山田涼介「セミオトコ」2話ラストシーンの謎 寝ているセミオにおかゆが「許可を得ない」キスをしてしまったのはなぜなんだ?(1/2 ページ)
「お仕事ってなんですか?」「仕事とは、生きることだ」。
「おはよう、世界! おはよう、おかゆさん! わーい!」
8月2日(金)放送の金曜ナイトドラマ「セミオトコ」(テレビ朝日系)第2話。セミは7日しか生きられないと言われたセミオ(山田涼介)は、「『7日しか』ではなく『7日も』なんです」と返した。ドラマの途中で差し込まれた、朝のセミオの様子。太陽が登ったことを喜び、日の光を身体いっぱいに浴びる。大きく口を開け笑いながら2階の窓から「わーい!」と飛び立っていった。まだ地上に出てきて2日目のセミオ、ピュアで元気だ。
「“お仕事”ってなんですか?」「仕事とは、生きることだ」
「消えたい」と口をついて出てしまうほど人生を諦めていた大川由香(木南晴夏)こと「おかゆ」。おかゆのもとに恩返しにやってきたセミは、彼女が住むアパート「うつせみ荘」の住人たちに見つかってしまう。
おかゆ「彼は、私の王子様ですから!」
大家のくぎこ(檀ふみ)とねじこ(阿川佐和子)にそう叫ぶおかゆに、「そうだね」とでも言っているかのような慈愛の笑顔を向けるセミ。くぎこ・ねじこに名前をたずねられ、おかゆが「セミオくんです!」と答えたことで、ようやく名前も決まった。
7日間の命を持って、セミオはおかゆを幸せにするためにやってきた。本作のキーワードは「生きること」と「幸せ」。セミオと一緒にいたくて仕事を仮病で休もうとするおかゆに、セミオは質問する。
セミオ「“お仕事”ってなんですか?」
美奈子「ピュアな質問とかすんな。嫌いだそういうの」
セミが嫌いだというデザイナー志望の女の子・美奈子(今田美桜)が切り捨てる。それを、謎の病弱中年男性・小川(北村有起哉)が拾う。
小川「仕事とは、生きることだ。生きることそのものが、人間にとっての仕事とも言える」
「ほお……」と関心するセミオ。いまはずっと「うつせみ荘」にいる小川だが、かつては人生で一番仕事を大切にしていたのだという。
一方、おかゆの先輩・翔子(佐藤仁美)は、おかゆが仮病で欠勤の連絡をしてきたのは、自分のキツい言葉に原因があるのではと責任を感じていた。
翔子「休みはわかったけど、辞めたりしないでね。あなた地味だけど、手を抜かずに一生懸命働いてること、私、いや、みんなわかってるから。ちゃんとわかってるから。だから、辞めたりしないで。本当にごめんなさい。一度も休んでないのに、下手な芝居してずる休みさせて、本当、ごめんね」
翔子は罪悪感から「みんなわかってる」と言ってくれたが、おかゆがこれまで欠勤していないことや真面目に働いていることを知っているのは、たぶん翔子だけだ。上司の柴田(山野海)は、おかゆは休んだことがないと聞いても「そうだっけ」と流していたし……。
必死に走っているのにすごく足が遅い
それでも、翔子ひとりが働きぶりをちゃんと見ていてくれたということが、おかゆは嬉しい。みんなが広く浅く称賛してくれることよりも、ひとりがしっかりと自分を見守っていてくれた事実のほうが、深く心に刺さることもある。
遅刻しながらも急いで職場に向かうおかゆが、必死に走っているのにすごく足が遅いところが彼女らしい。
翔子「変な人」
おかゆ「え、私がですか」
翔子「そう、変わってるよね」
おかゆ「言われたことないです。というか、あんまり印象がないみたいで……」
セミオのおかげで、おかゆは自分の思いをたくさん話せるように変わった。27年分の思いと言葉。まだ蛇口の調節が上手にできなくて、水道全開で出しっぱなしの水のように気持ちと言葉が流れ出続ける。それでも間に合わず、溢れてくるもので身体はパンパンになり、涙まで出てくる。そんなおかゆを見て、翔子は「変な人」と笑って認めてくれた。
仕事とは、生きることとは、自分をちゃんと見てくれて「あなたってこんな人」と認めてくれる人と出会っていくことでもあった。
ピュアなセミオがおかゆたちの潤滑油になる
春「幸せにしたいんだ? おかゆさんを」
セミオ「はい、そのために来たんです」
春(山崎静代)、くぎこ、ねじことセミオのお茶会。セミオの好きなメープルシロップをお茶に入れて「素晴らしい」と声を揃えて飲む。
くぎこ「そう思ってくれる人がいるってことが、一番幸せなんじゃないかなあ」
ねじこ「本当。大好きなんだ」
セミオは、くぎことねじこ、春とマサ(やついいちろう)もお互いに思い合っていて幸せだと言う。でも、春、くぎこ、ねじこは「うーん、そうなんだけどさあ……」と目をそらす。誰かから「幸せにしたい」と思ってもらえるって幸せ。それもひとつの幸せかもしれないが、本作の結論はまだそこではないようだ。
幸せだった仕事を手放した小川。赤ちゃんと3人で写る写真を隠している春とマサ夫婦。思い通りにいかなくて奇声をあげる美奈子。仲が良いはずなのにケンカばかりのくぎことねじこ。そして、「消えたい」と思っていたおかゆ。
それぞれに何か心につっかえているものがある。そのせいで意地になったり誤魔化そうとしたりして、コミュニケーションにちょっとしたズレが生まれる。そのズレが見ていて面白くもあるのだが、彼らの生きづらさにも繋がっていて表裏一体だ。
美奈子は「ピュアな質問は嫌い」と言っていたが、地上に出てきたばかりのセミオがピュアな質問をして、潤滑油のようにコミュニケーションをなめらかにしていく。
「おかゆってなんですか」というセミオの質問から、住人全員で一緒にお粥を食べた。由香のことを、みんなで「おかゆ」と呼ぼうという話にもなった。セミオの参加で、コミュニティが育とうとしつつある。
関連記事
「セミオトコ」まさかの“セミ役”でコメディ俳優としての才能を発揮する山田涼介 「消えてしまいたい」限界女子に笑顔が刺さる
危うく死にかけた由香と、危うく死にかけたセミ。黒木華「凪のお暇」キャスティングを不安視していてごめんなさい 開始15分で引き込まれた“リアルな重さ”
サイコパス化した高橋一生は原作よりも怖い。今夜スタート「凪のお暇」 自分がない主人公とモラハラ男とメンヘラ製造機、予想外のキャスティングはどうなる?
実は結構重い話なんです。深田恭子「ルパンの娘」の魅力的な3要素を考察「ミュージカル」と「手刀」と「白目」
気が早いけど、シリーズ化してほしい。「おっさんたち、こんな気持ちいいことしてたのか……!」 ドラマ「サ道」で映像化された“ととのう”の世界
原田泰造も磯村勇斗も全裸で「ととのったー!」。コーネリアスまで登場した1話。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.