「シャークネード」はついに「ジョーズ」を超えた―― 「シャークネード5 ワールドタイフーン」レビュー(2/2 ページ)
満を持して登場したシリーズ最新作。
以後、フィン一行は世界を舞台にワープを繰り返すシャークネードにとらわれた息子を助けるため、スイス、オーストラリア、イタリア、ブラジル、エジプトを転々とすることになる。コロシアム、ピラミッド、トレビの泉、リオデジャネイロを経てたどり着いたのは西新宿。ついに日本にまでシャークネードが……いや違う、様子がおかしい。見れば無数のサメたちが集まり、一匹の怪獣と化している! あれはゴジラ、いやシャークジラだ! (英語字幕では"Shark-zilla"。クジラじゃないよ)
これまでにない特大のシャーク・ディザスターに立ち向かう地球最強のサメ退治ファミリー(+元バイトの女戦士)。しかしシャークジラを始めとした、世界各地で雪に砂塵、雷を巻きあげる新手のシャークストームには家族のきずなも儚く、一人、また一人とサメの餌食に……って、この展開「4」でもやったじゃないか! と笑いながら見ていると、案外、同じように事は運ばないのだ。映画が後半に向かい勢いがドライブしていくうち、シリーズをここまで追ってきているマニアであればあるほど「いやこれどうすんの?」と息をのむであろう、驚がくの展開が次々待ちうける。
冒頭の通り、サメ映画のシリーズは長く続かない。主役がサメであれ人間であれ、成長を続ける彼らは倒すべき敵、超えるべきものを失ってしまうのだ。それは「シャークネード」シリーズにも同じことがいえる。シャークネードは、そしてフィンたちは世界の壁を超え、すでに宇宙をも飛び越えてしまっている。しかし「これ以上何ができるのか?」という全世界のサメ愛好家からの期待の声に、製作陣は最大の形で答えてしまった。そこにあるのは例えるならば「続・猿の惑星」から「新・猿の惑星」に至るような、すがすがしい発想の飛躍だ。
思えばこれまで、シャークネードシリーズには大量のパロディーが仕込まれていた。「007」「スター・ウォーズ」「悪魔のいけにえ」「ツイスター」「狼男アメリカン」「クリスティーン」「永遠に美しく…」。しかしこれらはシナリオに生かされることはなかった。ただその場面場面単体で成立するギャグでしかなかったのだ。だが本作のラストを見て確信した。それらは全て、いまこの瞬間のための伏線であったのだと。
終幕を飾るドルフ・ラングレンの満面の笑顔。それは彼だけのものではない。こちらも思わず頬をゆるませながら、「やりやがったなこの野郎」と笑ってしまった。
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