「欅坂46を支えたのはナスカの楽曲」 グランジ遠山大輔が語る“3周年アニラの空気”【中編】:遠山大輔インタビュー特集(2/2 ページ)
好きだと言うなら否定しない。
――激熱ですね(笑)。遠山さんが大阪公演を象徴する1曲を挙げるとしたら何になりますか。
遠山:アンビバレントですかね。単純に曲が好きっていうのもあるんですけれども、もう欅坂46がさく裂しちゃってましたよね。これまでは、欅共和国2018での楽曲初披露が最高だと思っていたんですけれども、俺の中ではそれを凌駕(りょうが)してしまったというか。
テレビ東京系「欅って、書けない?」で欅共和国2018のアンビバレント初披露はフル放送されていて、俺それHDDに残してあるんでこれまでに何回も見ているんですけど、あのアンビバレントっていうのは、メンバー全員が「全力を出し切るぞ!」ってかなり必死な思いをかけたバキバキのパフォーマンスに見えたんですよ。お客さんにも披露するっていうことを秘密にしているっていう良い緊張感がある状態で、かつ、2時間近い公演を3日間走り続けてから披露する、本当に最後の曲だったので。
でも大阪公演でのアンビバレントは「柔」の感じ、柔らかい感じがしたんですよ。それは「風に吹かれても」でも感じたことだったんですが、楽しんで柔らかく表現して、決めるところはバチッと決める――っていうような。だから欅坂46っていうグループを野球で例えると、ピンチになると球速がガンッと上がってピッチングの精度があがる田中将大投手みたいだなって思いました。
――欅坂46は田中将大。(北海道の少年野球チーム)平岸ベアーズ・元エースピッチャーの遠山さんが言うと言葉の重みが違います。
遠山:いやちょっとバカにしてるでしょ(笑)。いずれにせよ、欅坂46に対してそんな風に思ったことがなかったので、「やっぱりすごいなぁ~欅!」と思いました。
――東京公演はいかがでしたか。
遠山:共和国2018での客席水ぶっかけ、みたいな感じで毎回欅坂46って驚かせてくるじゃないですか、物理的に。今回は10分ぐらい開演が押している状態で突然客電が消えて爆撃音レベルの「ドバァアアアアンッ!」っていう音でした。冗談抜きに心臓飛び出るぐらいビックリしましたし、怖かったし、なんだったら神保町ぐらいまで鳴り響いてるんじゃないかぐらいの「ドバァアアアアンッ!」。あれは僕らの業界で言う“つかみ”の音だったと思いますが、あの「ドバァアアアアンッ!」で欅坂46の世界にいざなわれた感じがしました。
――印象に残った曲は何でしたか。
遠山:「大人は信じてくれない」です。ちょうどこの間、野村萬斎さん、欅坂46の振り付けを担当しているTAKAHIROさん、宮内庁式部職楽部楽師の山田文彦さんの3人でやられたトークショー「MANSAI 解体新書 その弐拾九」を見に行ってきたんですけれど、TAKAHIRO先生はダンスを始めて渡米して、東日本大震災をきっかけに日本に帰ってきて、欅坂46と出会ってというお話をされていたんです。
その中でどうやって振り付けが作られていくのかという話題になったときに「まずこれを見てください」と会場に流されたのが、ライブパフォーマンスの「大人は信じてくれない」で。恐らくほぼ初見であろう会場中の人たちが「大人は信じてくれない」を見るんですよ。そこから、「なぜこの曲にこの振りをしているのか」っていうのを、歌詞も踏まえながら細かく説明してくださって、その上でもう一度「大人は信じてくれない」を見るっていう形式で。
以前にもNHKの番組でどういう思いや意図で振り付けしているのかっていうお話はされていたんですけれども、「MANSAI 解体新書」に行ったことでより「大人は信じてくれない」が好きになったというか。
――「MANSAI 解体新書」を経て「大人は信じてくれない」のどんなところに注目をするようになりましたか。
遠山:まず横一列になってメンバー全員が腕を絡ませる体制から始まるじゃないですか。あれは連携を表していて、そのまま舞台から客席にじりじりと向かってくるのは、「お客さんに対して『圧』を感じさせたいから」というお話をされていたんですけれども、あらためて武道館で見て、TAKAHIRO先生の欅坂46への思いを感じましたし、「TAKAHIRO先生、欅坂46と出会ってくださってありがとうございます!」「TAKAHIRO先生生まれてくれてありがとうございます!」というところまでさかのぼって感謝しました。
欅坂46はTAKAHIRO先生と出会ったからこそ、こんなすごいレベルまで登ってきたというか、親和性抜群というか。とにかくありがとうございますという気持ちです。
――遠山さんといえば「エキセントリック評論家」、と勝手に位置付けているんですが、武道館のエキセントリックはいかがでしたか。
遠山:それはもうめっちゃよかったですよ。ただ2期生が入ってから思うようになったことがあって、それは今のパフォーマンスと過去のパフォーマンスとは比べられないということです。例えば2017年の「エキセントリック」と、2019年の「エキセントリック」では人も違えば思いも違うし、解釈も違うかもしれない。だから「比べようがない」と思うんですよ。
ただイントロが流れた瞬間に、やっぱり曲が好きだし、陣形が美しいし、全員が最後の腕のところの角度がビシッとそろってるし。それは多分鏡を見て「みんなでここそろえようね」とかっていうのではなくて、“そろってる”んですよ。それが欅坂46なんですよね。
後編は6月23日公開
グランジ・遠山大輔さんに語っていただいた「欅坂46」の魅力。後編は6月23日11時46分に公開を予定しています。どうぞお楽しみに……!
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(文・取材:Kikka,取材:SKM21)
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