レビュー

内野聖陽の神演技「きのう何食べた?」10話 ごはんを題材にして描き出す、“家族”を大切にする方法(2/2 ページ)

食卓が幸せなのは、ごはんがおいしいからだけじゃない。

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同じ方向を見るシロさんとケンジ

 「いろいろあっても、夫婦だもんね」

 「やっぱり、家族なんだなぁ……」

 そもそも話の発端は、美容室の店長・三宅(マキタスポーツ)の浮気だった。三宅の妻、レイコ(奥貫薫)が一緒に美容室で働くことになり、そんな2人の姿に目を細めていたケンジだったが、上に記したもっともらしいセリフはすぐに反転する。レイコは三宅の不倫に気づいており、離婚する気マンマンだったのだ。

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 「ケンちゃん……大事な人に、絶対浮気なんかされちゃダメよ? 許すなんて、そう簡単にできることじゃないんだから」

 夫婦も家族も壊れるときは簡単に壊れる。同性カップルは法的につながっていない分、もっと簡単かもしれない。それが痛いほどよくわかっているから、三宅夫婦の終わりの始まりを目の当たりにしたケンジはナーバスになっていたのだ。

 ケンジの父親のエピソードも塗り重ねられる。酔って暴れて金をむしりとりにやってくるだけの父親は、血縁があるはずなのに、ただの「おじさん」になり果てていた。成長したケンジは堂々と別れを告げる。それ以来、父親はやって来なくなった。

 「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのは、しんどいよ」

 不倫だけじゃない。どんな理由であれ、「許せない人」と一緒に暮らすのは、しんどいことなのだ。笑顔で囲む食卓なんて、到底望めないのだから。

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 「ふたりで、こーんなごはんが食べられるなんて、最高の休日。本当、幸せ。ありがとね、シロさん」

 クレープを食べながら、こんなことを語り合っているシロさんとケンジが、同じ方向を見ているのが印象的だった。夫婦だろうと、親子だろうと、同性カップルだろうと、お互いを見つめ合うのではなく、同じ方向を見ていることが重要なのだろう。

 今夜放送の11話は、小日向さんとジルベールが久々にそろって登場! シロさんの両親との話も見逃せない。0時12分から。

美容室の三宅(マキタスポーツ)の不倫が全てのきっかけ。夫婦だろうと、親子だろうと、同性愛カップルだろうと、同じ方向を見ていることが重要 イラスト/たけだあや

これまでの「きのう何食べた?」

大山くまお

ライター。「文春野球ペナントレース2019」中日ドラゴンズ監督。企画・執筆した『ドアラドリル』シリーズ発売中。

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たけだあや

イラスト、粘土。京都府出身。

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