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開始10分でホワイトハウスが倒壊するサメ映画 「シャークネード」シリーズ一挙レビュー

今回は3~4作目「シャークネード エクストリームミッション」「シャークネード4(フォース)」をレビュー。

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 開始10分でホワイトハウスが倒壊する映画を知っているか? ――シャークネードだ。ダニエル・ラドクリフが「すごい死に方をさせてくれ」とカメオ出演を熱望した映画を知っているか? ――シャークネードだ。

 主要人物の今後の生死をファン投票で決めた映画を知っているか? ――シャークネードだ。では「1」放送時、その内容を絶賛したセレブたち全員が「2」への出演を断った映画を知っているだろうか? ――もちろん、シャークネードだ。

 全3回にわたりシリーズ5作品を徹底レビューするこの企画。前回(関連記事)に引き続き、「シャークネード」シリーズ第3作目と第4作目のレビューをお送りする。これ以上言うことはない。引き続きネタバレ全開だ。常に備えよ、センタ・パラタス!

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【前回までのサメ映画記事】

ロサンゼルス→ニューヨーク→宇宙! 「シャークネード エクストリームミッション」

 シリーズ第3弾となる「シャークネード エクストリームミッション」。本作のメイン舞台は宇宙だ。宇宙だろうがなんだろうがサメから逃れる術はないのだ。

 前作、前々作にてロサンゼルスとニューヨークを救った功績をたたえられ、大統領から最高勲章を与えられることになった我らがヒーロー、フィン・シェパード。ホワイトハウスで勲章とともにニューヨーク市長から黄金のチェーンソーを与えられ、上機嫌なところにシャークネードの気配を感じる。

 聞いてもいない人気者の苦悩を語りだす大統領を説得し、戻ると早速サメの嵐がホワイトハウスに降り注ぐ! 地下シェルターも既にサメだらけ、地獄絵図と化したホワイトハウスから大統領と共に脱出、降り注ぐサメを星条旗で撃退!

 この絵だけはなんとしてもトランプで見たかった(トランプは出演オファーを受けていたが、本当に大統領選に出馬することになり実現しなかった)。並大抵の映画ならクライマックスと言ったところだが、ここまででまだ15分しかたっていない。既に大作映画を数本は見終えた気分なのだが。

 舞台はフロリダのユニバーサルスタジオに移り、娘クローディアと妊娠したエイプリルとその母親の観光シーンに。彼らの身を案じたフィンが一路フロリダに向かう途中シャークネードに巻き込まれかけるが、仮面をつけた謎の女戦士に危機を救われる。それは1作目のあと行方不明になっていたノヴァだった。

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 どうやら肉親を殺したサメへの復讐のためにギークのルーカスと手を組み武装、サメを撲滅するためにシャークネードを解析、追い続けていたらしい。前作の左手チェーンソーエイプリルもすさまじかったが、シリーズが進むたび登場人物の壊れ方に容赦がなくなっていくのがシャークネードシリーズの特徴だ。

ノヴァがサメを銃撃するシーン

 エイプリルたちと合流したフィンのもとに史上最大級のシャークネードが迫る。とてもじゃないがいままでのような爆薬や冷凍では手のうちようがない。そこでNASAに勤めていたフィンの父に連絡、衛星を利用したミサイル迎撃システムによるレーザー兵器攻撃――いわゆるスターウォーズ計画の遺産の使用を試みることに。これは冗談のような話だが、レーガン政権下のアメリカで大真面目に研究されていた戦略構想だ。

 というわけで父・ギルバート、エイプリルと共にいざ宇宙へ。しかしレーザーが起動しない! 長年ほったらかしにされてきた兵器はサビつき、誰かが手動で動かさなければならない。ギルバートの犠牲の結果、なんとかシャークネードを破壊。宇宙空間に投げ出されたサメたちとライトセイバー・バトルを繰り広げたのち、サメに包まれながら大気圏を突破したフィンとエイプリル、とその息子。エイプリルはサメの中で出産していたのだ。

 父ギルバートの名前をとってギルと名付けられた息子へ、月に消えた祖父の遺品を託そうとするエイプリル。しかしその頭上にはスペースシャトルの破片が……!

