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常識を覆す「投げ」の排除、徹底再現されたドラゴンボールの世界観―― 「ドラゴンボール ファイターズ」はいかにして最高の格闘ゲームになったのか(4/4 ページ)

これは究極のドラゴンボールゲーだ。

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「ドラゴンボール ファイターズ」に改善を望むなら

 ここまで絶賛を続けてきたが、欠点が全くない完璧なゲームではない。既にアップデートが予告されている通信面の不安定さは解決しつつあるようだが、個人的には同実力帯のプレイヤーと対戦しやすくする機能が乏しいことも問題だと思う。

検索機能、欲しいです

 「ドラゴンボール ファイターズ」は従来の格闘ゲームよりも簡単に操作できるようになっておりライト層の参入を目指したゲームデザインとなっている。しかし、現在では強烈な戦術も固まっており、上級者は高威力かつ高難度のコンボや、脱出困難な連携をバンバン実践投入してくるため、初心者は上級者に対しほぼ一方的にやられるはずだ。上級者と初心者の住み分けが完璧にできていればそういう問題は起きないはずだが、ランクマッチ以外は幅広い実力帯の人と当たる仕様になってしまっているようだ。レビューサイトなどを見る限り、「息巻いてネット対戦に乗り込んだのに上級者にボコボコにされ、意気消沈し辞めてしまった」という初心者プレイヤーも、残念ながら多いらしい。

 それなりに格闘ゲームを続けてきた筆者も31戦1勝30敗の初心者と当たった事がある。その時は“舐めプレイと言われない範囲でさり気なく負けること”が不可能な実力差だったので、泣く泣く普段のプレイを徹底し完勝した。向こうもそうだったろうが、こちらも胸が苦しかった。“舐めプするクソ野郎”とかSNSに書き込まれるリスクもあるが、わざと負けた方が良かったのかもしれないとすら思う。

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 とにかく、本当に誰も得をしないので、「初心者限定部屋」とか「上級者お断り部屋」のようなものを設けるなどして上級者との垣根を作り、初心者同士でワイワイ対戦できるようになってほしいと心から思う。レベル差の問題は格闘ゲーム全般の課題だが、ドラゴンボールのゲームだからこそエンジョイ勢は大切にされてほしい

あと、細かい話だがDLCの「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は影山ヒロノブ版にしてほしかった。FLOW版も悪くないが、思い出補正が乗るのは断然影山ヒロノブ版だろう

自分なりの楽しみ方を見つければ良い

 とはいえ、対人戦をしなければ楽しめないというものでもない。格闘ゲームである以上妙味は対戦にあるが、これまで説明してきたようにドラゴンボールが好きなら演出を見ているだけでも楽しめるはずだし、ストーリーモードのボリュームは豊富だ(正直言って対戦パートが邪魔なくらいだ)。最初から対人戦で勝とうと息巻くのではなく、CPU戦に飽きて「まだ見ぬ強敵と戦いたい」と悟空のようなことを思ったら、そのときに対人戦をやるぐらいで良い。最初は悔しい思いをするかもしれないが、試行錯誤すればいつの間にか勝てるようになる。そこはどんな競技も同じだ。

 このゲームは格闘ゲームとしての完成度が高いだけでなく、ドラゴンボールの世界をほぼ完璧に表現している。格闘ゲームが苦手とかそんなことは関係ない。このゲームを楽しむために重要なのは「ドラゴンボールが好きだったことがあるか否か」、この1点だけだ。

 ドラゴンボールになんの感情も持ったことがない人にこのゲームを勧めることはできない。しかし、もしこれを読んでいる人が、かつて当然のようにドラゴンボールのアニメを見て、当然のようにドラゴンボールのゲームをプレイし、部屋にこもってかめはめ波を撃とうと練習したことがあるのなら、絶対にプレイするべきゲームであると断言できる。

 「あなたにとって過去最高の格闘ゲームは?」と聞かれたら答えに窮するが、現時点では“もしかしたら「ドラゴンボール ファイターズ」なのかもしれない”と思っている。これは、筆者が格闘ゲーマーだから下した評価ではない。少年時代にドラゴンボールを大好きだったから、そしてこのゲームをプレイして20年ぶりにドラゴンボールを大好きになったからこそ、このゲームを評価したいのだ。

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イッコウ

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