「VOCALOID以来最大のムーブメント」 増殖し続けるバーチャルYouTuberたちはどこに行き着くのか
バーチャルYouTuberをある時期まで“全員追っていた方法”と今後について説明します。
こんにちは、初めまして。たば(@taba3VT)です。
まず、何者なのか?
お前は誰なんだ、という方も多いかと思いますので、自分語りをさせていただきます。以前にゃるらさん(@nyalra)の記事に登場したバーチャルYouTuber800人全員を追う本物の男というのが私のことです。
あれから、いろんな方に「800人全員追う男です」と自己紹介するのはさすがに恥ずかしいものがありました。今回は記念すべき第1回目の記事ということで普段私がどのようにバーチャルYouTuberを追っているのか、そして今のバーチャルYouTuber業界への考えを述べていきます。
本当に全員見ているのか?
記事が話題になった直後はよくTwitterなどで「すごいやつがいるぞ」と言っていただいたり、意識の高いファンにマウントを取られたりしたわけですが、その中でよく指摘されたのが「本当に全員見ているのか?」ということです。
結論から言いますと執筆現在ではもう無理ですね。
なんだウソだったのか、景品表示法違反だなどと言われても仕方ないですが、これには深い理由があります。ただでさえ記事の元となったインタビュー時点(2018年3月)で650人ほどだったバーチャルYouTuberが4月27日には2000人を突破しているのです。以降もハイペースで増加しているらしく、有志が作成したリストには5月26日現在2240人ほど掲載されています。
そのうち、私が見ているのは1200人程度です。もっと正確に言うと、動画を見たことはある程度の方が1200人ほど、更新をチェックしているのが700人ほど、全動画生放送まで欠かさず見ているのは100人もいないといった感じです。
全員を追えなくなった要因は複数あるのですが、主戦場が生放送に移行しつつあるというのが大きな理由です。生放送は動画に比べて時間が長くなり、アーカイブが残らない場合もあります。単純計算で、2200人のうち100人が生放送を2時間行っただけで休日を1日使って10窓2倍再生をしても追い付かなくなります。まだ全員追うことを諦めていなかった頃の私は「仕事中に行われた生放送のアーカイブがない」という絶望を何度も味わっていました。
生放送とバーチャルYouTuber
そもそも、バーチャルYouTuberと生放送はかなり親和性が高いのです。視聴者側からすると、コメントに対してレスポンスがあるのはかなりうれしいですし、バーチャルYouTuberの場合はそれがキャラクターであるという価値が加わります。
そして配信者側であるバーチャルYouTuber側にも、編集作業をカットできるという利点があるのです。それに、YouTubeの仕様上、生放送を直接アーカイブとして残すと生放送の視聴者も動画の再生数にカウントされるのでチャンネル総再生時間を減少させることにもなりにくくWin-Winなのです。
バーチャルYouTuberの生放送を語る上で外せないのはにじさんじの存在ですよね。自分たちを“バーチャルライバー”と呼称しているところからもわかる通り活動は生放送が主体になっています。
彼らの強みは、にじさんじという枠組みが最初から存在していたことによる「仲間感」や「ハコ感」にあると私は考えています。バーチャルYouTuber業界の先祖とも言うべき“ゲーム実況者”の業界でもグループ実況というのは根強い人気がありましたし、視聴者が仲間から流入してくることによって、単体ではリーチし得なかった客層をゲットしている例も少なくないでしょう。
今の監視体制
2200人を超え、生放送主体になってきたバーチャルYouTuberを果たしてどのように追っているのか、その一端をお見せしたいなと思っています……などと大仰に言いましたが、実のところやっているのは何ら特別なことではありません。
まず大切になってくるのは情報の集め方です。バーチャルYouTuberたちは基本的に動画以外の情報発信の場としてTwitterを利用していますよね。しかし、ただフォローして眺めるだけでは目もスクロールも追い付かないので、私はこれを自分の中の優先順位とジャンル分けによって20弱のリストでタイムラインを分割してただ眺めます。
ジャンルの分け方に厳格な基準はなく、個人的に好きな順番に1軍2軍としたり、歌系などの活動ジャンルでわけたり、「にじさんじ」「BANs」「メディカルテット」などグループ単位で分けていることもあります(BANsはとくに今アツいですから、皆さまも要チェックです。アーカイブが根こそぎないのが彼らがBANsたる証でもありますが……)。
グループ単位で分けている場合は、バーチャルYouTuberのSNS上での強みでもある「キャラクター同士の絡み・交流」を見ることができますし、活動ジャンルで分けている場合は「それぞれの活動の微妙な差異」を感じ取ることによって、売り出し方の工夫や隠された努力が見えてくるのです。
さらに、複数のリストにまたがって流れてくる情報はそれほど業界の話題性が高いという目安にもなるので、Twitter全体のトレンド機能には見られない「バーチャルYouTuber業界のトレンド」を把握することにつながっています。
「バーチャルYouTuber」という存在のこれから
ここまで散々、この記事内だけでも10回以上「バーチャルYouTuber」という言葉を使って語ってきましたが、そもそもYouTubeに収まらないムーブメントが起こっているのは間違いありません。バーチャルキャストの登場によりニコ生を主体とする方も登場してきましたし、にじさんじのメンバーのうち何人かはアプリの特性上「Mirrativ」で配信しサーバを痛めつけていました。そもそもYouTubeはBANされるからFC2で配信していた猛者だっていたわけです。
ココ最近では中国のbilibiliに進出して活動しているバーチャルYouTuberも少なくありませんし、なんならbilibili発信、中国産のキャラクターまで出現しています。中国ではそういったキャラクターのことを“Vuper”(非常に発音がしづらい)と呼んでいるそうな。日本ではDDくんが有名ですね。
つまり何が言いたいかというと、(これは散々言われていることですが)バーチャルYouTuberという呼称そのものの変化が遠くない未来にやってきています。先日始まったVRChat内で作るテレビ放送局「VRoadCaster」では、登場する人々はバーチャルキャスターと呼ばれているようです。生粋のニコ厨である私には、生主が外部サイトに流出していって、彼らを形容する言葉が“配信者”に置き換わっていったのと少しだけ似ているようなそんな気がしています。
おわりに
「2200人を超えたぞ」というのも執筆時点ではすでに古い情報であるというのがなんとも恐ろしいところですが、私はめげずに彼らというバーチャルな虚像をこれからも追い続けていきたいと思います。日々Twitterでぼやぼやとつぶやいておりますので鮮度のいい情報を求める方はぜひそちらもご覧いただければと思います。ではまた。
(たば)
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