1クリックで2次元美少女キャラを生成 深層学習でネットをざわつかせた中国人学生インタビュー(2/3 ページ)
去年話題になった後もいろいろ研究していたもよう。
深層学習とブロックチェーンゲーム
――現在、ブロックチェーン技術とGenerative Adversarial Netwok(GAN)※によるキャラ生成を組み合わせたゲーム「Crypko」を運営しているとか。ここでは以前のMakeGirlsMoeと同じ技術が使われているのでしょうか?
※MakeGirlsMoeでも使われた深層学習の1種
金:元は同じGANですが、この一年でGANのモデルも進化し、モデルの訓練もより安定したため、もっときれいな画像が生成できるようになりました。
――ブロックチェーン技術を利用したのはなぜですか?
金:MakeGirlsMoeをそのままトレーディングゲームに転用するにはいくつか問題がありました。
まず難しかったのは、生成画像の価格設定です。生成画像の質は制御しにくいため、価格を同一に設定するのは合理的ではありませんでした。画像がかわいいほど高価に設定できれば良いのですが、人々の美の感覚は多様なので、運営側が人為的に価格を設定するのは不自然です。
そこで着目したのがブロックチェーンでした。キャラをブロックチェーントークンとして流通させれば、市場が画像の価値を決定し、適切な価格で取引きできるのです。
――そしてブロックチェーンを使うから、キャラはそのまま仮想通貨(イーサリアム)で購買できるわけですね。
金:しかし価格設定にはもうひとつ、大きな問題がありました。GANには無限の生成能力があるため、生成された画像はどんなに精巧なものであれ、交換価値を持たせるのが困難という点です。複製可能な「良い絵」をいくらでも生成できたとしても、その絵に希少性は伴いません。
そんな中、画像=キャラに希少性を持たせるため必須だったのが、画像の唯一性を保証することでした。つまり、画像の所有者を1人しかいない状態にする、ということです。この条件をクリアできたのは、先行するブロックチェーンゲーム「CryptoKitties」※が“ERC-721トークン”※を使い、所有権情報をメタデータとしてキャラに埋め込む手法を実現していたのを見て、ブロックチェーンならキャラに希少性が持たせられると気付けたためです。
※CryptoKitties:猫を交配させて新種の猫を作っていくというゲーム。かわいいレア猫は高額で取引されることもある
※ERC-721:所有権情報などをメタデータとして記録できるようにするイーサリアムにおおける規格の1つ。2017年9月に誕生した
――ブロックチェーンにより、価格設定の問題と、画像の希少性の担保が同時に解決できたわけですね。
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