ゲイと腐女子の恋の結末、「QUEEN」楽曲に込められた意味とは? 攻めたNHK「腐女子、うっかりゲイに告る。」最終回(2/2 ページ)
ゲイの悩みを真っ正面から取り上げた佳作だった。
「全部欲しい」を達成した成功者なのに……
「逃げたいんじゃなくて、自分を試してみたいんだ。僕のことを何も知らない人の中で、これまでと違う生き方ができるかどうか」
ということで大阪に引っ越すことを決めた純は、同性の恋人である佐々木誠(谷原章介)とも別れることにする。
ゲイでありながら女性と結婚して家庭&子どもを持ち、同性の恋人までゲットしている誠。純の言うところの「全部欲しい」を達成した成功者であるはずだが、「コウモリは卑怯(ひきょう)なのかなぁ……」と、自分の弱さに悩んでいるようだ。
誠からはじめて聞かされる妻とのなれそめのエピソードは、純と紗枝の関係に似ていた。やたら積極的にアプローチしてきた妻のからのプロポーズを「自分のために」受けた誠。紗枝との交際を続け、結婚した場合の純の姿だったのかもしれない。
大阪の大学に進学した純は、「Don't Stop Me Now」(ミスター・ファーレンハイトが登場する曲だ)に乗せ、自己紹介をはじめる。
「はじめまして、東京から来ました安藤純といいます。僕は……」
ここでドラマは終わったが、おそらくゲイであることをカミングアウトするつもりなのだろう。いきなりカミングアウトするのが良策とは思わないが、コウモリのような誠とは別の生き方を探ろうと、一歩を踏み出したのだ。
あと2話くらいあったら……
ゲイと腐女子の真剣なぶつかり合いに毎回、胸を締め付けられつつも、いろいろと消化不良な部分も多かった本作。「あと2話くらいあったら、もっと掘り下げられたのに!」とも思うが、コメディでも萌えでもない形でゲイの悩みを真っ正面から取り上げた挑戦は評価したい。
何かあるとスポンサーに電凸されかねないご時世。「NHKなのに攻めてる!」というよりは「NHKだから攻めた番組が作れる」ような状況になっているのが悲しいが。
さて、毎クール攻めている「よるドラ」枠。次期は「JIN-仁-」や「義母と娘のブルース」などで知られる森下佳子のオリジナル脚本「だから私は推しました」。
キラキラOLを装っていた三十路の女性が、地下アイドルにドハマリし「女ヲタ」として沼にズブズブハマっていくという。LGBT問題とはまた別の方向から心をえぐってくれそうだ。
これまでの「腐女子、うっかりゲイに告る。」
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