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あの「進研ゼミマンガ」はどうやって作られているのか? 「女子向けは精神年齢高めに」「語り継がれる伝説の名作がある」など秘密を聞いた(2/4 ページ)

「この問題、ゼミで見たやつだ!」の裏側。

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『ちゃお』や『コロコロ』を読んで研究!

 私はいま小学生を担当しているんですが、小学生がよく読む『ちゃお』や『コロコロコミック』が会社の本棚にストックされているので、それを読んで「ここを参考にしてみよう」などはしますね。例えば『12歳。』という人気作品があるんですが、大の男が読んでいますよ。マジメな感じで……(笑)。


鈴木さんが参考にしている『12歳。』(小学館より)

――恋愛要素が入るのは女子のほうが早いですか?

 早いですね。小4ぐらいからありますよ。少女マンガなので、王子様キャラがいたり。

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女子向けは小5から恋愛要素全開

 男子は小6ぐらいから恋の要素を少し入れて、「告白」が出てくるのは中学2年生ぐらいからです。それまでは恋愛要素を出しすぎるととたんに嫌悪する男子がいて。「オレは女子は嫌いだ!」と言ったりするような(笑)。

――いますね、そういう感じ!(笑)

 それに比べて、女子は2本に1本ぐらいは「恋心」が出てきますよ。


初々しすぎる「男子の部屋に初めて入るシーン」

Excelやパワポでストーリーを書いている

――社員さんは、いわゆる「ネーム」(※1)は書かないのですか?

※1:ネーム……マンガのコマごとの構図やキャラの配置などを絵で大まかに表したもの

 そうですね、「紙面でこういう絵になる」というのは、漫画家さんからいただきますが、セリフまわしや起承転結、登場人物は、社員がExcelやPowerPointなどを使い、テキストベースで書いています。漫画家さんにそれに合わせて書いてもらいます。

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――あらためて読むと、ページ数が多いですね。大体何ページなのかは決まっているんですか?

 小学生向けは24ページぐらい。中学生とかになると、36~40ページあります。年齢が上がってくると、長い作品に抵抗がなくなってくるので。

――鈴木さんはどういうお話が作りやすいですか?

 「ヤンチャ男子系」は作るのが得意な人が多いですし、私もそうです。ギャグを考えたりすれば作れるので。


ギャグを織り交ぜながら軽妙に進行する「ヤンチャ男子系」マンガ

実は「脱マンネリ」したい!

――昔はストレートな成功ストーリーばかりだった気がしましたが、最近はリアルな方へ寄ってきていますか?

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 大まかにそういう傾向はあります。それと中学生あたりからは、「中二病」といわれるように斜に構えはじめるんです。そういう子に「ウソくさく」見えないようにと。その中でも成功シーンは入れる必要があるので、いかに“ゼミ前”と“ゼミ後”で「ホントっぽさ」を見せていくかなんです。

 例えばこの作品は……小学生なのにバンドを始めて、女の子がリードボーカルで歌うんですよ。これは反響がありました。歌詞も社員が考えて。


小学生がバンドを組み、しかも英語で歌う衝撃シーン

――この歌詞(「Shall you take step?/キミも一歩ふみ出してみない?」)が進研ゼミの内容にもつながっていると。

 女子はちょっと非現実的なところがある方が興味を持ってくれるんです。

――絵柄も、マンガ作品で言うと『NANA』とか、それっぽいですね。

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 そうですね、ちょうどその頃の時代だったと思います。

「黄金パターン」への挑戦

――おなじみの「挫折」→「進研ゼミに出会う」→「勉強も恋も部活もうまくいく」という”黄金パターン”は、昔からあったんですか?

 ありました。「進研ゼミと出会って、成績も伸びて、恋もつかむ」という……ホンマか? みたいな。ただ、少なくとも私は、黄金パターンは脱したいと思っています。

 まず、ハッピーエンドといっても時代によって求められるものは違うので、例えば昔だったら、「100点をみんなにアピールする」のが是だと思うんですけど、最近の子は100点を取っても、大っぴらには見せなかったりします。特に女子は。マンネリ化していくと子どもたちは読まなくなってしまうので、ウソくさいと。

――「黄金パターンを書け」と言われているのかなと思っていたのですが。

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 ストーリーは自由です。むしろ逆で、「マンネリは脱しろ」という。実際に黄金パターンにならっていないのがこちらの作品です。例えば100点取るんですけど、その後に「好きな男子が、自分の幼なじみと付き合っている」というのが発覚してしまったりとか。


100点取ったら人生バラ色……だけではない

 担当する社員によって一人一人作る内容は違うので、中には「定番の感じを出したい」という人もいますが、私は「なんでもかんでもうまくいくのはウソくさい」と思っているタイプです。良い点数を取った後に部活の後輩から悪口を言われても、それを乗り越えるというのが大事だったり。

 リアリティを大事にして、「単純に進研ゼミをやったから楽勝」というようなスタンスは避けています。


「彼女もできず全く女っ気のない終わり方」としてネット上で話題になった作品

――確かに、子どもも気付きますよね、「そんなわけないだろう」っていうのは。

 「自分次第」というのが、大事なんですよね。“何でもかんでもうまくいく”っていうのは、私の作るものでは違うと思っています。

実は「天体観測部」「将棋部」「手芸部」も登場している

――マンガ内に出てくる部活では、やっぱりサッカー部や野球部が王道ですよね?

 単純にやっている子が多いので。ただ、そればかりだとマンネリ化するので、実は将棋部や天体観測部なども入れているんですよ。あと最近はダンス部などに人気がありますね。

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