刀身をすり合わせると澄んだ音がシャキッ まるで楽器のような「音響効果刀」が生まれたワケ
映画「斬、」のため、サウンドデザイナーが苦心の末に開発。市販も予定されています。
映像制作の際に「刀の効果音」を収録するために開発された、「音響効果刀」をご存知でしょうか? 互いにすり合わせると澄んだ音がシャキッと鳴る、2本1対の模造刀。安全に楽器のごとく扱えます。
音響効果刀はサウンドデザイナーの北田雅也(@kitadamasaya)さんが、映画「斬、」のために開発。取り回し方次第で、2本が打ち合う音、抜刀する音、構える音など、刀にまつわるさまざまな効果音を生み出せます。
構造は鉄の刀身を木製の柄に留めたシンプルなもの。ネジとボルトの締め付けを調整することで、音色に微妙ながたつきを加えられるそうです。また、ツバの交換も可能となっています。この開発にはどのような経緯があったのか、編集部は北田さんに詳細を聞きました。
これまで効果の仕事の世界では、刀の音に関しては市販の効果音を編集して使うのが主流だったとのこと。北田さんの場合、以前は市販の模造刀や山刀、スイカ切り包丁などを使用していました。しかしこれらでは、構えたり切ったりするときは良い音が録れたものの、打撃音やこすれる音などを映像に合わせて出すことはできなかったのだそうです。
その後、映画「真田十勇士」に参加したとき、音響効果刀のアイデアが。パティシエナイフを大量に購入して使ったところ良い結果が出たことが、開発のヒントになったそうです。ちなみに、そこへ至るまでに素材や刃物類に使った金額は200万円を下らないのだとか。
こうした試行錯誤の末に生まれた音響効果刀は、一般販売も予定されています。「斬、」で使用されたものの同等品を、鉄職人の岸晃一郎さんが個人で受注生産。価格は2本1組で1万6000円となる見込みで、1500円追加すると刀身に銘を入れてもらえるそうです。興味のあるかたは、岸さんへメール(kishi.iron@gmail.com)で連絡を。
(沓澤真二)
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