ニュース

「廃線」にはどんな楽しみ方があるの? 鉄道旅のプロ「旅と鉄道」編集部に聞いてみた

近所の廃線スポットの楽しみ方も教えてくれました。

advertisement
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 雑誌「旅と鉄道」(通称:タビテツ)が3月20日発売の2018年5月号で「廃線紀行」を特集します。

 同誌による廃線の大型特集は天夢人の発行になって以来初の試みとのことですが、そもそも鉄道旅ファンはこの「廃線」をどう楽しむのでしょう。2018年3月31日にはJR西日本の三江線が惜しまれつつも廃止(関連記事)になりますが、その廃線跡を活用したバス路線や観光の取り組みが進んでいるようです。廃線の魅力はどこにあるのか、どうやって楽しむと面白いか。そのちょっとしたヒントを「旅と鉄道」編集部に聞きました。

旅と鉄道 2018年5月号」は「廃線紀行」を特集

── どうして廃線を特集することに?

advertisement

 以前から企画会議で候補には出ていたんです。でも、鉄道に乗るわけではないので「旅と鉄道」という雑誌に合うのか疑義が付き、保留になることが多かったんです。

 ところが1年半くらい前からやっている「バイクで行く廃駅・廃線めぐり」という連載の評判が良くて。これはイケると思いました。

── 廃線にはどんな楽しみ方が?

 よくある楽しみ方は「廃線跡を見つけて歩く」ことです。残っているものを見つけたり、鉄道運行中には触れなかったトンネルに触れてみたり。列車がもう来ない駅へ行くのも楽しいです。

 初心者がいきなり行くのはハードルが高いと思うかもしれませんが、最近、自治体などで廃線を生かす取り組みが増えています。廃線で機関車の運転体験ができたり、ブルートレインが置いてあってホテルになっていたりと、テーマパークのようになっているんですね。例えば「高千穂あまてらす鉄道」は、廃線になった旧高千穂鉄道の線路にトロッコを走らせています。そこには高さ105メートルの鉄橋があるんですが、そこをトロッコが走るんですよ。

advertisement

 また、2017年に日本ロストライン協議会(関連記事)が発足し、廃線を活用して地域観光を盛り上げようとしています。こういう動きを後押ししたいと思ったのも、今回特集することにした理由の1つです。

誌面では熱いロストラインスポットを紹介

 2017年は、北海道の留萌(るもい)本線の一部が廃止になる(関連記事)などローカル線の廃止が相次ぎました。しかしこの廃線跡を生かして観光スポットにした地域も多いので、「廃線になったら終わりではなく、その後も生かしてほしい」という思いを伝えたかったんです。というと大げさですけれど(笑)

── 特集内にある“タビテツ流廃線分類チャート”を見ると、「廃線の痕跡がまったくない」なんていう分類もあります。あの、これ……どうやって楽しむんですか?

タビテツ流廃線分類チャートには「廃線の痕跡がまったくない」という上級者過ぎる分類も

 誌面には掲載していない話ですが、「さいたまスーパーアリーナ」はご存じですよね? あそこは貨物ターミナルの跡地なのですよ。あと、埼玉県では「ららぽーと新三郷」も鉄道跡地です。ららぽーと新三郷は鉄道跡であったことをかなり意識しており、「夢空間」と呼ばれる車両を展示しています。「新橋駅東口」にも昔は線路があったんですよ。ちなみにどのへんにお住まいですか? 分かりやすい例を出せるといいんだけど。

── 知人宅の近くに南武線貨物支線跡の緑道がありますね。

advertisement

 ああ。そういうところですと、カーブが鉄道用になってませんか? 自動車ならばぐいっと鋭い角度でも曲がれますが、鉄道はカーブの曲がり具合が規制されているので、自動車道と曲線線形が違ってくるんです。こういったところを発見するのも楽しみの1つです。

── 「都市部に眠る、知られざる廃線を探す」という記事もありますね。これはそういった内容なのでしょうか。

 桜やパンダで賑わう「上野恩賜公園」と「不忍池」の間にある道路は、もともとは都電専用軌道でした。都電が廃線になって道路になりました。その道路を歩いていくと、かつて停留場があった場所に都電荒川線で活躍した7500形の車両が保存されています。誌面では、そういった“都会でもすぐ行ける”廃線めぐりの東京編と大阪編を紹介しています。ちょっとした痕跡をたどっていくと、ふとワクワクする発見があるのが楽しいですよ。

上野公園わきの道は、かつて都電専用軌道だった(写真:「旅と鉄道」編集部)
停留場があった場所に都電の車両が保存されている(写真:「旅と鉄道」編集部)

── メインルポは可部(かべ)線と碓氷(うすい)峠なんですね。

 今回の特集をするに当たって、「鉄道コム」で事前にアンケートを取りました。その結果、「好きな廃線」の東日本1位が信越本線の碓氷峠、西日本1位が広島県の可部線でした。今回はこの2カ所をじっくり歩いています。

advertisement
西日本1位の可部線
東日本1位の碓氷峠

── 碓氷峠の人気の理由ってなんでしょう?

 “残っているもの”が多いからだと思います。れんが造りのめがね橋が残っていますし、トンネルの中も歩けます。横川駅に隣接した「碓氷峠鉄道文化むら」から約6キロ、ずっと廃線跡の遊歩道を歩いて行けます。

 それに、鉄道にとって碓氷峠は特別なところでもありました。山の中、急勾配で日本一の難所ともいわれる場所でした。そこを機関車を2両つなげる「重連」で克服した歴史があります。

 誌面では新線を探しながら旧線を歩く旅をしています。新線は1963年に開通し、長野新幹線の開通まで使われていた線路です。めがね橋があるのが旧線で、すこし見上げたところに新線があります。


 廃線歩きのベストシーズンは「春」だそうです。春はまず気候と景観が良いですよね。夏になれば草が伸びすぎて廃線の痕跡を見つけにくく、秋でもいいのですが、冬は寒すぎます。身近な場所でも廃線歩きを楽しめることを教えてもらったので、ポカポカ陽気の日に廃線散歩してみたくなってしまいました。皆さんもいかがですか?

advertisement
タウシュベツ川橋梁も行ってみたいですねー

高橋ホイコ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  3. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  4. 「これは悲劇」 ヤマザキ“パンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実 投稿者にその後を聞いた
  5. 「全く面影がない」 浜崎あゆみ、46歳でのライブリハ姿が驚き呼ぶ……雰囲気変わった“若返り”ショットに「えっ本人?」
  6. 「どうやったら今の顔に???」 “顔面国宝級”と呼ばれる美容外科医が“整形前”の姿公開し衝撃広がる 「どんな人でも変われる」とメッセージ
  7. 30万で買ったゴムボートで釣りに出てみたら、岸からたった5分で…… “異世界”との遭遇に「腹抱えて笑ってしまいました」「ガチの異変が」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 顔の半分は“韓国っぽい”メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが1215万再生「すげえ」「神か!!」
  10. イヤになるほど雑草ボーボーの庭が、プロがやってる“ある対策”で…… 驚きの効果が140万再生「凄すぎ」「感心しました」