誰でも描けるリアル背景、「爆発エフェクト」の描き方:漫画家直伝イラストテクニック(3)(1/3 ページ)
紙とペンを用意して、ぜひ試してみてください!
漫画家の作画テクニックを伝授するコーナー「漫画家直伝イラストテクニック」。第三回は漫画『折れた竜骨(原作:米澤 穂信)』や『アルマディアノス英雄伝(原作:高見粱川)』を連載中の漫画家、佐藤夕子(@makaidaibouken4)先生に、“爆発”の描き方を教えていただきます。
- 漫画家直伝イラストテクニック(1):第一回:誰でも描けるリアル背景、「山」の描き方
- 漫画家直伝イラストテクニック(2):第二回:誰でも描けるリアル背景、群生する「葉(笹)」の描き方
第三回:「爆発」のエフェクト
第三回はバトルシーンなどで見かけることの多い“爆発”がテーマ。飛び散る破片や爆風などを描きます。
STEP1:円を重ねる
まずは紙、筆記用具を用意し、大小さまざまな円を部分的に重ねるようなイメージで鉛筆で下書きしていきます。このとき規則性を持たせずに、ざっくりと描いていくのがポイント。この下書きを目安にして爆発の形を大まかにイメージしていきます。
STEP2:影となる部分に斜線
次に1で描いた円の中に影となる部分(ベタ)を斜線で描いていきます。ここで“爆発”の瞬間をもう一度イメージしてみましょう。中心から火が出て、破片が周囲へ飛び散り、煙がもくもくと上がっていきますよね。この現象を“明暗”という視点で見てみると、中心が明るく、外側は暗いということになります。
この考えを参考に影をつけていくと、中心部分は白(余白)が多め、外側の円には黒(斜線)が多めになることが分かります。ただし、外側の円全てを塗りつぶしてしまってはリアリティーに欠けてしまうので、円と円が重なり合ってできた部分の面積は適宜塗ったり、塗らなかったりしましょう。
STEP3:ペン入れ
次は鉛筆からペンへ持ち替えてペン入れの作業を行っていきます。ペン入れとは鉛筆で描いた下書きをなぞって本番用の線にしていくこと。つけペン、ミリペン、筆ペンなど描き込む場所によって使う筆記用具を変えていくことにより、リアルな質感に仕上げることができます。
まずはアウトラインから描いていきましょう。ここではつけペン、ミリペンなどを使って円を描いていきますが、このとき、わざと形を崩すようになぞるのがポイントです。1で描いた円はあくまでも“目安”なので忠実になぞる必要はありません。煙が正円のような形になることはあり得ないので、円状の形状は守りつつ、細部ははみだしたり、凹ませたりしてみましょう。
また所々に筆ペンを使用してシャッと細い線を重ねたり、煙がうねっているように描いたりすると、よりリアルな爆発エフェクトになるので、ぜひ取り入れてみましょう。
STEP4:ベタ塗り
次はベタ塗りをしていきます。ベタ塗りとは影になる部分を黒く塗りつぶすことで、今回は斜線の部分をメインに塗っていきます。まずは黒くする部分の中心を大まかに太いペンやマジックなどで塗りつぶしていきます。このとき、円と円が重なり合っている部分に注意して塗りすぎないのがポイントです。
外側の円は黒多め、内側の円は白多めということを念頭に、完璧に塗りつぶす部分、カケアミ(線を複数重ねて影を作るテクニック)、トーン(漫画・イラスト用の模様素材)などを駆使してグラデーションを付けたりするとより一層リアルな仕上がりが期待できます。
またこのとき、輪郭をボコボコさせたり、タッチが分かるようなペン入れをすると、爆発の動きや炎のゆらぎがより伝わりやすくなるので、同じ場所を何度かなぞってインクを重ねるのも有効です。
最後に紙を離してみて、バランスが整っていれば完成です。リアルな「爆発」のエフェクトを描くことができました。
編集部でも描いてみた
と、ここまでご紹介してきた佐藤先生によるテクニックですが、これは素人にも活用できるのか――。今回もド素人の編集部員が実際に“爆発”を描いてみました。
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