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“メシ”を通して危険な相手を取材する 「ハイパーハードボイルドグルメリポート」と「ウシジマくん」が描く“ヤバいやつらの世界”(4/4 ページ)

「個人がSNSで訴えても届かない声を伝える力が、自分達にはあるじゃないですか」

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それでも「取材」をする意義

上出: 僕、真鍋さんに聞きたいことがあったんですよ。僕らは危ないって言われているところに入って行って、基本的に僕らより苦しいであろう生活をしている人たちに取材させてもらって、そこで得た物語を僕らのお客さんに見せて暮らしているわけじゃないですか。これってなんなんだろうって思うことがあるんです。

――と、言いますと……。

上出: 僕は彼らより金銭的にも良い生活をしているけど、彼らなしでは僕は生活できない。サファリパーク扱いしてるんじゃないか、搾取してるんじゃないかって、帰りの飛行機でふと思ったりするんです。自分の中でいろいろ考えて「こうだから正義が保たれているんだ」っていう結論を出してはいるんですけど、真鍋さんも似た部分があると思うんですよね。

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真鍋: 確かにあります。彼らもいろんなSOSを発しているというのが分かるんですよ。でもそれ以上寄り添っていけるかと言ったら、やっぱり無理だったりする。どっかで切らなきゃいけない。

――難しいですね。

真鍋: でも思うんですけど、個人がSNSで訴えても届かない声を伝える力が、自分達にはあるじゃないですか。言葉にできない感情だったり、上出さんだったら現状すら知られてない世界のある場所の状態を表に出すことができる。確かにテロップ出して派手にやってるように見えるかもしれないです。でもあの番組をちゃんと見てる人たちは、彼らの苦しみや状況を理解した上でどう生きてるかを伝えていることが分かると思う。声にならない声を届けるっていう意味で、価値のあることをされているように見えます。

上出: 僕も、自分を納得させるにはその点しかないかなって思ってます。聞いてほしいっていう人たちはたくさんいるんですよね。スピンオフに出てきた、自分の電話番号を連呼して「助けてくれ!」「知ってくれ!」っていう人もいる。もう1つ、強いて言うなら「お前と飯が食えて楽しかったよ」って言ってくれるかどうか。


実際に電話番号を連呼する(C)テレビ東京

――けっこうみんな、ご飯をわけてくれますよね。

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上出: 逆の立場になったと考えると、見られてたら「食う?」って言うだろうし。同じ釜の飯を食うっていうのは世界共通でなんかしらある気はしますね。でも一個納得いってないことがあって。意外と残すんですよね。「腹減った! 金ねえ!」って言ってるのに、あれはなんなんですかね……。そういう価値観なのかなとしかいえないんですけども。

――聞いてみたことはないんですか?

上出: 聞いたこともあったんですけど、納得はいかなかったんだよな……。なんなんでしょうね。その瞬間腹が満たされたらもうオッケーなのかもしれない。刹那主義ですね。

頭にウルトラがついて、「ハイパー」ゴールデン進出!

――今度放送される新作のこともお聞きしたいんですが。

上出: タイトルが「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」になりまして。バカ丸出しですね(笑)。副音声がまだちょっとキャスティングできてなくて、下手したらディレクターが酒飲みながら裏話するだけになるかもしれないです。

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――それで全然面白そうじゃないですか! もしくは真鍋さんに喋ってもらうとか……。

上出: 下手したらやる可能性(※)あります、それ。

真鍋: 酒があるならいいですよ(笑)。

※取材収録後、真鍋先生の副音声出演が本当に決定

――編集作業は順調ですか?

上出: 今朝自分の中で1回目の編集を終えたんですけど。まだ作業自体は全然終わってなくて、昨日ブルガリアから1人ディレクターが帰ってきたくらいなんで。何が起こるか分からないから、いくつか走らせるんですよ。それで撮れたやつだけオンエアしていくっていう。

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新作エピソードの1つ:南米ボリビアにある「人食い山」の炭鉱飯 (C)テレビ東京

――今までのもいくつか放送していないものがあるんですか?

上出: 大体全部放送しているんですけど、1つの国でいくつか撮ってきて、そのうちの1エピソードを放送してる感じです。だからその国で撮ってきたものでも、出さなかったものはありますね。

――スピンオフはそういう素材っていうことですか。

上出: そうですね。物語から外れちゃうものがけっこう出てくるんで。

――7月15日21時から放送なんですね。

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上出: はい。時間帯的に見てらんない人も多いんじゃないかな……。ついてこれたら立派なもんだと思います。

真鍋: どういう人が見てるんですか?

上出: この枠自体は、60~70代の方が見てくれている時間帯なんですよ。祝日で裏がはじめてのおつかいの3時間スペシャルなんで、こっちもいいおつかいを見せてやろうと。

――しかし、「ハイパー」はけっこう間が空きますね。

上出: 今回は1年以上空いてますからね。もう終わったと僕は思ってましたけど、偉い人が「そういえば」って言って復活しました

――「ハイパー」をやってないときは何してるんですか?

上出: 基本的にはレギュラーの他の番組をいくつかやっていて、今回も空いた時間にロケ行ってます。だから毎回、他の仕事が終わった後で編集してます。もう趣味みたいなもんです。

――そこまでやるっていうのは、やっぱり面白さがあるからですか?

上出: 面白さより苦しさの方がある気がしますね。台本もないし何も撮れないかもしれない、でもお金は使っちゃってるっていう状況なんで。おかげさまで一部の人からは期待してもらってて、それでゴールデンで放送ってなったらつまんないものは出せないし、映ってくれた現地の人たちのためにも変なものにはできない。一方ではダメだったらダメでいいやとも思ってます……楽しさと苦しさで言えば半々かな。何が起こるか分かんないっていう楽しさもあるんで。他の若いディレクターは震えながらロケしてると思いますけど(笑)。

しげる

ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート~ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯~ 放送内容(予定)

ゴミ山暮らしの若者飯:ケニア

首都ナイロビにある巨大なゴミ集積場。殺人事件が頻発するという同所で出会ったのは、ゴミの中で暮らす18歳の青年。汚染された空気で肺を病んだ彼の生活に密着。

人食い山の炭鉱飯:ボリビア

標高4000メートルにある「人食い山」と呼ばれる鉱山。これまで800万人の労働者が命を失った。ここの者は高山病予防にコカの葉を噛み、度数99%の酒を煽りながらつるはしをふるう。

漁キャビア飯:ブルガリア

同国を流れるドナウ川はヨーロッパ唯一のチョウザメ生息域であり、良質なキャビアの産地。乱獲により現在はチョウザメ漁が禁止されているが、ある村では漁師の大部分が密漁に手を染めている。彼らは何を食い、何を思うのか。

出演者: 小藪千豊 <ゲスト>有吉弘行 <副音声ゲスト>真鍋昌平

放送日:テレビ東京系7月15日21時~

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