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画像「無断転載」の情報開示請求、慣れたら10分でできる 裁判で約90万円勝ち取った写真家インタビュー(2/4 ページ)

実体験を交えて語っていただきました。

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――開示請求の結果が出るまでの期間はどのくらいですか?

岩崎:1~2カ月前後です。早いプロバイダーだと2週間くらいで返ってきます。困ったことに、プロバイダーも手続きに慣れているところと慣れてないところがあるんですよ。慣れていないところだと、いきなり弁護士から回答が来たりして、ビックリしますね。

 プロバイダによっては「権利侵害が明らかではありません」「開示を受ける正当性がありません」等々、何かしら理由をつけて開示を拒否してくることがあります。特に対応の不慣れな中小プロバイダーの場合は逆に気を使いますね。中には「個人からの開示請求には応じません」と言われたこともありました。

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――そういう場合はどうされるのでしょうか?

岩崎:その場合もまずは交渉ですね。「法人でなければ開示請求ができない法的根拠はない」と伝えたこともありました。書面での手続でどうしても開示に応じない場合は、プロバイダーに対して訴訟を起こし、裁判を通じて情報を開示してもらうか、裁判までは大変だという場合は、送信防止措置依頼と言って、プロバイダーに削除をお願いする方法も考えられます。

裁判で約90万円の和解金を得たケース

――最高で一度に約90万円の和解金を得ることに成功したのだとか。

岩崎:はい。そのときは弁護士に立っていただきました。相手はいわゆるユーザー投稿型のように見える「おでかけサイト」の運営企業で、私が撮影した写真が30点近く使われていました。最初にメールで60通ほどやりとりをしましたが、相手はかたくなに「引用」だと主張してきて、らちがあきませんでしたね。

――なかなか悪質ですね。

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岩崎:画像には自分の署名を入れるようにしているのですが、無断転載されたサイトでは画像がトリミングされ、名前が裁断されているものもありました。

 実はこの件ではすぐに裁判をしなかったんです。写真1枚に対して数万円の通常使用料相当の請求しかできず、弁護士にも相談しましたが費用面で苦しいと思い、諦めかけていました。ところが後から著作権に強い齋藤理央先生に出会い、「この場合はトリミングもしているので、著作者人格権侵害に対する慰謝料も上乗せできるはずです」と後押しされました(齋藤弁護士の関連記事)。

岩崎さんの裁判資料。この写真など30点近くがトリミングの上、無断転載された
転載された写真のサイトをキャプチャーし、裁判資料にしたもの。元写真の左右がトリミングされているのが分かる

――約90万円という金額はどのように決まったのでしょうか?

岩崎:当初、こちらは慰謝料も込みで440万円で提訴しましたが、最終的に相手が約90万円で和解に応じてくれました。裁判を起こす前、相手は「うちの会社はあくまでプロバイダーで、写真はユーザーが投稿したものである」と主張してきたんですよ。そうすると損害賠償以前に、ユーザーに対して開示請求をする必要もあり、こちらの負担が増えるじゃないですか。実際、ネットで運営企業の情報を調べていたら、自社に編集部を持っていて、ライターを募集していたようなんです。どこかで聞いたような話ですね(笑)。

――「漫画村」もユーザー投稿型をうたっておきながら、実際はサイト側がコンテンツを違法アップロードしているという形でしたよね。

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岩崎:まさにそんな感じだったんですよ。ただ相手も「当時はユーザーが投稿できた」とか言ってきたんですね。とはいえ、こちらも相手の責任をどこまで立証できるか不透明だったので、弁護士さんに依頼して、損害額を計算してもらった上で、最終的に和解にまで持っていきました。

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