連載

「2019年10月で休止」「今後どうなる?」 名物・上野動物園モノレール、実際に乗って考えてみた月刊乗り鉄話題(2019年7月版)(3/4 ページ)

家族でぜひ! 夏休み「上野動物園モノレールに乗ろうぜ!ガイド」。乗り鉄なら乗らなくちゃいけないヤツ、です。

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それでも「モノレールは人気」

 それでもモノレールは人気です。この日はモノレールで1往復したのち、撮影しつつ何度も列車を眺めました。車内は常に満席でした。

 東京都によると黒字路線だそうです。だったら存続させてもいいでしょう、と思うかもしれません。しかし、この黒字は「現在の車両を使い、現在の設備をなんとか維持して」という成績です。存続させるならば、新型車両を導入したり、将来は線路も架け替えたりという費用がかかります。その投資の回収まで何年かかるか。儲かっている民間企業ならばともかく、東京都交通局は地下鉄事業で累積欠損金や長期債務があり、新規投資に消極的な様子です。


新パンダ舎「パンダのふるさとゾーン(仮称)」は屋外に放飼場を作り、パンダのいきいきとした姿を観察できるようになるそうです。完成予定は2020年3月とモノレールの休止後。でも予想図にはモノレールの線路も運行中の車両もある……。モノレールが存続すれば「パンダを見下ろせるいい眺め」で話題になりそうなのに
40型の導入に当たり、駅施設なども再整備された。費用は宝くじの普及宣伝事業から捻出したようだ。もう一度この仕組みを使えれば良いなあ。あじさいと40型の風景は見納めかも

 東京都の報道発表資料によると、「当該車両は国内唯一の特殊な車両であり製造に3年程度要する」とあります。車両の老朽化が理由で、製造には3年かかる。つまり、3年前に新車を作ることを見送った時点で、休止の方向は固まっていたのかな、と思います。そして「今後の車両更新またはそれに替わる方策については、都民等のご意見を伺いながら、検討していきます」とのこと。

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 休止中は電気自動車を無料運行する予定といいますから、いそっぷばしを走る楽しい乗りものができるかもしれません。それならば、西園駅のように高いプラットホームへ上がる必要もないですし、むしろ園内の広範囲を運行できて便利かもしれません。


車体は逆台形になっているため、窓に近づけばほぼ真下を眺められます

片腕でぶら下がる懸垂式モノレールは日本ではここだけ。枝にぶら下がるサルを連想する。動物園らしい乗りものと言えそうです

 果たして、おカネをかけてモノレールをリニューアルするものかどうか。

 乗り鉄としては残してほしい。産業遺産としての価値もあるし、動物園の上空散歩は楽しい。観光資源でもあります。

 電気自動車を無料運行しつつ、新しいモノレールもやればいいのに。両方あれば、行きと帰りで違う乗りものに乗って楽しめますよね。新しいパンダ舎の上空を走るモノレールも楽しそう。千葉都市モノレールのように、床の一部をガラス張りにして真下を眺められたら面白いかも。便利かどうかで考えるより、面白い乗りものを作ろうと考えれば、多少の料金アップがあったとしてもお客さんは喜んで乗ってくださるかと。

 しかし、情緒だけで存続させたばかりに、事業としては厳しい鉄道路線が多いことも事実です。東京都は「都民等のご意見を伺いながら、検討していきます」と表明していますから、上野動物園モノレールの存続を願うなら、署名運動も一つの方法かもしれません。JR東日本の新駅名「高輪ゲートウェイ」の撤回を求める署名は約4万8000人も集まりました(関連記事)。JR東日本は署名を受け取ったものの、考えは変えませんでした。しかしモノレールに関して、東京都は意見を伺う姿勢を見せています。存続を目ざした署名運動をやってみる価値はありそうです。

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 それなら「杉山が言い出しっぺとして署名運動プロジェクトを立ち上げれば良いじゃないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。私もやりたい。しかし残念ながら、私は都民ではないので……。モノレールを存続させるとなれば、都民の税金が投入されるでしょう。やはり都民のかたが実施した方がいいと思います。

 仮に存続されるとしても、現在の姿のモノレールとは10月いっぱいでお別れです。最終運行日に近づくほど混雑しますから、思い出作りに乗りたい方は、早めに行きましょう。


車体の底にも絵とのりば案内が描かれている

東園入り口からモノレール東園駅へ行く途中にプレーリードッグ舎がある

上野動物園モノレール、正しくは東京都交通局上野懸垂線

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