欅坂46・平手友梨奈とTAKAHIROが福島県の学生と「100人のサイレントマジョリティー」を完成させるまで 5時間密着、1万字レポート(5/5 ページ)
【画像100枚&動画6本】残念ながら抽選に外れてしまった福島県の学生さん達に見てほしい。
授業を終えた先生2人から生徒のみんなへ向けたメッセージ
TAKAHIROさん
今日は自分はすごくとても楽しみにして来ました。自分ももともと前でグイグイやるのが苦手で、ニューヨークにダンスをしに行ったんですけれども、いつも端っこの方でダンスをしているような子でした。体を動かすのもちょっと苦手で、家でラジオを聞いているような静かな子でした。でも人って可能性ってどこにあるか分からなくて、人が「君ってそういうタイプじゃないよね。それって無理だよ」って言っても、案外あっためて自分の種に水をあげると、その種こそ花を開く可能性があるかもしれません。
まず可能性があるかどうか、自分で水をあげてみると良いと思います。でももし本当に迷ったら、タイプの違う3人の人に相談しましょう。先生だったり、友達だったり、親戚だったり、種類の違う3人の人。(相談して)その3人の答えがバラバラだったら、自分の心を信じて良いと思います。でも3人とも同じように「やめたら」と言ったら、そのときはもう一度考えると良いかもしれません。
これから先、皆さんがどんなクリエイター、どんな人になるのか分かりませんが、自分がもう少しダンスを続けていて、また成長したみんなに会えたら良いなと思います。今日は一日ありがとう。お疲れさまでした。
平手友梨奈さん
私も今日1日貴重な体験をさせていただいたなという日でした。100人の「サイレントマジョリティー」はすごかったですし、ずっとずっとみなさんのことを応援しています。今日は本当にありがとうございました。
ワークショップの最後は欅坂46流のあいさつということで、正座からの深いお辞儀で約半日に及ぶダンスレッスンは幕を下ろしました。またワークショップ後には各講師が囲み取材に応じ、ねとらぼ編集部も質問の機会を得ました。
囲み取材の様子
――TAKAHIROさんからみると、平手さんはある意味「教え子」だと思うのですが、TAKAHIROさんが平手さんに教えたことで、「これはずっと忘れないでほしいな」というものがあれば教えてください。
TAKAHIRO:よく寝て、よく食べて、よく遊ぶこと、です。
平手:(照れ笑い)。
――ありがとうございます。平手さんは今日生徒さんに伝えたかったことはなんでしたか。
平手:(芸能界に入ったことで)普通の人生で出会えなかっただろうなという人と出会えたのはすごくうれしいことなので、そのことは伝えました。
――ありがとうございます。
約半日の授業を取材して
夏の青い空がすぐそこにあるような8月1日の福島県双葉郡。むせかえるような体育館には、数えきれない希望と情熱が集まっていました。
すれ違う生徒の多くが「こんにちは!」と元気にあいさつしてくれる校内で撮影の準備をしていると、講師として廊下で待機していた制服姿の女の子が偶然こちらを向きました。各界の第一線で活躍する講師陣に囲まれ、恐らく人生初の「講師」という大役に胸を躍らせつつも緊張しているような雰囲気の彼女は、目が合った一瞬、「こんにちは」とほほ笑みながらあいさつをしてくれました。
ともに取材していた記者が彼女について「面識があるとかないとかではなく、きっと自然にあいさつができる子なんだね。一生懸命な姿がいじらしくてファンになってしまう」と語る通り、同世代から「てちー」と声かけられると、照れながらも相手の目を見て「ありがとうございます」と返すなど、本当に誰に対しても礼儀正しいのだろうという様子が取材を通して随所から伝わってきました。
また授業では、アイドルグループの中でもっとも難しいといわれる欅坂46のダンスに挑戦するとあり、始めの方には生徒に若干「難しい」「踊れない」という空気もありました。しかし言葉は少なくてもひたすら正しいフォームで踊り続けようとする姿、生徒たちが踊る様子を真剣に見つめる姿、全員に見えやすいようにといろいろな角度でポーズを見せる彼女の姿に会場の雰囲気が変わっていきました。「一生懸命やればできるかもしれない」。会場の誰もが“努力すること”を信じられたような瞬間が、確かに何度かあったと感じました。
平手さんは今回、黒い羊のキャンペーン衣装。TAKAHIRO先生はトレードマークでもある長袖の黒衣でしたが、体育館にはクーラー設備がなく、本当に暑かっただろうと思います。しかし2人ともつらそうな様子は一切見せず、目立たないように汗をぬぐっている様子にプロの力を見た気がしました。
また若さゆえにTAKAHIROさんから「休憩しましょうか?」と聞かれても突っ走ろうとする生徒たちを、平手さんがTAKAHIROさんにアドバイスする形できちんと休憩させていたところも非常に気遣いを感じた他、生徒たちケガをしないようにという配慮が小さく積み重ねられていた点も素晴らしかったと思います。
そうした2人の熱意が伝わったのか、休憩時間中、早めに休憩を切り上げて設置された鏡の前でダンスの振りやフォームを確認する生徒、複数人で集まって移動の流れを確認している生徒など自主練に励む人が多く、本番ではその日1番の、最高の出来の「サイレントマジョリティー」を見せてもらうことができました。心が震える瞬間を、人生が変わる夏を、100人の生徒たちを迎えられたと思いました。
このすばらしい作品が完成した背景には、これまでTAKAHIRO先生が積み重ねてきた努力と経験と才能、欅坂46がMVやテレビやライブを通じて私たちに伝えてくれるメッセージ、楽曲の力、歌詞の力など、数えきれないほどたくさんの人の支えがあることと思います。
そんな人の支え・力を必要とする地域が、福島にはまだまだあります。その一方でそうした思いや、今回のような素晴らしい授業・交流会が行われていることは全国的に広く知られていないようにも感じられます。
今回、幅広い募集で総勢280人もの学生がこのイベントに参加できましたが、残念ながら抽選で外れてしまった生徒もいると聞いています。ですから、私は今自分ができることとして、この授業をなるべく詳しく伝え、その生徒たちにも届いてほしいと考えています。
また重ねてにはなりますが、きっかけは欅坂46でもどんなことでも構わないので、福島県で「FUTABA 1 DAY SUMMER SCHOOL」という取り組みが行われていること、講師の皆さんが努力を惜しまず素晴らしい授業を行っていたこと、福島県をはじめ、被災地の皆さんがまだまだ支援を必要としていることを少しでも多くの方に伝えたいと思っています。
最後に、D組でダンスを習った皆さんへ。とても暑い日の授業でしたが、体調は大丈夫でしたか。私ほとんど全ての授業時間、皆さんのことを見ていましたが、一生懸命踊ろうと努力する姿、本当にかっこ良かったです。ほとばしる汗に、未来への希望を感じました。平手先生とTAKAHIRO先生に学んだこと、授業を通して感じたこと、この夏みんなで踊ったこと、ずっとずっと忘れないでください。皆さんのこれからを微力ながら応援しています。また会ってください……!
2019年8月20日画像追加
(Kikka)
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