「キラキラ☆プリキュアアラモード」が大成功を収めた5つの理由:サラリーマン、プリキュアを語る(4/4 ページ)
この時期はプリキュアロスと新しいプリキュアへの期待で複雑な気持ちになります。
女児向けアニメ群雄割拠の時代
さて、もう1つ言及しておかないといけないのが、2017年は女児向けアニメが群雄割拠の状態で、プリキュアに「大きすぎるライバルが不在であった」ということが挙げられます。
女児向け市場のパイが一定である以上、大きすぎるライバルの存在は、もちろんプリキュア市場に大きな影響を与えます。いくら作品が面白くても、パイが一定である以上、ライバルが強大すぎれば人気および売り上げは落ちるのも当然なのです。
現状を見てみると、プリキュアシリーズと同じバンダイのIP「アイカツ!」シリーズは、かつてはプリキュアを大きく上回る勢いの売り上げでしたが、ここ数年はやや停滞気味となっていました(来期、新シリーズで巻き返しを図るようです)。
同じくバンダイの新規IP「ヒミツのここたま」も2015年には、「おもちゃ情報.net」の年間おもちゃランキング(女の子部門)で1位を取るなど絶好調でしたが、2017年はランキングの常連、というわけではなくなりました。
また、バンダイのライバルメーカー、タカラトミーが展開する「プリパラシリーズ」も2017年4月に「アイドルタイムプリパラ」にリニューアルされ、比較的堅調な推移を見せているものの、同タカラトミーの新規IP実写特撮女児向け番組「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」は大きな波には乗り切れていないのが玩具業界紙などでも言及されています。
かつての「ジュエルペットシリーズ」を展開していた女児向けアニメの雄、サンリオ枠では、現在「リルリルフェアリル 魔法の鏡」が放送されていますが、こちらもかつて女児向けの玩具を席巻した電子玩具「ジュエルポッド」レベルとまではいっていません。
また、ディズニープリンセスの台頭が女児向け市場に食い込み、プリキュアを脅かしていますが、こちらも1年半ほど続いた「ちいさなプリンセスソフィア」から2017年4月より「アバローのプリンセス エレナ」に代わりました(2017年10月から、また「ちいさなプリンセスソフィア」に戻っています)。
2017年はさまざまな女児向けコンテンツが放送されていますが、かつての「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」レベルの「突出したモンスタークラス」のコンテンツが存在せず、どのコンテンツも「比較的安定した群雄割拠の状態」となりました。
女児向け玩具は、クリエイト系(タカラトミーのウーニーズなど)に人気が集まる傾向にあり、リカちゃん、シルバニアファミリーなどの定番玩具が人気を博し、その中でもキャラクター商品としては、高い位置で安定していたのが「プリキュアシリーズ」だったのです。
女児向けコンテンツが一極集中ではなく多様化していくと、歴史と実績のある「プリキュアシリーズ」が強くなる傾向にあるようです。
「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、そんな女児向けコンテンツ群雄割拠の時代を生き抜いた存在であったといえるのではないでしょうか。
まとめ
「キラキラ☆プリキュアアラモード」は内容的にはもちろんのこと、数字的にも好調な推移でした。
その要因としては、
1:キラキラ☆プリキュアアラモードの「コンテンツ力」の高さ
2:多様性を重視した優しい作風が子どもに受けた
3:新しいことにチャレンジし、成功した
4:プリキュア公式YouTubeチャンネルの開設で認知度アップ
5:女児向けコンテンツ群雄割拠の時代を生き抜いた
これらのことがまさに「混ぜ混ぜ」された結果として、好調な数字につながったのだと思われます。
最後に
「キラキラ☆プリキュアアラモード」は大成功を収めた作品となりました。
新しいことにチャレンジしていく製作者の思いと、今の時代に合わせた多様性を意識した作風が重なり、時代もうまくマッチしたことが相乗効果となり生まれた作品だったのです。
もちろんうまく行ったこともあれば、うまくいかなかったことも多々あると思います。
しかしその「常にチャレンジしていくこと」が積み重なって、新しいプリキュアに受け継がれていくのでしょう。
次作「HUGっと!プリキュア」は「子育て」「ワーキングマザー」といった難しいテーマを扱います。
そこでもさまざまな新たなチャレンジが行われることでしょう。
プリキュアシリーズが15年も続いているのは、この「常にチャレンジし続けていく精神」にあるのだと思います。
「HUGっと!プリキュア」では、僕たちにどんな素晴らしい世界をみせてくれるのでしょうか?
楽しみですね。
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
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