 本作は宇宙ザメのインパクトが大きいが、肝心のサメたちの出番が少なめだ。冒頭のホワイトハウスシーンには満足なのだが、物語的な盛り上がりもそこが頂点かもしれない。今まで割としっかり書かれていた人間ドラマも薄いためか、Rotten Tomatoesでの評価は36%と前2作(82%、62%)と比べてかなり低下した。

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 常に新しさが求められてしまうディザスター・パニックにおいて、フランチャイズ・シリーズ化は必ずしも正しい選択ではないということがどうしても浮き彫りになってしまった形だが、しかしTwitterでのインプレッション数は前作の2倍、20億を記録している。

 さて本作、海外版DVDには「2つの別エンディング」が収録されている。1つ目はエイプリルの出産場所がスペースシャトルの中でのサメとの戦闘中に変更されており、生まれたギルとエイプリルがサメに食われて終わる、というだいぶ救いがないもの。もう1つは更に救いがなく、サメに包まれ落下した先が北朝鮮で、兵士が銃を向けてこちらに走ってくる……という輪をかけて突拍子のないものになっている。

 後者であれば続編は絶望的だから、シリーズを終わらせるために撮影したのかもしれない。だが本来のエンディングからファンの投票を経てシリーズの続投は決定。「エイプリル生存」ルートにてシャークネードは「ジョーズ・シリーズ」と並ぶ4作目、「シャークネード4(フォース)」の製作に突入する。

映画オマージュ盛りだくさん 「シャークネード4(フォース)」

 予告編を見ていただければ分かる通り、本作はいきなりすさまじい既視感のあるテロップから始まる。前作の「007」オマージュに引き続き、今回は「スター・ウォーズパロディー」を全面に押し出した怪作となっている。特に著作権ギリギリをついてくるテーマ曲が笑いどころだ。

 前作から5年。エイプリル亡きあと5歳となったギルとフィンはカンザスにある母親の農場で父子団らんの日々を過ごしていた。

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 アストロX社の天候安定システムによりここ5年間シャークネードは発生しておらず、 フィンとそのめい・ジェムは長男マットの結婚式のため、過去の災害とされたシャークネードをモチーフにしたラスベガスのホテル「シャークワールド」に向かうことに。と、そこに砂嵐をもとにしたシャークネードが発生。天候安定システムは砂塵に対しては未対応だったのだ!

 前作のあとちゃっかり月から生還していたフィンの父・ギルバートはその孫クローディアと共にメカスーツの開発を行っており、そこに父親のマッドサイエンティスト・ウィルフォードによって改造手術を施されていたエイプリルが合流。体の大部分を機械化された母親にギルは「ぼくのママはサメだ ロボットじゃない」と懐かない。フィンはいったいどんな教育をしていたのか……。

 そうこうしている間にラスベガスで発生したものとは別のシャークネードが複数発生。油田を巻き上げオイルネードに、それに引火したファイヤネードに……と凶暴化が進むシャークネードに手を焼くアストロX社重役・アストンと手を組み、ギルバートのメカスーツに身を包むフィン。そして嵐はカンザスに向かい、シェパード一家が全員集合。しかし一人、また一人とサメに飲まれていく! どうなるシェパード一家!

メカスーツフィン

 本作のラストはシャークネード・シリーズをここまで見続けていた人へのご褒美といえるかもしれない謎の感動がある。「ジョーズ」がそうであったように、長寿サメ映画はなぜか家族の話に帰結するのだ。

 「ターミネーター」「スーパーマン」「クリスティーン」といった過去の名作を雑多に引用しながら、父から子への継承という正直まっとうなラストに着地する力はお見事というほかない……とは言ってみたものの、本作も正直なところ評判はよろしくない。

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 Rotten Tomatoesの評価は17%と過去最低だ。完全にサイボーグ化したエイプリル、初登場ながら既に人外的活躍を見せるジェム、久々に出てきたと思ったら嫁が殺されてしまうマットなど、そもそも好きこのんで見ておきながらいまさらだが、シナリオ的にむちゃがすぎてくるのだ。

 そして精根尽き果てたのか、初代からここまで脚本を担当してきたサンダー・レヴィンは本作で脚本を降板している。作品を重ねるたび次々舞台のインフレを続けていった同作だが、むしろよくここまでよく広げたと褒めてあげたい。

ネバーエンディング「シャークネード」ストーリー

 だが安心してほしい、シリーズのインフレはまだまだ止まらない。正直なところ続編の「5」が出ると聞いて、もうこれ以上は無理だろうと思った。シェパード一家は強くなりすぎてしまったし、彼らが活躍できる場所はこれ以上見込めない。しかし5作目「ワールド・タイフーン」ではこれまでに放り込まれていた名作映画オマージュをなんときっちりシナリオに生かし、大逆転のウルトラCを決めている。

 次回はいよいよ最新作「5」のレビューをお送りする。さらなるにサメの嵐に備えよ、センタ・パラタス!

将来の終わり

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