映画「万引き家族」中国版ポスターがセンスの塊すぎると話題に 配給に制作経緯を聞いた
中国のデザイナー・黄海さんが手掛けたポスター。
カンヌ国際映画祭で最高賞・パルムドールに輝いた是枝裕和監督の「万引き家族」。国内観客動員数が300万人を突破するなど、興行的にも大ヒットとなっています。そんな中、同作の中国版ポスターが「センスが良すぎる」と話題になっています。
中国版ポスターは、作中印象的だった海水浴のシーンと、縁側で花火を見上げるシーンを題材にした2種類。
海水浴の一幕を描いたポスターでは、浮世絵のようなタッチで、浜辺から見守るおばあちゃんを除く家族5人が描かれます。波打ち際で幸せなひとときを過ごす一家と、その5人を優しく束ねるようにポスター枠外から伸びる“傘”が、なんとも幻想的な雰囲気を醸し出しています。
花火のポスターは、上空の花火を見上げようとする一家を、作中同様の画角で写し取った1枚。本編では花火の本体は見えず、音だけが聞こえてくる中で家族が寄り添うという詩的な雰囲気ただよう場面でしたが、ポスターでは色とりどりの花火が描きこまれ、映画のテーマ性をより際立たせているようにも感じられます。
これらのポスターを手掛けたのは、中国の著名なデザイナー・黄海(Huang Hai)さん。黄海さんは過去に「キングスマン: ゴールデン・サークル」「ザ・ウォーク」といったハリウッド大作や、「STAND BY ME ドラえもん」などのポスターを独自の視点でデザインし、これまでも国内でしばしば注目を集めてきました。
ねとらぼ編集部では「万引き家族」の配給を手掛けるギャガにポスター制作の経緯について取材しました。ギャガによると、中国版のポスター制作にあたり是枝監督やギャガ側から要望などは出しておらず、現地配給会社であるRoad PicturesとHuayi Brothersに一任していたとのこと。また、各ポスターのコンセプトについては次のような回答がありました。
「花火のポスター」
この家族は、花火の音だけしか聞こえなかったけれど、心の中では世界の美しさや家族の愛を感じられていた。
このシーンがデザイナーの最も感動したシーンだったということと、中国の沢山の観客に訴求出来ると思い選んだとのことです。
「海のポスター」
中国の文化では、傘は人々を雨風から守る意味合いを持ちます。
この家族は海で幸せそうに遊び、おばあちゃんは家族皆を気遣い傘をさしていました。デザイナーはこのシーンで、家族が意味することやこの作品の愛について表現しようとしました。
完成したポスターは是枝監督も事前に確認しており、「気に入ってくださっています」とのこと。またSNSでは国内のファンからポスターをグッズ化してほしいとの要望も見受けられましたが、「現状予定はございません」とのことでした。グッズ化の予定が無いのは残念ですが、ぜひ今後検討してもらいたいところです……!
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