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「R32 GT-R」の絶版パーツを再生産 日産が「NISMOヘリテージ」開始、その意味は?(1/2 ページ)

ホンダ、マツダに続いて日産も開始。R33/R34 GT-Rへの拡大も計画されています。

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 日産自動車(以下、日産)が、愛車を長く乗り続けられるようにサポートする活動「NISMO ヘリテージ」を開始すると発表。12月1日から、製造廃止になった部品を再生産した「NISMOヘリテージパーツ」の販売を開始します。

専用部品が再生産される「スカイラインGT-R(R32型)」

 NISMOヘリテージは、日産と、レース参画やレース向け部品、チューニング車開発などを担うグループ会社のニスモ、日産車ベースの特装車開発などを行うオーテックの3社と部品サプライヤーとが共同で、製造廃止になった部品の再供給を行い、「長く愛車に乗り続けたいオーナー」を支援する取り組みです。第一弾として、ニスモが「スカイラインGT-R(R32型)」用の専用部品を再生産し、国内向けに発売します。

 R32型のスカイラインGT-Rは、スカイラインの最上級グレードとして1989年8月から1995年1月に製造された、日本を代表する高性能車の1つ。「グループA全日本ツーリングカー選手権を制するため」に開発された高い走行性能とともに、当時、そして2017年現在もクルマファンの多くが憧れる名車です。

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グループAのカルソニックGT-R

 NISMOヘリテージパーツでは、R32型GT-Rの専用部品のうち、走行や車検に必要不可欠な部品を検討し、まずはハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品など約80点の部品が再生産されます。再生産で対応できないものも、代替、リプレース、リビルト、オーバーホールした部品やNISMOチューニングパーツでの対応が検討され、続いてR33型、R34型スカイラインGT-R向けの展開も計画されています。注文は全国の日産販売会社、およびNISMOパフォーマンスセンターNISMO大森ファクトリーで行えます。業者はNISMO代理店経由での注文も可能です。

再生産されるGT-Rのエンブレム
再生産されるフロントバンパー(NISMO仕様)

 なお、この「メーカー自身が旧型車オーナーを支援する」活動は最近、国内自動車メーカー各社も盛んに取り組みはじめています。マツダはオープンスポーツカー「ロードスター(NA型 1989年発売)」の補修サービス「NAロードスター レストア」を、本田技研工業(ホンダ)も高性能スポーツカー「NSX(1990年発売)」を再整備する「NSXリフレッシュプラン」や軽オープンカー「ビート(1991年発売)」の純正部品を再生産する「BEATparts」を展開します。

マツダも「NAロードスター レストア」を実施

 販売終了から数十年が経過した旧車オーナーの悩みの多くは「補修部品の確保と維持費」にあるといいます。本当は一生乗り続けたいのに、「修理できないから」「維持費が高額だから」の理由で手放すことになるのはとても悲しいこと。また「買おうとしたけれど、諦めた」という人もいるでしょう。メーカー自身が相次いでこういった支援活動を行う背景に何があるのでしょうか。

 近年、ITサービスの普及によって「所有するクルマの資産価値を高められる新しい手段」が生まれています。例えば「個人間型カーシェアサービス」は、借りるだけでなく、自分のクルマを登録して貸すこともできます。収入が得られるのならば、所有しているクルマも金食い虫ではなく家族なども納得させられる資産となり得ます。また、修理や保守体制が見込めるならば「憧れだったあのクルマを入手できる機会」も増えます。

 事業者に対しても「憧れのクルマをレンタルとして貸し出す事業」などへの支援になるかもしれません。今後、シェアサービスなどの普及によって個人需要は「所有する」から「借りる/共有する」へ移り、その販売台数も減少していくと予測されています。そうなるとメーカーや自動車販売店は誰へ売るかがポイントになります。このほかにも、R32型のGT-Rを始めとする80年~90年代の高性能国産スポーツカーは、米国で「25年ルール」と呼ばれる排ガス規制の対象から外れることを背景に人気が高まり、市場価値が急騰しています。

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 メーカー自身による旧車支援の取り組みは、旧車ファンの個人への訴求とブランド価値を高めることはもちろんですが、これまでなかった、あるいは少なかった経済や消費を喚起できる可能性もありそうです。このような、ファンを大切にしながらも、それでいて単なる慈善事業に留まらない自動車メーカー発の新たな施策は、今後、ほかのメーカーにも拡大していきそうです。

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