京大吉田寮のトイレ・シャワー室が「男女別」で分けられていない理由(2/2 ページ)
学生らが目指す、性別問わず安心できる空間。
オールジェンダーと「のぞき」
シャワーやトイレをオールジェンダーにすると、「のぞき」が起こりやすくなるのでは、という不安に対して、寮生Aさんは男女別でないことが「のぞき」の原因だと考えていないと言います。
「京大の校舎内の、男女別の女子トイレで『のぞき』が起こっているので、男女で分けても性暴力は実際になくなっていません。それに、性犯罪の被害者は女性だけじゃない。また、性自認(自分が認識している性)どおりの性別のトイレを使おうとしても、追い出され、排せつの機会を奪われるという暴力にあう人も現に存在します」(寮生Aさん)
そして、性別で空間を分けるのではなく、施設の構造を工夫することで性暴力を防いでいます。
「新棟ではシャワー室のドアに通気口を作らず、個室の中に換気扇を設置し、換気するという設計にしました。また、プライベートが守られる完全個室にもこだわっています」(寮生Aさん)
みんなでハラスメントや差別について考えるのも自治
さらに、吉田寮自治会では性に関するトラブルについて踏み込んだ対策をしています。
「吉田寮では寮内でのトラブルは、当事者同士の話し合いで解決することを大切にしています。しかし、男性でない性はマイノリティという立場であることや、女性が性暴力の被害に遭いやすいという現状は、寮の外でも中でも同じです。そういった人たちをサポートするために、寮内に「セクハラ対策特別委員会」が立ちあげられました」(寮生Aさん)
「セクハラ対策特別委員会」では、寮内での差別やハラスメントについて考える機会を設けたり、勉強会を開いたりしたそうです。「シャワー室が男女で分けられているかどうかに関わらず、のぞきはいけない」ということも共有されています。
LGBTについて、カルチャーやファッションなどで話題になることはあるけど、「オールジェンダー」のトイレやシャワー室が浸透しているとは言えない状況です。外出中、トイレに困る人たちも少なくないと思います。今回取材した吉田寮の学生たちは、生活のあり方を大人任せにしない「学生自治」によって、先進的な取り組みを行っていました。
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