーシャルゲーム界隈が「基本無料」という形に見えるのは、このお店が「アップルパイを売るお店」と名乗るのではなく「リンゴをタダで配るお店」と名乗っているからです。

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さまざまな課金の仕組み

 次に、例に上げた「アップルパイ」のようなもの(課金の仕組み)がどのような形でゲームに組み込まれているかを説明していきましょう。

ファッションアイテム

 無課金だと丸坊主にパンツ一丁ですが、課金するとおしゃれな服が着られる、髪形が変えられるなど、オシャレアイテムを買ってもらうものです。

スタミナ回復

 ゲームを遊ぶとスタミナが徐々に減っていき、0になるとプレイできないようにしておいて、回復アイテムを売ります。無課金でも時間が経てばスタミナは回復しますが、長い時間待つことになるので、我慢できない人は回復アイテムを買うことになります。

くじ引き(ガチャ)

 「ガチャ」と呼ばれることが多いシステムです。有料でくじ引きをさせることで、ゲームを有利にすすめるアイテムなどが手に入ります。

コンティニュー課金

 強い敵を倒すと良いアイテムなどが得られるゲームで、負けた時に課金アイテムで復活できるようにします。プレイがうまくなれば、課金しなくても済むかもしれません。

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 これらが基本的な課金の仕組みですが、最近はそれぞれが組み合わさっていることもあります。

 「課金すると石がもらえる。この石で、オシャレをするためのアイテムと交換してもいいし、石を使ってくじ引きをすれば強い武器を手に入れられるかもしれない。また、強い武器を落とすモンスターと戦って死んだら石を使えばコンティニューできる。遊んでいると体力が減り、体力が回復するまで遊べなくなるが、石を使うと体力が回復する」といった具合です。

 そしてこれらのオシャレアイテムや強い武器を手に入れる目的が、自己満足のためだけではなく「相手に勝つこと」を目的にしているゲームも存在しています。これらの他人との競争や、オシャレアイテムにしても「他人への自慢」という要素もまた、ソーシャルゲームが「ソーシャル」と呼ばれるゆえんの1つです。

 さらに最近は、基本無料でプレイできる上に、さらに月ごとの定額課金サービスを展開するゲームも増えてきました。これらは「プレミアムコース」などの名称で、スタミナの回復やガチャが引ける回数などにさまざまな優遇がされるというものです。

国ごとの課金傾向の違い

 これらの課金システムには、国ごとの傾向が見られます。

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日本

 ガチャが大多数という印象です。カードを集めさせるものから、キャラクターを手に入れると会話ができたりそのキャラクターに付随した物語を読ませたりするものなどさまざまで、皆それらを手に入れるためにガチャガチャしています。

米国

 勝敗を競うゲームが多く、相手に対して有利になるための課金アイテムを購入させる形が流行しました。勝つためにはお金を、ということで「Pay to win」といわれていますが、これを不満とし「Free to win」と称して、勝つためのアイテムではなく、前述したファッションアイテムを売るなどのゲームも増えています。

中国

 VIPシステムと呼ばれる「お金を払えば払うだけ有利になる」システムがあります。この払えば払うほど、というお金は累計額=ゲームが始まってからの合計額です。日本のガチャは何円突っ込んでも欲しいものが出なければ無駄な投資になってしまいますが、このシステムの場合は「欲しいもののためには投資を惜しまない」人に対しては相応のリターンがあるというものです。通算課金額が一定額に到達したらものすごく強いアイテムがもらえる、などですね。

中には早々に終了してしまうゲームも

 その他としては、広告を見せることでもうけるタイプのゲームもありますが、これはソーシャルゲームにはあまりないように思います。

 こうやってあの手この手で売り上げを稼ごうとするわけですが、もちろん売り上げ全部がもうけになるわけではなく、ゲームを作っている人の給料やサーバの維持費などにある程度お金が消えていきますので、なんとかしないとゲーム自体があっという間に終了してしまいます。

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 特に最近はこのサイクルが早くなっており、早いものだと3カ月程度で「この林檎は腐ってしまったので捨てよう」ということになりかねません。最初にいろいろ問題点があっても、ゲームの売り上げが続けば改良するための余裕が生まれるかもしれません。

 中には「ソーシャルゲームには絶対にお金を払わない」という人もいますが、そのゲームが続いているのは「お金を払っている誰か」のおかげ。プレイスタイルは人それぞれですが、自分の気に入っているゲームに長く続いてほしいという人は、たまには課金してみてはいかがでしょうか。

怪しい隣人

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